第25話 カガリ震撼

「アカリさんとハリッサさんは記憶喪失なんですか?」


「はい、目覚めは場所はお互い別々なのですが、2人とも過去の記憶は無くて、名前と年齢位しか分からなかったんです」


「そうだったんですか……記憶が戻ると良いですね」


「ありがとうございます」


「アカリさんの話し方や文字を読める点から、もしかしたら貴族の娘さんの可能性もあるかもしれないですね」


「どうなのでしょうかね……」


まあ、僕が貴族ってことは絶対に無いが、ハリッサの出生には興味があって、出来ればハリッサの両親が居るのならば探してあげたいなと考えていた。


ハリッサ本人は全く気にしてないけど……


「さてと、頼みたいものは決まりましたか?」


「うん!」


「僕も決まりました」


クリファスさんは店員を呼ぶと、可愛らしい女性がすぐに来てくれた。


「いらっしゃい、クリファス様。今日は珍しく可愛らしい女の子を2人も連れていますね~。もしかして、お見合いに疲れて幼女に逃げましたか?」


「カガリさん、馬鹿な事を言っていないで仕事して下さい。それにこの2人は私の命の恩人なんですからね、丁寧に対応して下さいよ?」


「あはは、それは失礼しました。それではご注文を聞きますね、クリファス様はいつものディナーセットで良いですね」


「うん、私はそれで良いよ」


「あっ、僕もそのディナーセットにして下さい」


クリファスさんの選んだディナーセットは、食堂がオススメのショートパスタ3種類とサラダ、スープ、ドリンク、デザートまで付いてくる豪華セットで、僕もこれがいろいろ食べられて良いかなと思っていた。


「分かりました。ディナーセット2つですね、あとはどうしますか?」


「ハリッサはどうする?」


「う~ん。とりあえず、このページとこのページにあるやつを10個ずつ食べたい」


「「えっ!?」」


ハリッサの注文を聞いてクリファスさんと店員のカガリさんは予想以上にびっくりしていまい、他のお客さんも声に反応して注目を集めてしまった。


うん、普通に考えたらそう言う反応になるよね。


「えっと、本当の食べたいものは何かな?」


「あはは、ハリッサさんの冗談には私もびっくりしたな……」


ハリッサが10人前ずつと頼んだページはパスタと肉料理が全種類載っているページで、品数だけでも25種類はあり、それを10倍なので250皿のメニューが来てしまう単純計算になる。


「あの……すいません。ハリッサは冗談でも間違いでもなく、本当に食べられてしまうので、他のお客さんに迷惑がかからない数を出してもらえますか?」


「えっ……? クリファス様……」


「確かに事前にアカリさんから、ハリッサさんはよく食べると聞いていたからね……カガリさん、注文通りに持って来てください。もし、残ったら後で家の者が取りに来るからと店長に伝えて欲しい」


「分かりました!」


カガリさんはクリファスさんの返答を聞き、急いで厨房内へと走っていった。


厨房内が何人体制なのかは知らないが、急な大量注文は申し訳ないと思うのだが……


「ハリッサさんの注文にはびっくりしたよ。私の常識を遥かに超えていたね」


「あの……言いにくいのですが……ハリッサの胃袋はこんなレベルではないので、まだとりあえず前のページにある料理を注文しただけという感じだと思います……」


「えっ!? ははは……まさか?」



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