第26話 アロンダイト
【聖都グランザリア】
俺は魔剣ラグナロクを使いこなす為にスキル上げをしていた。
ガツンッ!
ガツンッ!
ガツンッ!
ガツンッ!
「勇者様、この数日間ずっとオリハルコンの扉を斬りつけていますが、何をしたいのかそろそろ教えてもらえませんか?」
俺がひたすら武技スキルを使ってオリハルコンの扉を叩いているのが不思議なのか、この勇者は大丈夫なのか?という表情をしていた。
俺がファイナルオンライン内で師匠から画期的なスキル上げ理論を聞いたときから、ずっとこの手法でスキル上げをしていたが、その時も大量の武器を鉱山に持ち込み、ひたすら武技スキルを使って武器を壊していた。
その時の俺を見る表情も大体今のアロンダイトみたいな表情だったから分かる。
「これは伝統的なスキル上げなんだ」
ガツンッ!
ガツンッ!
「それがスキル上げなのですか? 神々の素材とされるオリハルコンならば、今の勇者様ならば傷つけることは出来ないですし、魔剣ラグナロクも自己修復機能がありますから、問題はありませんがスキル上げならば私がお相手しますよ?」
しかし、あの時の俺を不審な目で見たやつらもアロンダイトも全く分かっていない……師匠のスキル上げはお金と精神はごっそり削られるがスキルの上がるスピードは抜群なのだということを。
「ふぅ……そんなに俺のスキル上げ方法に不審があるのならば、証明してやろうか?」
「証明ですか? どうやって証明するのですか?」
ガツンッ!
ガツンッ!
「ああ、今の俺ではアロンダイトには遠く及ばないだろうが、俺と勝負をしよう。そうすれば俺がどれだけ劇的に成長しているのか分かるだろう?」
「勇者様には申し訳ありませんが……数日間、扉を叩いていただけで、そこまで違いの分かるほど劇的に強くなるとはおもえませんが?」
「ならば、アロンダイトが俺が劇的に成長してないと判断するならば、今後の修行は全てアロンダイトの指示に従おうじゃないか。それならばどうだ?」
「そんな約束をしてもよいのですか? 私としては不利益なことは一切無いので構いませんが、あれは無しだったとかはダメですよ?」
「そんなことは言わないさ」
それに俺の成長を見たらびっくりするだろう。
そしたら、アロンダイトも俺を自由にしてくれるかもしれない。
「それでは勇者様の準備が出来次第、修練場にて戦いましょう」
「俺はいつでも準備は大丈夫だ」
俺とアロンダイトは、久しぶりは修練場に向かう。
修練場とはゲーム内でも存在していた、武技スキルなどを無限に試し撃ち出来る練習フィールドで、通常ならば魔力を消費し過ぎて1時間に一発しか撃てない大技も無限に撃てるから、初心者プレイヤーからベテランプレイヤーまで、広い範囲で人気があった。
それにしても俺の方から修練場を使いたいと提案しようとおもっていたのに、アロンダイトから先に提案してくれるとは、予想外だったな。
さっき覚えたばかりの武技スキルは魔力消費が大過ぎて、俺の魔力量では数秒しか維持出来ないっぽいから本当助かった。
「これは、これは、アロンダイト様。修練場に来るだなんて珍しいですね。アロンダイト様みたいな神聖天序列7位の方は既に修練のレベルにはいないと思っておりましたが?」
修練場に着くと、アロンダイトは黒いフードを被った顔の見えない男に話しかけられていた。
アロンダイトは神聖天序列7位なのか……
伝説の武具シリーズは108体の武具が登場するイベントだったから、序列7位だなんて本当に上位クラスの強さなのだろうな……
「デュランダル、あなたは相変わらず修練しているのに弱そうですね。そんな直線的な1つの武技のみを修練しているから未だに序列88位なのですよ」
「我の特徴は一点のみですから、アロンダイト様の様にはなれませんよ」
「ふん、私は少し勇者様と勝負をしますから、修練場を一時閉鎖しなさい」
「分かりました、アロンダイト様」
そう言うとデュランダルと呼ばれた男は修練場の扉を閉めて出て行ってしまった。
「さあ、勇者様。ここには誰も入って来ませんので勇者様の全力をお見せ下さい!」
「ああ、言われなくとも俺の全力を見せてやるよ」
「楽しみにしていますよ。さあ、いつでも来て下さい!」
アロンダイトは細身の剣……レイピアみたいな形状の剣を鞘から抜き、構える。
あの形状ってことは、俺の新武技スキルとは相性が良いかもしれないな。
「それじゃあ、遠慮なく行くぜ! 『武技スキル解放・真装展開』!」
俺の新武技スキル・真装展開……は魔剣の持つ本来の力を短期間だが解放する事により、身体を魔剣と同等の強さにしてくれ、さらには肉体の限界を超えさせてくれるキングクオリティ以上の魔剣のみが使える限界突破スキルだ。
「そ、そんな……既に魔剣ラグナロクの力の片鱗を引き出していると言うのですか……流石は勇者様ですね」
「さあ、俺の全力を味わいな!!」
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