第696話 完全体での戦い方


 ふっふっふ! 完全体相手には、長期戦ではなく、短期決戦を挑んだ方が良いとアドバイスはもらったのですよ! 全部が全部、そういう訳じゃないとは思うけど……。


「要は、殺られる前に殺れって事ですね! 攻撃する隙を与えなきゃいいんですし!」


 私なりの解釈としては、こうなるのさー!


ミツルギ : まぁ簡単に言えば、そういう事だな。

富岳 : サクラちゃんの場合は遠距離攻撃が強いんだから、生命系統や堅牢系統以外は一撃で仕留めるつもりでいい。

ミナト : 進化したての今なら、進化系統以外はそこまで極端に伸びてる事も少ないからねー。まぁ今日出てきたタヌキみたいに、予め準備されてる場合とかには避けられたりもするけど……基本は交戦に入ってから回避や防御に動くから、あのタヌキは特殊例と考えた方がいいよ!

イガイガ : まぁ特殊例が色々いるというのも問題ではあるけど……それでも、攻撃的な構成の相手は先手で攻めるのみ!

真実とは何か : それこそ、真実なのである!


「もし変なのが出てきた時は、その時に臨機応変に対応ですね! 了解です!」


 うふふ! 全部の敵に対して慎重になりかけてたけど、それは駄目だったんだね! 煽り気味だったGさんやイガイガさんは、その辺を見越して……んー、あの2人の場合、攻めた上で、変なのを引き当てるのを期待してそうな気がする!? まぁそれでも別にいっか!


「ちなみに、これって思いっきり射線上に木々があるんですけど……大丈夫です? 威力、落ちまくりません?」


 射程そのものは普通に届いてるし、凝縮もしまくれる範囲だけど……それでも森の木々が邪魔な気がする!


ミツルギ : あー、その辺は問題ない。『獅子咆哮』そのものの威力は多少削がれるけど、器用系統で進化してるからそもそもの元の威力が相当高いし、凝縮すれば更に跳ね上がるからな。

チャガ : 邪魔な木々そのものを根こそぎ吹っ飛ばして、それがぶつかる事そのものもダメージに繋がるからな。完全体の攻撃を削り切れる要素なんざ、早々ないぞ。

G : それこそ、沼を底まで吹き飛ばせるなんて芸当も出来る訳だしな。まぁあれは『破壊の咆哮』だったからこそだが。

神奈月 : 一番威力を削られるのは、水中の敵へのくらいだよなー。

ヤツメウナギ : 水はしゃーない。根本的に、環境が違い過ぎるのが要因だし。

イガイガ : まぁ水でも、凝縮しまくって入る範囲を絞れば、それなりに通るけどな。広範囲のままで攻撃するのが厳しいだけだ。


「あ、全然問題ないんですね? だったら、こっちは森の中で姿を隠しながら、森の木々ごと敵を吹っ飛ばすのが良さそうです!」


 そういう意味では、今の環境は絶好のチャンスなのかも! 敵がなんなのかが分からないのが難点な気もするけど……まぁこれまでもそういう戦い方は何度もしてきてるし、今更だよね!


「よーし、溜めも完了です! それじゃ、仕留めていきましょう!」


 ちゃんと固まっている3体の敵が射程に入るように、凝縮を調整して……ちょっとだけ、射程は長めにしとこうかな? ギリギリ過ぎて、吹っ飛ぶのが木だけになっても困るし! ……こんなもんかな?


サツキ : サクラちゃん、いっけー!

水無月 : いっけー!


「はい! 獅子咆哮、いっけー!」


 おー! 思いっきり衝撃が、木々を吹っ飛ばしたり、薙ぎ倒していくね! 成熟体の縄張りでステータスを強化してた時より、かなり威力が高いような気もするんだけど――


<完全体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<完全体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<完全体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【至妙なライオン【雷】】が完全体:Lv3に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを5獲得しました>


 あ、あっさりと3体、撃破になったよ!? おー、目の前の木々が吹っ飛んでるから、視界も一気に拓けてる!?


「思ったより、あっさりと倒せましたね? ……本当に、先に攻撃を仕掛けた方が楽っぽいです!」


 うふふ! 警戒してた完全体の敵だけど、あっさり倒せる時はこんな感じなんだ! 過剰に警戒し過ぎてたの、本当みたい!


