第6話 ネオン街の誘惑
池袋東口。渋谷、新宿と並んで若者が集う3大都市の1つだ。
西口にはマルイ、芸術劇場や立教大学。東口にはサンシャイン、PARCO、風俗店、ラブホテル。。
(なんでこんな性に乱れてるんだ!この街は!)
時刻は19時。待ち合わせのラブホテルへ向かう最中、冬の足音がする季節に、キラキラした看板が、これからの僕の行方を祝福してくれているようだ。
普段池袋に行くときはサンシャイン通りで大抵事足りるので、ホテル街の裏路地の地理には詳しくない。
たまにすれ違うキャッチのお兄さんの視線を華麗にスルーしつつ、Googleマップが指すその赤いポイントとの距離を徐々に縮めていく。
ここで、ある大事なことに気がついた。彼女に僕の写真を見せていない。そして、彼女の顔も見ていない。だからお互いわからないじゃないか。
また、もしラブホテルが混んでいて待ち合い室でポツンと1人僕が座っていたら、どう思われるだろう。デリヘルを呼んだ若者か、部屋を予約していたが彼女と喧嘩して一人で来たのか。どちらにせよ、同情の目で見られること必至だ。一人の時間を最小限に抑えるため、待ち合わせの時間ぎりぎりにホテルに入ることを心に決めた。
19:28、、、
19:29、、、
19:30!!!
待ち合わせの時間になって、いざ、高鳴る鼓動を抑えつつラブホテルの前に立ち、自動ドアが開いた。
右手には奇麗な薔薇の花が刺してあり、その前にはドリンクが入った透明の冷蔵庫がある。
左手にはすぐ受付があり、その奥に部屋を選択するパネルが並んでいた。
「!!!」
奥の待合室みたいなスぺ―スの一番左のイスに可憐な女性が座っていた。
黒く長い髪は、艶があり先端が軽くカールしている。
こちらに気づいた瞳は黒目が大きく、系統的にはperfumeのかしゆかに似ているなと思った。
僕「あの、、」
まな「どうも、はじめまして。まなです。イメージと違いました?笑」
僕「いや、全然!素敵だなと思って。むしろおれのほうがイメージと違うでしょ?」
まな「全然!さわやかな好青年って感じ。笑」
まなはLINEの文面から想像したとおり、よく微笑む子だった。
おかげで女性慣れしていない僕も、そこまで緊張せず、フランクに接することができたと思う。
フロントで慣れない手続きを済ませた後、501の部屋へ向かった。
部屋につくと、そこでお会計をするシステムで、1泊12000円という値段に驚く僕の表情に気づいたのだろう。彼女は5000円出してくれた。情けないとは分かりつつも、ありがたく受け取る僕。この世においてセックスは、相場が高いものだ。
まな「広い部屋だね!」
僕「だよね。まさか12000の部屋に入るとは思わなかった。笑」
まな「普通一泊したらそのくらいするもんだよ。もっといい部屋は2万とか4万とかするんだから。」
僕「そーなんだ。。世知辛いね。笑」
まな「シャワー先入っていい?」
僕「いいよ」
彼女が浴室にいる間、部屋をぐるっと眺めてみた。大きいダブルベッドに、巨大なスクリーン。世のカップルたちは、週末をここで過ごし、愛を深め合っているのか。愛の維持にはお金がかかるものだ。
今日セックスするのか。何か月ぶりだろう。
正直僕は、セックスについて本能的には好きだけれど、”絶対になくてはならないもの”という認識はない。
なぜなら、その行為を「気持ちいい」とは思わないからだ。
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