第4話 終わりの始まり

「ラブホテル。。」


 授業中にも関わらず、つい声が出てしまい、前の列に座っている女子2人からちょっと睨まれた。


(え、いきなり?!この子どういう目的だよ!でも、ここは男として嬉しいという感情は否めない。。)


  


 スマホで「ホテル いきなり」と検索した。「明日泊まれるビジネスホテル」、「初回限定割引クーポン アパホテルがお得」、などと検索結果が表示されたが、どれも違う。今回は女の子との初回のデートで”ラブホテル”に行くのだから。


  


 そこであるワードが頭をよぎった。


  


「美人局」


 夫(や情夫)としめし合わせた女が、他の男と通ずるかに振る舞い、それを言い掛かりとして夫(や情夫)がその男をおどし、金銭などを巻き上げる、ゆすり。


  これか。この金のない大学生から少しでも金銭を取ろうってか。なんて悲しい時代になってしまったんだ。金だけならまだいいが、暴力団が出てきてぼこぼこに殴られるかもしれない。そして翌日のニュースで


  


 アナウンサー「○月○日、池袋某所にて大学三年生の被害者Aが、何者かに殴られたうえに金銭も取られ重傷です。そしてなんと、その場所はラブホテルです。コメンテーターの△さんはこのニュースどうお考えですか?」


 コメンテーター「そうですねえ。昔からこういう美人局みたいな事件はあるんですが、情報過多のこの時代にそんな単純な詐欺手法に引っかかる若者なんているんですねえ。よほど頭が悪いか、性欲が有り余っていたんでしょうね。」


 アナウンサ―「苦笑 さて、続いてのニュースです。」


  


 なんて恥ずかしいみじめな被害者になること必至だ!!完全に詐欺なのに同情されないなんて、そんなの被害者甲斐がないじゃないか!!(被害者甲斐ってなんだ笑)


  


 よし、僕は詐欺には引っかからない。これから大学を卒業して、まっとうな会社に入って、まっとうな社会人としてこの日本で生きていくんだ。


 そう決意して、なんとももったいないが、今回の奇跡的な出会いに自ら終止符を打つことにした。


  


 まなにLINEを送る。


「ごめん、今週の金曜日だけど、ちょっと急用が入って行けなくなりそう。。本当に申し訳ない。」


 僕は大きな獲物を逃した。リスクなしで手に入れた女の子をしかもハイリターンが目の前に見えていたにも関わらず、自らの手で絶ったのだ。これは一流の投資家でもそうそうできることではない。よし、将来は投資家になることも視野に、


 ♪LINE♪


 ・・・返信だ。怒っているかもしれない。そりゃそうだ。僕からLINEのID検索ではじまったやりとり。

それをこちらからの一方的な都合で終わらせるんだから。


  


「お願いを聞いてもらえますか?」


  


 予想とは違う返事で僕は戸惑った。怒られなかった、そして逆にお願いされる立場になっている。


 続けてこう書いてあった。


  


「経験人数を増やしたいんです。」


  

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