第23話 辺境の町・ファリスタ③
僕はある程度、走り続けた疲労が回復したので、町の入口に向かって歩き出した。
「アカリお姉ちゃん!!」
僕が入口へ向かうと、既にハリッサと助けたクリファスさんが立っていた。
「あれ? もうお仲間は大丈夫なんですか?」
「はい、アカリさんとハリッサさんのおかげで無事に治療院に連れていけましたので多分大丈夫です、あとは無事に回復するのを待つだけです」
「そうなんですか、間に合って良かったです。って治療院もあるんですね」
ゲーム内でも治療院ってのはあったなぁ。
ファイナルオンラインの体力などは自然回復していくので、ゲーム内に治療院はいらないのでは?と昔から言われていたけど、現実世界にはなくてはならない場所だろうなと思った。
治療院とは、地球でいう病院みたいなものだからな……ちなみにゲーム内の治療院は、怪我の具合に応じたお布施というものを払えばあっと言う間に全回復するのだが、現実世界ではかなりの時間がかかるらしい。
そういえば、魔法を使うための秘薬も売っていたら欲しいな。
光属性レベル3のヒールや水属性レベル4の命の水など、回復魔法スキルはいくつかあるのだけど、どれかは使えるようにしておきたいなと思っていた。
デュランダルみたいな化け物と戦うなら、出来ることは多い方が有利だろう。
「それで、アカリさんとハリッサさんにお礼をしたいのですが、とりあえず食事を奢らさせて下さい。小さな町ですが、料理は美味しいですし、これからの話もありますから」
「美味しい料理!? アカリお姉ちゃん!」
ハリッサが料理に思いっきり食いついたな……
まあ、今回はほとんどハリッサのおかげで、人助けや町へ来れたりしたから、ハリッサの好きなようにさせてあげようかな。
「ハリッサ、料理が食べたいなら甘えさせてもらおう。それに僕もいろいろ聞きたいことがあるから、ちょうど良いかな」
町に入ると、思っていたよりもしっかりとした町並みで、レンガ造りっぽい3階建ての建物がいくつもあったりした。
「そういえば、アカリさんやハリッサさんは何をしている人なのですか? ハリッサさんの強さは小さな子供とはおもえない程でしたし、アカリさんも凄かったですし」
「うーん、僕は鍛冶師だから鉱山を探しながら旅をしている感じで、ハリッサは僕と一緒に旅している妹みたいな感じかな」
「なるほど、では2人ともハンターなのですか?」
「ハンター?」
あれ?
ファイナルオンラインにハンターなんてシステムはあったかな?
「あの、ハンターってなんですか?」
「ハンターを知らないのですか? 私もそうですが、ハンターは冒険者ギルドに所属している人のことです。ギルドの中でハンターが一番規模も大きいと思っていたのですが……」
「ああ、冒険者ギルドなら知っています。冒険者ギルドに所属している人をハンターと呼ぶのは知りませんでした」
なんだ、ハンターってゲーム内のプレイヤーの総称ってことか。
ファイナルオンラインのプレイヤーは、キャラメイクが終わるとまずは冒険者ギルドの受付と話すシーンから始まり、冒険者ギルドから初心者用のチュートリアルクエストを受けて、ゲームに慣れるのだけど……この世界ではハンターと呼ぶのか。
「なるほど、もしかしたら地域によって呼び方が違うのでしょうか? 一応、今回の事件は冒険者ギルドに簡単な説明はしましたが、落ち着いたら再度報告に来て欲しいと言われてまして、良かったらアカリさん達にも来て欲しいのですが……」
「冒険者ギルドへ行くのは大丈夫ですよ。それにハンターになるのも興味ありますからちょうど良いです」
「それは助かります」
やはりファイナルオンラインのプレイヤーならば、ゲームと同じ様に冒険者ギルドに所属したいなと思っていた。
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