第710話 猛攻を凌ぐ為に
ぎゃー!? 威嚇は知恵が高いと絶対に成功する訳じゃないの、忘れてたー!? 幻獣種って、どの進化系統か一目で分からないのも原因な――
「っ!?」
キツネさんが尻尾の火の球を撃ち出してきた!? 凄い勢いで、どうにか凌がないと、仕留められ……。
「あっ! これです! 『放電』!」
あ、やった! 私に届く前に放電を当てれば、そこで爆発してくれた!
金金金 : おっ! やるな、サクラちゃん!
サツキ : サクラちゃん、その勢いで迎撃だー!
水無月 : 迎撃だー!
「はい! 次、来ましたね! 『放電』!」
爆発して周囲に火の粉が散って、燃え広がってるのは気になるけど……今は私にこの火の球が届かないようにするのが最優先! 2発目、撃墜完了!
富岳 : 『九尾の炎弾』は何かに接触すれば爆発するから、サクラちゃんのその方法が、現状では最善策だな。
ミツルギ : そこに気付くかどうかが鍵だったけど、なんとか気付いてくれてよかった。
ミナト : 『咆哮』を使った時は、正直焦ったけどねー。
咲夜 : あそこで知恵が高い九尾の狐に『咆哮』を使うのは、完全な失策だもんな!
真実とは何か : それが真実なのである!
「うー!? そこはなかった事にして下さい! 『放電』!」
私も、あれは思いっきりやらかしたとは思ったけども! でも、今はこうやってちゃんと迎撃出来ているんだから、問題ない――
「わっ!? 『放電』! なんか発射の間隔が狭くなって……『放電』! 『放電』! 『放電』!」
火の球が迫るのがどんどん早くなったけど、なんとか迎撃は間に合ったー! 6発まで溜めてたはずだから、これで全部だよね……?
「って、わっ!? 今ので撃ち止めなんじゃ……ともかく、迎撃です! 『放電』! って、すり抜け……わっ!?」
ぎゃー!? なんで放電をすり抜けてくるの、今回の火の球!?
「……あれ? 爆発、しませんね?」
慌てて飛び退いて回避したけど……あれー? これ、どういう事?
金金金 : 不思議そうな狐っ娘アバター。今の攻撃は、別のスキルか?
神奈月 : 今の火の球、ただの『狐火』だな。
ミナト : うん、そうなるね。溜めてる分を使い切ったから、『狐火』の連発に切り替わってるよ。
富岳 : なんとか、危険な『九尾の炎弾』は凌ぎ切ったな。
「わっ!? わわっ!? 次々と火の球が飛んできてますけど、これは別物なんですね!?」
これなら、見切りの反応でなんとか避けれる範囲! 回避しても追いかけてくる様子もないしね!
ちょっと周囲が火の海になりつつあるけど……これ、私のせいじゃないし! あの危険な『九尾の炎弾』を凌ぎ切れたなら、もうやるべき事は決まってる!
「これ以上、交戦している意味もないですね! キツネさん、さらばです! 『逃走』!」
火の球を撃ち放ってくるキツネさんのスクショを撮ってから、方向を変えて走り出すのですよ! 真後ろも躱した『狐火』で、火の海になりつつあるけど……多少は仕方ないね!
突っ切って進まないと、完全に逃げ場がなくなるもん! 出来るだけ火が少ない所を選んで、逃走開始!
サツキ : サクラちゃん、再び逃亡開始!
水無月 : 逃亡開始!
紅葉 : ……凄い惨状になってるね。草原が、完全に火の海になってるじゃないかい。
「ちょっとやり過ぎですよねー! 『火傷』にもなってしまってるので、距離が取れたら、回復しないと……」
うー、もう完全に火に囲まれてたから、どうしても少し火に触れる事になっちゃったんだよね。でも、今止まる訳にはいかないし、ひたすら逃げないと!
ヤツメウナギ : もうここからなら、流石に逃げ切れるか?
こんにゃく : いや、まだ油断は出来んぞ。後ろから、追いかけてきてるしな。
イガイガ : さぁ! 果たして、サクラちゃんは逃げ切れるのか!?
G : タイムリミットは、『九尾の炎弾』の再使用時間が過ぎるまで! あ、違うな。『狐の業火』でもアウトか。
ミナト : うん、まぁそうなるかな? サクラちゃん、今の火の球が飛んでくるのが止まったら、かなり危険だからねー!
「『狐の業火』って、あの森を焼き払った攻撃ですよね!? あれを使われる前に、範囲外に逃げないといけないんです!?」
待って、待って、待って! 『火傷』は軽めだから継続ダメージは少ないとはいえ、HPは削れていってるから早く治療したいんだけど!
でも、状況的に今止まる訳にはいかないの!? あの火炎放射を受けたら、また死んじゃうよ!?
