第23話 思い通りのはずなのに (世奈視点)
はぁ、退屈。毎日魔法や歴史やらで勉強ばかり。もう一人の人は月野葵さんって言うらしいけどどんな人かは良く知らない。人がよさそうなのは分かるんだけど…
「聖女様、今日は実践をしましょう。」
「分かりました」
練習用だという場所で魔法の練習をした。鑑定結果は膨大ではないがあることにはあるという話だった。それを聞いた、王様はすぐに教えてもらうよう言った。それからは、ずっと練習…勉強…の日々。そんな中アルベルト様が私の元にいらっしゃった。アルベルト様はこの国の第一王子らしい。何日か一緒に居る間で分かった。アルベルト様は私に惚れてると利用できそうと思った。
「アルベルト様、この前見た方がつけていた。宝石が見てみたいのですがどこにあるか知っていますか?」
これで惚れていたら、プレゼントすると言ってくるはずだ。
「そうなのか、なら私がプレゼントするよ。父上も許可を出すだろう!」
掛かった。王様はもうとっくに私が聖女だと思い込んでいるだろう。ならそっからは簡単だったわ。好きなもの欲しいものをとことん欲しいとねだった。予想通り欲しいものは全て手に入った。あの騎士以外は…あれから全く出会わない。何かあるのだろうか?と思ってる時にあることを聞いた。最近王妃様が、聖女召喚の時の聖女じゃない方とお茶を良くしているらしいと。私が疑問に思った。何故、王妃様は聖女の私ではなく月野さんを?おかしいじゃない!
「王妃様が…?私は呼ばれたことないわ何かしてしまいましたか?」
とうるうるとした目で侍女たちに言った。それをした途端、侍女は月野さんのことを悪く言っていたわ。あっちが何かしたから呼び出されているのでしょなどと。あれからは、私の良い噂は流れ、月野さんは悪い噂が流れた。これでこっちが有利。私は少し浮かれていた。
◇◆◇
今日は気分が良かった、理由は勉強がないのだ。護衛を連れて廊下を散歩していると向こうから月野さんたちが歩いてきたのだ。勿論、あの騎士様も一緒に。道をどけと私の護衛が声を上げて言ったわ。その後すぐ退いたけどそれからは、いい気味だったわ。隣はルイス様だった。確かアルベルト様の弟第二王子だわ。そう思っている内でも話は進んでいる。
「なぜ、お前がルイス様と一緒に居るんだ?!」
「それは…」
「答えろ!!」
その時、月野さんは殴られたわ。そんな哀れな姿を晒せるなんてと思った、でも月野さんのもとにあの騎士様とルイス様が駆け寄ったわ。なんで?役に立たない聖女でもないのに…ぼーっとそれだけを考えている間にも言い合いはヒートアップしていた。
「今、何をした…?」
「ルイス様の事をたぶらかしたものに罰を与えたのです!」
「私をたぶらかした?何を見て言っている」
「女がルイス様と一緒に居たのが証拠ではないですか!」
「私が、アオイさんを誘ったのだが?」
「そんなわけありません!それならば、その女ではなくこちらの聖女様でしょう!」
そうよ、私が思ってることを言ってくれた。その瞬間、倒れていた。月野さんは声を出した。ルイス様は関係ない。私の責任だと言い残して部屋に戻ろうとしていた。これはいいチャンスあの騎士様とお話が出来る。そう思って声を出した。
「お話したいんですが…?いいですか?」
騎士様は迷っているみたいですが、月野さんの一言でこっちに来たわ。簡単にこの方も手に入ったわ。月野さんの護衛じゃなくて私の護衛にしてもらおうかしらと浮かれた。部屋に入って早々声を掛けてきたわ。
「聖女様、お話とは?」
「ただ単にお話してみたかったんです。お名前教えて頂けませんか?」
「グレン・ダウナーです」
「いい名前ですね。グレンさんって呼んでもいいですか?」
「あ、いやダウナーとお呼び下さい」
月野さんはグレンさんと呼んでいるのになんで私はダメなの?意味が分からない。
「お話がないなら、私は戻っても良いですか?仕事がありますので」
「ま、待ってください。私の護衛になってもらえませんか?」
上目遣いでこれで落ちるという声で頼んだ。これで私の勝ち。そう思ったのに…
「申し訳ございませんが、私はツキノ様の専属護衛ですのでお断りさせていただきます。」
「なんで、どうして?!」
部屋を出ていこうとするその手を掴んだ。でもその手はあっさりと振り払われた。追いかけようと私走りだすが、相手は騎士様で。私はドレスを着ている。到底追いつくどころか見失ってしまった。なんであなただけが私の思い通りにならないの…絶対何としても手に入れるわ。
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