第686話 草むらの中には
ふっふっふ! 『獅子咆哮』の溜めは完了! それじゃ、邪魔な草むらの除去をやっていこー!
「草むらとカメ、一緒に吹っ飛んで下さい! 『獅子咆哮』、発射です!」
草むらの範囲がどの程度か分からないし、マップも未解放で調整がしにくいから、凝縮は無しでぶっ放すのですよ!
「おー! 草や泥が吹っ飛んでますし、やっぱり沼だったっぽいですね! カメもこの足場では踏ん張れ……って、なんか大きなヘビが複数いませんか!?」
待って、待って、待って!? これ、複数いるんじゃなくて、胴体が繋がってない!? あ、姿を隠してる沼の泥が吹っ飛んで……うん、全身が見えたけど、思いっきり繋がってた!
「というか、名前が『ヤマタノオロチ』なんですけど!?」
ぎゃー!? これ、少し前に話題に出てたやつー!? 頭と尻尾が8つある大蛇とか、そんなのが草むらに隠れてたの!? うーん、草むらというよりは、沼の中に沈んでた?
咲夜 : おー、ヤマタノオロチが出現か! この手の、出てくるのが早いな!
ミツルギ : この段階で幻獣種の出現とはなー。イージーでの出現率は低めなのに、良い引きをしてる。
ミナト : 草むらの中で何かが複数動いてるとは思ってたけど、まさかヤマタノオロチとは思わなかったかなー? あ、ちなみに神話で出てくるヤマタノオロチよりは遥かに小さいからね。
神奈月 : まぁ元ネタのサイズは、デカ過ぎるからなー。
金金金 : ヤマタノオロチの元ネタだと……山くらいのサイズはあるし、流石にそれはデカ過ぎるか。それにしても、完全体からの出現とは言っていたが……まさかこんな形で出てくるとは。
「いきなりでびっくり過ぎますよ!? でも、沼の全貌は今の攻撃で分かりましたし、カメとヤマタノオロチの2体だけなので、なんとか相手には出来そうです!」
ヤマタノオロチ、私のライオンよりも大きいけど、大きければ強い訳じゃなーい! カメもそこそこ大きいはずなんだけど……まぁあっちは沼の泥や草むら一緒に吹っ飛んでいったから、今はいいや!
「とりあえず、今ので結構ダメージは入っているので、ヤマタノオロチに追撃していきます! 『放電』『放電』『放電』!」
下手に距離は詰めず、遠距離からの攻撃だー! かなりの巨体だけど、その大きさはただの的なのですよ!
「って、わわっ!? ちょ!? この巨体で、一気に突っ込んでくるとかありです!?」
真横に飛び退いて回避ー! ふぅ、迫力はあったけど、速度はそれほどでもない感じかな?
このヤマタノオロチ、Lv2なんだね。倒せないとは思えないけど……この巨体、厄介!
「というか、ヤマタノオロチって進化系統が出てないんですね!? これ、何系統での進化なんです!? 弱点は『屈強』『堅牢』『俊敏』『器用』『知恵』にはなってますけど……弱点、多いですね!?」
進化系統は弱点に出てない『生命』で確定なんだろうけど……さっきの獅子咆哮でHPが半分も削れてないんだし、耐久性はかなり高そう? でも、なんか変だよね、この表記!?
ミツルギ : ヤマタノオロチは……一応、生命系統の進化になるな。まぁ別の進化条件もあるんだが……そこのネタバレになるから、説明は避けておこう。
富岳 : ヘビは特定条件を満たしつつ生命系統で進化していけば、頭が増えてくるぞ。まぁイージーでは、完全体でなければ別の条件を満たす事も少ないんだがな。
ミナト : 完全体でも、今の段階で満たしてくるのは相当レアだけどねー。
「スキルツリーの解放を最大までする以外にも、何か別の進化条件があるんで――わっ!? っ!? 『身構え』!」
ちょ!? 噛みついてきたと思って飛び退いたら、次々と他の頭まで迫ってくるってありなの!? 咄嗟に身構えで踏ん張ったし、ダメージは思ったほどないけど、ビックリしたんだけど!?