金金金 : 慌てふためく狐っ娘アバター。まだ逃げ切るには、時間がかかるか。
ミツルギ : まぁそれだけ、凶悪な敵って事なんだが……これ、どこに向けて逃げてるんだ?
富岳 : 方角的には北だが……敵のLvが上がってきてるな。ふむ、これは別の意味で危険か?
チャガ : いや、サクラちゃんも案外、Lvは上がってきているから、エリアの端の方まで行かない限りは大丈夫だろ。
「あ、そういえば、ここの最大Lvは15なんですよね! って、周囲の敵、同格くらいのばっかですけど!?」
待って、待って!? 現在地って、今どの辺り!? 最大Lv15で、今の周囲がLv10前後なら……半分以上進んでるはずだよね!?
「わっ!? いつの間にか、平原エリアの北東部で半分以上進んでます!?」
真っ直ぐ、荒野エリアから東に向かって進んでたと思ったら、全然違う位置までやってきてたよ!?
ミナト : 『逃走』は、移動が速いからねー。転びにくくもなるし、周囲を確認する余裕もなかったみたいだから、想像以上に移動してる状態だよ?
いなり寿司 : 完全体になった事で、基礎的な移動速度自体が上がってるしな。
神奈月 : あー、あるある。必死に逃げてたら、思った以上に離れた場所に行ってる事。
咲夜 : 再誕の道標を設置した場所からは、もうかなり離れたよなー。
イガイガ : となれば、死んであそこで復活するのも、ワンチャンありか?
富岳 : ありと言えばありだな。サクラちゃんを追いかけて、九尾の狐もかなり移動してきてるから、あの周囲は安全に戻ってはいる。
「それ、またキツネさんに殺されろって事ですかねー!?」
確かに手段としてはありなんだろうけど! 心境的には、嫌なんですけど!?
G : いやいや、あの九尾の狐に限る必要はないぞ! 殺してくれる個体は、周囲に山ほどいるからな!
いなり寿司 : 『縄張り』を展開して敵を集め、九尾の狐の攻撃を周囲の敵に当てて戦わせつつ、『雷纏い』と『破壊の咆哮』で一掃した後、再誕の道標で復活って方向性はありだな。
神奈月 : 少し立ち回りを間違うとあっという間に死にそうだけど……まぁありかもな。『縄張り』を展開してても、敵同士の戦闘はあり得るし。
ヤツメウナギ : あー、確か直接戦闘した相手の方が、優先対象だったっけ。
ミナト : 配信時間も残り少なくなってきたし、そういう手段で〆の戦闘もありかもねー。かなり距離は開いてきたけど、まだ九尾の狐は振り切れてないしさ。
「うー! 分かりました! 死亡上等です! キツネさんとは直接戦いませんけど、進化ポイントや経験値を稼ぐチャンスではありそうですしね!」
周囲もろくに確認出来ず、逃げ回ってるだけの配信じゃダメだもんね! 自分自身でキツネさんと戦うのには躊躇いがあるけど……他の敵を巻き込んで、戦わせるくらいは出来る! という事で、ズサッと止まって……。
「『縄張り』!」
うん、マップに索敵で反応が出てた敵が、私に向かって動き出した! それ以外にも一気に反応が増えた!
「敵が集まってくる前に、火傷と回復をしておきます! 『自己修復』!」
スキルで回復した上で、急いでアロエとドラゴンフルーツを食べて……うん、これで全快!
「それじゃ、本格的に戦闘開始です! 『雷纏い』『破壊の咆哮』! まぁ、逃げ回るんですけどね!」
回復してる間にキツネさんが距離を詰めてきて、火の球を飛ばしてきたけど……早くも突っ込んできたイノシシを麻痺させて、盾にして凌ぐのです!
サツキ : サクラちゃん、大乱戦を開始!
水無月 : 大乱戦、開始!
金金金 : さて、どの程度倒せるもんだかな?
ミツルギ : どうだろうな? サクラちゃんは、ある程度の溜めが出来るまでは逃げに徹するつもりみたいだが……。
富岳 : 『縄張り』と『雷纏い』の凶悪コンボだから、攻撃さえ上手く躱していけば、結構な数は倒せるはずだな。
ミナト : 九尾の狐に多くの敵を押し付けられれば、上手くいけばそっちも倒せるかもねー?
「それは難しそうな気もしますけど、出来るだけやってみます! わっ!? えいや!」
突っ込んできたウサギに噛みついて、キツネさんが飛ばしてきた火をウサギで受け止めて、放り投げるのさー! これで、麻痺が解けた後にキツネさんに攻撃してくれるといいんだけどね。
わっ!? わわっ!? 近くの森からリスが小石を投げてきてるー!? それに、他にも色々と出てきてるねー。クマとかオオカミとかイノシシとか!
でも、キツネさんを襲ってもらうには、あそこの森は丁度いいかも! 私も危ないけど、『雷纏い』の麻痺頼りであの中に逃げ込んじゃえ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます