第19話 魔剣

僕とハリッサはレッドミスリルの採掘出来る鉱山から離れ、どこにあるか分からない町を目指して旅をしていた。


デュランダルからの攻撃により、僕は深い傷を負い、傷が完治するまでに1ヶ月位の歳月が経っていた。


痛みは無かったが、動くと傷口が開いてしまうので、ずっと安静にしていた。


ちなみにハリッサの傷が治っていたのは結局よく分からなかった。


僕の予想では、ハリッサはレベルの高い回復系のスキルを修得しているが、自分ではよく分かっておらず、デュランダルの攻撃により瀕死になった時、自己防衛的にハリッサ自身を治したのではないかと思っていた。


そのことをハリッサにも伝えはしたが、回復系スキルがあるかは分からないと言っていた。


「アカリお姉ちゃん、町に着いたら何するの?」


「とりあえずは地図とか服を買わないとね」


「服はあるよ?」


ハリッサは両腕を広げて自身の着ている作業服を見せてくれる。


「その作業服は採掘時スキル上げ時なら良いけど、町中を歩くにしては似合わなすぎるんだよね」


ハリッサは金髪の美少女で顔だけ見たら、どこかのお嬢様みたいな感じなのに、服装が作業服だから僕からしたら異質でしかない。


ハリッサは僕と同じ作業服で良いと言うが、町に着いたら必ずハリッサの服は買うつもりだ。


あとは地図を買い、大きな街を目指すつもりでいた。


そして、大きな街で魔王や勇者の情報収集をしなくてはいけないなと思っている。


出来れば勇者と会って情報交換などしたいなと思う。


「あとは鉱山の地図が欲しいな……」


「新しい剣を造るの?」


「うん、レッドミスリルではこれ以上スキルは上がらないしね」


ゴッドクオリティのツルハシが使えればスキルはまだまだ上がりそうだったが、ゴッドクオリティのツルハシを使った事で、デュランダルみたいな化物を引き寄せてしまうのではないかという恐怖があったために、あれから一度もアイテムボックスからツルハシとスコップは出さない事にしていた。


「私はこの赤い剣も好きだけどなぁ」


「ありがとね、でも紫や黒や青の武器はもっと強いよ」


「そうなの? 楽しみだなぁ」


「もしくはミスリル系ではなくて高硬度金属系かな……」


「何が違うの?」


「ミスリル系は晶石を加工するから魔法スキル付与がやりやすくて軽い反面、硬度や切れ味が低くて、高硬度金属系はミスリル系とは逆にスキル付与は難しいけど硬度や切れ味が高いかな。だから、今のところハリッサには高硬度金属系がオススメかな。まあ、ミスリル系でも難易度が高いものは硬度や切れ味も上がるから欠点も無くなり人気は高いかな」


「それなら私は高硬度金属系が良いかな~」


現状、ハリッサは魔法スキルや付与系スキルは使えないみたいだから、高硬度金属系が良いけどデュランダルみたいな強敵と戦うならば、ハリッサにも付与系スキルは使えて欲しいんだけどなぁ。


「ああ、あともう1種類あると思うんだけど、素材ではないけど魔剣や魔装みたいな風に呼ばれる特殊の武具もあってね、魔剣自体にスキル付与がされていたりするタイプの武器があるんだよ」


これはゲーム内で僕が一番好きなもので、一時期大量の魔剣や魔装を造り、そして格安でばら撒いた事により価格破壊が起こり、通常武具よりも魔剣などの相場が低くなるというおかしな現象が起きたりしたなぁ。


あれには戦闘系ジョブからは感謝されたけど、鍛冶関連の仲間から大ブーイングだったのを思い出した。


「魔剣もアカリお姉ちゃんが作れるの?」


「多分造れると思うけど、魔技宝玉っていうアイテムが必要で、それがダンジョン内にしか無かったんだけど、この世界にもダンジョンってあるのかな?」


あとはゲーム内イベントで配布されたりしたけど、魔技宝玉に関しては現実世界での入手方法が不明なんだよね。

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