第30話 美容院がない

勉強するならここだよねと向かった先はいつもの図書館だった。私は、基礎の基礎すら知らないから完璧なぐらいに理解しなければならない。そのぐらい私は無力だ。だからと言って本の位置がわかるわけじゃないからウィルさんに声を掛けた。


「あの、すみません。」

「はい、どうしましたかってツキノ様じゃないですか。また勉強ですか?」

「実はエルメルトでの経営を学びたくて…」

「それはまた珍しいことを、分かりました。」


詳しくは伝えなくても理解してくれたのかすぐに探しに行ってくれた。待ってる途中にクレアさんに会った。


「お久しぶりです。クレアさん」

「ツキノ様、お菓子ありがとうございました。美味しかったです」


ああああ可愛い!なぜこんなに可愛い私を殺す気か?!心の中ですごい悶えながらもどうにか返事をした。


「美味しかったなら良かった。また持ってくるね!」

「ありがとうございます!」


そういう彼女は目をキラキラさせてた。もともと可愛い子がもっと可愛い顔しないで…そんな薄れていく意識が戻ってくるのは一瞬だった。ウィルさんがたくさんの本を台に乗せて運んできた。


「お待たせしました。」

「ありがとうございます!」

「私としたことが、どの分野かを聞くのを忘れてしまったので色々な種類を持ってきました。」


そっか、分野があるのか。そもそもエルメルト、この世界に美容院なんてあるのか?あるとしても分野はどこなのだろうか。


「ありがとうございます。一番最初に読むべき本を教えて貰えますか?」


その本に載ってなかったら聞こう。そう思って教えて貰った本を開いてから一時間。載ってない!まさかこんなことがあるとは思ってもみなかった。あるからレティ様が提案してくれたと思っていたけれど…書いてないってことはどこの分野なのかもわからないどれを勉強すればいいか分からない。これは大問題すぎる。食品でもないし衣類でもない。よくよく考えたらないんじゃない?考えれば考えるほど頭を悩ますだけと思いグレンさんたちに尋ねた。


「エルメルトでは、美容院みたいなのってあるんですか?」

「失礼ですがビヨウインとは?」

「あーえっと髪を切るためだけのお店?」

「そのようなお店はないと思います。私は見たことも聞いたこともありません」


私もです。とみんな同じように答えた。じゃあいつも髪はどうしてるのと言う疑問が湧いてくる。


「じゃあ、皆さんの髪はどうしてるんですか?」

「いつも自分か同期、友人に切ってもらっています」


そうきたか、確かに日本でも自分で切るって人はいたけど男性だけな気がしたけど…


「じゃあ、私が髪を切るお店を開いたら…」


「「「間違いなく人が来ますね!」」」


だよね~おまけに噂で王族の髪を切ったとか流れちゃったらお店凄いことになるよね…大丈夫なのかな?街は意外と人が多かったし、色々と問題にならないか心配なんだけど…とりあえず今は、勉強して知識をなるべくたくさん身に着ける無いか。


「もう少し図書館で勉強してから部屋に戻ってもいいですか?」

「大丈夫ですよ。お茶をお願いしましょうか」


すぐクリスタさんにお茶の用意をしに行ってくれた。私は集中してさっきの続きを読むことにした。実際私には難しいのばかりで追いつけていない。でも、レティ様が私にくれたチャンスを失敗に終わらせるわけにはいかないと言う一心で本を読み進めた。

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