逃げられない運命から逃げ切れ。
夜兎
第1話プロローグ。
朝、目を覚ますと自分の部屋では無いスイートルームの高級ベットで両手を手錠で拘束され、鎖で固定された状態で寝かされていた。
それと同時にシャワーの音が小さく聞こえる。それを聞いて、俺は親指の骨を外し、手錠からすり抜けてから治し、右手も同様の手口で手錠から右手を取り出すと自分が裸だという事に気が付いた。
「ま、まさかな。記憶を保持しているのは俺だけだ。こんな対抗策を取ってくる訳が無い。」
そう呟きながら自分の服を探す為にクローゼットを開けるとこの部屋の主であり、この世界で世界一の財力、運動能力、頭脳を持つ美少女、
「やぁ、」
「な、、なんで、シャワーを浴びてるんじゃないのか?。」
「それは前の世界線だね。その時は逃げられたけど、夜に捕まったよね?。」
「なんでお前が分かるんだよ。」
「なんでって、おかしいんだもん。常に僕の先を行く。まるで僕の頭の中、いいや、行動を見てから対策を講じてるみたいでさ。だから、君の遺伝子を貰って、同じの力を手に入れたって訳。」
嬉しそうに話して、クローゼットから出てくると俺に抱きついた。素肌にダイレクトにくる柔らかい感触に思わず、頬が緩むとメアは優しく俺にキスをする。
「大好きだよ、嶺衣くん。」
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こんな事になる前、俺はそこそこの人生を楽しむ高校生だった。友達も成績もそこそこ居て、そこそこ良かった、、が、運命の日の前日、世界的に超有名な財閥の美少女がいきなり自宅にやってきて、自分と結婚して欲しいと頼んできた。
でも、彼女は世界一の財力、運動神経、頭脳を持つ全知全能の美少女と呼ばれ、テレビで見ない日は無い有名人から告白された俺はビビった事もあって断った。
「すいません、俺には釣り合いません。」
「じゃあ、僕以外要らなくすれば良いよね。」
と訳の分からない事を言って帰ってから2時間後、警察がやってきて俺を問答無用で家から連れ出すとやってもいない連続殺人犯として署に連行された。
「おいおい、待ってくれ。刑事さん、俺は人を殺してない。第一、そんなヤツら知らないんだってば、おい。」
と話すも信じて貰えず、運命の日、逮捕されたとニュースが流れると共に高校を退学になり親は俺との縁を切った。一晩で何もかも失った俺は牢屋で看守が見る番組で、俺の事を大々的に放送しているのを見て目を見開いた。そこには犯人を見つけたとしてその番組に出演していたのは告白してきた美少女だった。
「クソ、やってないのにどうしてだよ。なんで、俺を犯人にしたんだよ。あんたはぁぁぁ!!。」
そう叫んで、俺は壁を蹴り、悔しさと怒りに身を任せて舌を噛み切って自殺した。そして、二度と起きる事が無い朝を迎えると、時間は運命の日の前日に戻っていた。
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