第6話 美しい景色

それから裏庭まで歩きながら、やっぱり裏庭がどんなか気になったので聞いてみた。


「今向かってる、裏庭ってどんな感じなんですか?」


と聞くと、レーナさんとクリスタさんは教えてくれた。


「小さいですが、テーブルと椅子があってお茶するにはとてもいい場所です。」

「それもそうですし、色々な種類のお花があってとても美しいです。」


お花がきれいでテーブルあってお茶ができるって相当、素敵な場所なんだなと思って早く行きたいのが分かるように裏庭に向かう足が早くなった。今日は、天気がいいしさらに良いだろうな~と心の中で子供のようにはしゃぐ。


すると、いつの間にか着いていたみたいだ。


「ツキノ様、着きました。足は大丈夫ですか?」

「はい!大丈夫です。」

「ならよかったです、裏庭はこちらです」


そう言われた方に向かう。その場所を見たときは息を呑んだ、だってこの場所だけ明らかに違うような美しい雰囲気があるのだからさっきレーナさんたちに聞いた通り色々お花があって真ん中にはテーブルなどがある。ここに入っていいのだろうか?と思うほどだった入らなくてもいいかなと思ったんだけど


「ツキノ様、せっかくですし見るだけではなく。テーブルに行きませんか?」

「いや、こんな綺麗な所に私なんかが踏み込んだら…」

「何を言っているのですか、そんなことないですよ」


そう念を押されたので恐る恐る、真ん中にあるテーブルに向かうため足を動かす。今日は、晴天と言えるほど空も綺麗だったからなおさら、綺麗に見える。そんな風に浸っているとテーブルが目の前にあった。恐る恐る、座ってみるとさっきとはまたとはまた違う景色だった。その景色を眺めていると視界が少し歪んだなんでだろうと思ったら、グレンさんがハンカチを渡してくれたそこでやっと気づいた。泣いてるんだ私、泣き顔を見せないためにもありがたくグレンさんからハンカチを受け取り、涙を拭いて椅子から立つ。みんなに心配かけないように笑顔で


「こんないい場所を教えてくれてありがとうございます!」


グレンさんたちは、少し止まったが私がしたように笑顔で返してくれた。たいして特別な事ではないが私はそれだけで凄く安心した。そこまで長くはいられなかったけどそろそろ戻ろう。


「そろそろ戻って皆さんの髪切りましょうか!」


そう言って、裏庭から廊下まで戻る。そういえばいくつか気になることがあるんだよね~あの鞄に入ってる充電式のバリカンこの世界でも使えるのかな?異世界らしく、充電が減らないとか!あると嬉しいんだけど…流石に無理かなどと一人で考えながら歩く。それがいけなかった、考えることに夢中になって石に躓いてしまった。あっこれ転ぶと思った瞬間誰かが支えてくれた、支えてくれたのはグレンさんだった。


「大丈夫ですか?ツキノ様」

「あっ、はい。ありがとうございます。」

「何か考え事でも?」

「いえ、なんでもありません」


そう、小さな嘘をついた。それからお城を離れた部屋までひたすら歩く。今日は、思ったよりも頑張ったから疲れたのかあくびが出てしまった。おまけにそれをみんなに見られてしまった…うわぁ恥ずかしい。

そんな風に少し足を早くするといつの間にか部屋の前まで来ていた。


「ツキノ様お疲れ様でした。」


とグレンさんが言ってくれ、クリスタさんたちはお茶を持ってきますと言って着いたばかりの部屋を出ていった。思い出したと言うような顔をしてグレンさんはこっちを見た。


「図書館でお話しました。知り合いの魔導士のことですが明日見てもらえるか聞いておきます。大丈夫かどうかは明日の朝お伝えしますがそれでよろしいでしょうか?」

「はい。よろしくお願いします。」


などと軽いやり取りをしてるとコンコンとドアがノックされた。きっとさっきお茶を入れに行ってくれたクリスタさんたちだろう。


「失礼します。クリスタとレーナお茶をお持ちしました。」

「どうぞ!お茶ありがとうございます。」


とお礼を言って机に置いてもらったお茶を一口飲む。まだ二回目だけどなんだか安心する味がする…なんか温かいものを飲んだら眠くなってきた。駄目だ、私今から髪を切らなちゃいけないんだから。頑張って眠気に耐えてるがつい、うとうとしてしまう。それに気付いたのか気を使って


「ツキノ様、少しお休みになりますか?」


と声を掛けてくれるが…


「で…も…髪を切ってあげたい…」


頑張って声を出すがあまり大きな声ではなかったから聞こえてるか危ういだけれどちゃんと聞き取ってくれたのか


「それじゃあ、少しお休みになってから切るのお願いできますか?」

「それでいいなら…私は大丈夫です、よ…」

「なら少しお休みください」

「ありがとうございます…」


それだけを言ってベットまでうとうとしながら行くだけで眠気が来てそのままベットへ落ちていった。

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