第18話 お菓子の意味

私は、まだ考えていた。レティ様に持って行くお菓子を何にしようかと…


「今日は、何をお作りになります?」


クリスタさんが今考えていたことを聞いてきた。そういえば、一部のお菓子は意味があるんだっけ。何かいい意味のお菓子でもあったかな?お城の廊下を進みながら考え込んでいるとあるお菓子を思いついた。それは、マドレーヌ。マドレーヌが持っている意味は「あなたともっと仲良くなりたい」という意味。個人的に私はレティ様と仲良くなりたいと思ってるから丁度いいと思った。日本でも何回か作ったことがあるしレシピは覚えているはず…心配だけど。


「マドレーヌと言う焼き菓子を作ろうかと」

「焼き菓子!とっても美味しそうですね!」

「あっ、調理場に行く前この前の倉庫で材料揃えてもいいですか?」

「分かりました。先に倉庫の方に向かいましょう」


前回通った道を進み、倉庫に着く。前見た時になんとなく場所は覚えたので材料を揃えるのにそう時間は掛からなかった。重いものはグレンさんたちに任せてキッチンを借りるために調理場に向かった。


「ツキノ様、またこのような場所に来てくださりありがとうございます。」

「いえいえ、今回も使わせて頂きありがとうございます。」

「今日作るものもお菓子ですか?」

「はい、お茶会用の焼き菓子を」

「お手伝いします。」


最初は、バターを柔らかくするために放置しといて料理長さんに砂糖を振るって入れてもらいながら卵を混ぜる。もったりとするぐらいまでに混ぜたら、柔らかくなったバターを加えようと思った時。魔法で溶かしバターにしてもらえるのでは?


「あの、このバターを魔法とかで溶かしたりできますか?」

「出来ますよ、少し失礼しますね。」


レーナさんがボールに手を当てると、淡い光が出てボールの中のバターは溶け切っていた。あっという間で正直驚いた。魔法が使えたら楽しいんだろうな。


「これで、大丈夫でしょうか?」

「はい!完璧です。ありがとうございます。」


さっきの混ぜてた卵に溶かしてもらったバターを加える。馴染んだと思った所で料理長さんに振るいながら粉類を入れてもらう。ヘラでさっくりと混ぜて生地完成。残念だけど、ここには貝殻型の方がないからさっき見つけた別の型で焼こう。今回も多めに作ったからみんなに分けてあげよう。焼いている間はお話をするだけであっという間に時間が過ぎている。


「もう焼けましたね。取り出しますか」

「いい匂いですね。」

「こっちは調理場の人たち用でそっちはレーナさんたちで食べてください。後の残りはお茶会に持って行く用っと」

「ありがとうございます、美味しくみんなでいただきます。」

「あっ、先に皆さんで食べててください。私ラッピングしてからいただきますから。」


ひと言、声を掛け持って行く分のマドレーヌのラッピングを始めた。心配してくれているのか時々グレンさんと目が合う。そうして私は時々グレンさんに見守られながらラッピングを終えた。


「ツキノ様、この後の予定ですが一旦お部屋に戻って身嗜みを整えてから王妃様のもとへと考えているのですが大丈夫でしょうか?」

「はい、それで大丈夫です。」

「ここで少し軽いお茶をしてからお部屋へと戻りましょう。」


最近あったことや面白かった話などを楽しく料理長さんと話していたらいつの間にか時間が経っていたようだ、幸せな時間を過ごしたところでお部屋に戻ろう。


「クリスタさん、あのですね。流石にやりすぎじゃないですか?」

「そんなことありませんよ!ツキノ様は元が綺麗なんですから!」

「そうですよ!しかも王妃様が合わせたい方がいるんですよ。磨かなければ…」


あれれ、身嗜み整えるを超えてる気がするのは気のせいかな?どんどん別人に…なっていく。


「どうでしょうか、ツキノ様」


自分が自分じゃないみたいに磨き上げられていた。なんだろう慣れていないからか変な感じがする。


「グレンさん、変じゃないですか?」


声を掛けて後ろを向くと、グレンさんは別の方向を見ているその顔は少し赤かった。何かあったのかとグレンさんが見てる方向を見てみるが何もない。


「グレンさん、顔赤いですけど大丈夫ですか?」

「は、はい。大丈夫です。」


グレンさんがそう一言言ってから謎の間が出来た。しかし、この謎の雰囲気を壊すようにライナさんの笑い声が響いた。


「ははっ。すみません、あまりにもツキノ様が鈍感で」


鈍感?何が面白いのか私には分からなかったがレーナさんまで笑い始めている。


「なんで、笑ってるんですか!私何かしました?」

「いや、違うんですよ。ふふっ」

「ツキノ様はそのままでいいですよ。ははっ」


そう言われると、気になる所だから問い詰めたいところだけどそろそろ時間だ。

いつものお茶会より緊張する。

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