ミツルギ : まぁこれの欠点は、何を倒したかが分からない事だがな。

こんにゃく : 目視せずに攻撃してるから、そこは仕方ない。

ヤツメウナギ : というか、そもそも『縄張り』で広範囲に対して交戦状態になって、マップに表示されてるからこそ出来る事だしなー。

富岳 : まぁ確かにな。今の距離だとサクラちゃんの『索敵』のLvでは範囲外だろうから、この状況だからこそだな。

ミナト : 敵を目視出来る状態なら、相手が器用系統の場合は向こうも射程圏内になっちゃうしねー。


「……あはは、いつでも出来る訳じゃないやり方なんですねー。その辺は気を付けます!」


 死ぬ直前に『縄張り』を使ったからこそ、今の環境が出来てるもんね! 逆に言えば、この状況が成立している間は、今の手法を繰り返せば一方的な殲滅が可能!


「あ、そうだ! 今の『獅子咆哮』、これまでよりも威力が上がってた気がするんですけど、気のせいですかねー? 『縄張り』を使ってたら、今のステータスは超えてたと思うんですけど……」


 少し前に解放した『器用+60』の影響も大きいとは思うけど……それにしては、強力になり過ぎてる気がする!


咲夜 : いやいや、普通に今のステータスは『縄張り』使用時を超えてるから!?

ミナト : 成熟体のLv60の時で、器用は400は超えてなかったと思うから……素で600越えの今の方が強いよ?


「……え? あー!? 超えてないって思い込んでただけです!? もう今、縄張りでの強化よりも上なんですか!?」


 わー!? 私の勝手な思い過ごしだったっぽいよ!? シンプルにステータスが上がって、今までよりも最大威力が上がってる状態になってるんだ!?


ミツルギ : まぁ一応、進化階位が上がればスキルの威力の算定基準も少し上がるから、同じステータス値でも進化階位が上の方が威力は出るぞ。

神奈月 : 敵のステータスも上がってるから実感しにくい部分だけどなー。

いなり寿司 : その辺の影響がない自然の破壊では、威力の上昇を実感しやすくなる部分でもある。

真実とは何か : それが真実の仕様なのだ!

金金金 : まぁ敵の強さを実感するって事は、それ相応にサクラちゃん自体も強くなってるって事だよな。

ミナト : うん、そういう事だね。

咲夜 : ぶっちゃけ、完全体になってから厄介な敵が立て続けに出過ぎただけだしな!

イガイガ : それは間違いないな! 完全体になって早々、ヤマタノオロチとの遭遇とか、レアパターン過ぎるぞ。


「あのヤマタノオロチ、レアなんですか!? なるほど、私自身も強くなってるんですね!」


 そっか、そっか! なんか過剰に警戒しちゃってたけど、ちゃんとそういう相手を倒せられるだけの強さは、私にもあるんだね!


チャガ : だがまぁ、対等以上に渡り合えるのは遠距離の場合だけと考えておいた方がいい。今の俊敏のステータスで、近接相手に挑もうなんてのは……かなり無謀だ。

ヤツメウナギ : 相手も俊敏が弱点なら、渡り合える可能性はあるけどなー。弱点になってなければ……速度負けは普通にあり得る。

サツキ : 距離を詰められないように、要注意だね!

ミナト : まぁ速度が劣っていても、攻撃をキッチリと見極められれば、ギリギリで回避は出来る範囲ではあるかなー?

神奈月 : それ、またもや超上級者の領域の話だから! システムの補佐なしに、フルダイブでジャスト回避の連発なんて真似が出来るか!?

こんにゃく : それでも、それをシレッとやってしまうプレイヤーもいるのが恐ろしいところでもある……。


「……あはは、私にはそれは無理ですね!」


 『見切り』での大雑把な攻撃範囲から、大きく回避するので精一杯だもん! それでも避け切れない時はあるし……自力で敵の攻撃を見極めて、ギリギリで回避なんて不可能なのですよ!

 他のゲームでも、そういうギリギリの回避をするシステムはあるけど、大体はシステムの補佐があるもんね。モンエボでも……再使用時間は長いらしいけど、自動回避のスキルはあるんだし、自力でやるのは無茶な話なんだと思うのですよ! ……それをやっちゃえる人って、凄いよねー。


「まぁともかく、遠距離攻撃で溜めていけば渡り合えるのは分かりました! この調子でどんどん、敵を仕留めていきましょう!」


 自分の強みを活かすのが大事ってのはよく分かった! それで、今日の配信中にどこまで育てられるかなー? そもそもここのエリアボスのLvっていくつなんだろ? 1つのエリアでのLv幅は広がってるって話だったけど、いくつになってるかは不明なままなんだよねー。

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