第4話
母の一番の心の傷はお姉ちゃん2人を私のように自分が傍で面倒みることができなかった罪悪感がえげつなかったから…。
* * *
最低な考えかもしれないが、私としてはお姉さんたちが羨ましかった。
両方の親がいない分寂しさはあっただろうが、その分好き勝手行動しても周りからも家族からも両親が傍にいないからという理由して、理解をしてくれようとする大人たちばかりだった。
それに比べて私はいつでも周りが「あなたは幸せなのだから」と私が息が詰まっているのが問題かのように、幸せの定義を押し付けられて、私が何を思っているかなんて、分かろうともしなければ、興味も持たれなかった。
だからってこんな事考えてたのを知ったら、誰もがまた責めて、お前が代わりになってたらそんな事言えるはずも無かっただろうとまた責め立てられるだろうな…。
それでもやっぱりいっそ姉さん達と私と立場が代わっていたらお互い良かったんじゃないだろうと強く思っていた。
当時の私は、子供は親が産んで育ててるだけでもありがたく思わなければならず、そんでもって親の言う通りににしか生きちゃダメだと押し付けられるものだと…。
そう…『家族』って本当残酷だなっていつも思っていた。
だから私は、結婚という大人の勝手な欲や母親になるという自分勝手な理由で子供を産んで育てて、家族の絆という監禁でもされてるかのような辛い思いをさせないためにも絶対に子供は産まないだろうと小さいながら思っていた。
* * *
里美姉さんと私の生活は、恵姉さんの時とは違い姉妹という関係よりも母と娘のような関係に近かった。
里美姉さんが私に向かっての言葉も行動も少しあたりがきつかった。
恵美姉さんとはもっとほのぼのとした日々だったが、里美姉さんとは一緒に会話することもあまりなく、家事や宿題についてばかり家でするべきことについて叱られるばかりだった。
やはり歳の差故に、喧嘩するという概念は無く一方的に叱られる側と説教を受ける側といった関係性だ。
それに里美姉さんは、怒ると私の事を透明人間のように無視する癖がある。
だから、私はどうすればいいか余計に分からなくなる時が多かった為、里美姉さんと仲良くなろうと言うよりは、とりあえずぶつかり合わないよう避けたいという気持ちでいっぱいだった。
里美姉さんはショッピングが大好きで、地元のショッピングモールに行くと少なくても3-4時間はウィンドウズショッピングをするのが趣味だった。お母さんが週末姉さんに私を預ける時は、その地元のショッピングモールに連れて行ってた。
元々運動神経がよく水泳の選手活動をしようとしていた私は、一般小学生に比べて体力があったため、午前中から午後までの5-6時間駅前のショッピングモールやデパートをどれだけ歩くにも黙々とついていって駄々をこねることも、足が痛くなることも無かった。
姉さんはそんな私が他の同年代の子供に比べて大人びていた私が楽だと週末私の面倒をみるのは窮屈ではなかったそうだ。
寧ろ母とショッピングするよりも私と行った方が楽しいと言ってくれる位で、可愛がってくれることが嬉しくて、もっと言うことを聞いていた。
毎回ショッピングについていくのも流石に飽きた私は、どこにも行かず大好きな本屋にずっといるから心配しないで一人でショッピングするように言い、最初は不安げだった姉さんだが、お利口さんだった私を見て、満足気に時間は過ぎていった。
元々我慢強く、人を待つのも慣れていた私は、週末姉さんが本屋に連れて行って3-4時間後に会うという生活がとてつもなく居心地が良くなって行った。
このような週末のお出かけがきっかけで少しずつ関係を築くことができた私は、いつしか姉さんが母よりも楽な存在になっていった。
そんなある日、母はいきなり理不尽な事で私に怒りだし、それを聞いた姉さんは、「私の妹に文句言うんだったら母さんでも許さないから」と私を味方してくれた。
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