第9話 彼女の闇
どこを整形したのか、どういう理由で整形したのか、いつ整形したのか、聞きたいことは山ほどあったが、彼女が順番に話してくれた。
まな「実は中学生のころめっちゃブスでさ、しかも太ってて。クラスの可愛い子見てうらやましいなーってずっと思ってたんだよね。」
「それでいじめじゃないけど、男子からブスとかひどいこと言われることもあったりして。」
「でもそんな私でも好きって告白してくれる男の子もいたんだ。すごいよね?笑私が男だったら絶対付き合いたくないもん笑。」
「で付き合ったけど、全然好きになれなかったんだよね。ブスの私が言うのもなんだけど、その男の子全然かっこよくなくて、笑あー私って彼氏ができたとしても、一生このレベルの男しか付き合えないんだって。」
僕「え、ひどくない?笑」
まな「わかってる笑。しかもブスのお前が言うなってね笑。 でも、本能だもん、好きになるって。好きと嫌いだけは理性で決められないんだよ。だから、お母さんに言ったの。”整形させてください”って」
僕「え、中3で?お母さん何て?」
まな「”わかった。いいよ。可愛く産んであげられなくてごめんね”ってよく理解してくれたよね笑。娘の私でもいいお母さんだなって思う。」
僕「まじか!笑 いいお母さんではある。。それで整形してどう変わった?」
まな「整形したのは目と鼻だけだから20万いかないくらい。でもダイエットは頑張ったよ笑。それで高校1年からは周りの男子からの扱いが変わったね。やっぱり外見って大事なんだなって。きっとデブでブスのままの私だったら、まったく違う高校生活だったと思う。」
「で、それなりに可愛くなったから彼氏もできて楽しかったんだけど、やっぱり上には上がいるんだよね。最初から、生まれた瞬間から可愛い子って、全然オーラとか自身が違うわけ。デブスだったころは”彼女たち”って遠すぎる存在で気づかなかったけど、ある程度近づくとわかるの。あ、生まれ持ったものが違うなって。それは外見の美しさもそうだけど、やっぱり自信が一番違う。私はここにいるのよ的な。わかる?」
僕「うん、なんとなくね。おれも目立たないほうだったからイケてる男子たちを遠くから見てきたけど、いい意味でも悪い意味でも”許される存在”って自分で理解しているから、積極的に行動できたりするんだと思う。しかもそれが女子の世界になるとより顕著だろうね。」
まな「そう。”許される存在”って思えるのって育った環境に依存すると思ってて、やっぱり可愛い子供には何かしてあげたいじゃない?大人の本能として」
「だから彼女たちはとても生き生きしてた。私がお金と努力で手にした美を生まれた瞬間持ってるんだから笑。」
僕「世の中って理不尽だよな。。笑でもそのおかげでイケメンの彼氏と付き合えたんでしょ?」
彼女は寂しげに遠くを見つめた。
まな「でもね、人間の本質って変わらないの。」
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