その先、絶壁
園崎 渉
11月17日
また始まった。僕はことあるごとにこうして言葉を書きなぐり、日記と呼ぶには形而上的な、形而上と呼ぶには俗物的な、批評されるには稚拙な一日一日を書き記す。というのも、書き記すことに、再びその行為に自己治癒的な効能を認め、それによって再び僕の奥底の、27年間知ることのなかった自己の内面世界を映すことができるのではないか、と企図したからであった。
しかしながら、どうせこの手記も、きっと2、3日と経たずして、ネットの深海に沈むだろう。誰の目にも止まらずに、残るは少しばかりの恥ずかしさと、目の前に鎮座している無意味の堆積であろう。僕はその無意味を、その虚無を知っていた。27歳にもなれば、誰もが知っているはずだ。人生はいつの時も無意味から始まっていた。ああ、今日もニュースで誰かが他人を殺し、他人を憎み、そして人生に意味を見出そうと焦ってばかりいる。人生が無意味であるとき、人はどうしてその意味を考える必要があるだろうか。今日はこのへんで寝ようと思う。明日は書かないかもしれない。書くことによって、僕は人生の重大を見出せるだろうか。きっと消えるに違いない。
その先、絶壁 園崎 渉 @sonosaki_
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