ヤツメウナギ : ヤマタノオロチは、こういう攻撃が嫌らしいんだよなー。
こんにゃく : 複数部位を持つからこそ、それを使った多段攻撃を仕掛けてくるっていうね。
いなり寿司 : まぁ幸い、今の段階での個体だからステータスに偏りが思いっきり出てるっぽいがな。
G : 弱点が多めの構成になっているのはラッキーだな。
ミナト : 見た目ほど威力はないから、しっかりと距離を取って、攻撃を躱していけば大丈夫だよー!
「あ、そうなんですか! 確かに『身構え』で半減にしたとしても、今のなら元のダメージは大した事はないですもんね。……これ、見かけ倒しですかねー?」
驚異的に見えたけど、実は単に耐久性が高いだけの個体なのかも? 『今の段階』って部分が気にはなるけど……まぁいいや! 身構えの効果が切れたら……。
「って、別々の頭であちこち巻きつかないでくれませんかねー!?」
ぐぬぬ!? 私が今、身動きが取れないからって、胴体や脚、首とかに分かれて巻きついてくるんじゃなーい! これ、効果が切れたら、すぐに振り払わないと! 思いっきり締め付けてきてて、ダメージも入ってるし!?
「首を絞められるの、不味くないですかねー!? これ、下手したら窒息になるんじゃ!?」
待って、待って! 本当にそれは待って!? ダメージ的には大した事はないのに、窒息だけは致命的だから!? ぐぬぬ! 早く、『身構え』の効果は切れて――
「……え? あ、カメが突っ込んできました!?」
今、思いっきり衝撃が来て、ヤマタノオロチの巻きつきの力が緩んだよ! うん、私に向かって突撃してきたっぽいけど、巻きついてたヤマタノオロチが盾になった感じ!
サツキ : サクラちゃんを襲ったつもりが、ヤマタノオロチを襲うカメ!
神奈月 : いい具合に、ヤマタノオロチが盾になったか。
ミツルギ : でも、まだ巻きつきは継続中。油断すれば、そのまま窒息で死ぬぞ?
「わー!? それは困ります! あ、『身構え』が切れましたし、これで脱出です! 『咆哮』!」
うん、ヤマタノオロチが萎縮になって巻きつきが解けたから、強引に振り払って脱出! ふー、これで窒息は避け――
「わっ!? わわっ!? このカメ、連突撃ですか!?」
堅牢系統なんだし、この攻撃の仕方には覚えがあるもん! 力なく8つの頭が項垂れたヤマタノオロチは今はスルーして、回避に専念……よりは、この攻撃は利用するのがいい気がするね?
「えいや! おー、この巨体、いい盾ですね!」
うふふ、ヤマタノオロチの上に飛び乗るように回避したら、カメは思いっきりヤマタノオロチへ突っ込んでいってるよ!
「ふっふっふ! この調子で、カメにどんどん削ってもらいましょう! その間に、私はこれの準備です! 『破壊の咆哮』!」
ヤマタノオロチが私のいた場所まで突っ込んできてくれたおかげで、戦場は沼じゃなくてちゃんとした陸地になってるもんね! 沼の中へ遠距離攻撃を仕掛けていくつもりだったけど、この状況はいい感じ!
こんにゃく : カメの攻撃を、ヤマタノオロチに当ててるー!?
ミツルギ : まぁ動けない状態のこの巨体は、いい盾にはなるな。
サツキ : サクラちゃん、回避の着地先には要注意だよー! 沼って、微妙にしっかりした足場との境目は分かりにくいから!
咲夜 : あっ!?
ミツルギ : あー。
ミナト : あらら、忠告は遅かったみたい?
富岳 : みたいだな。
いなり寿司 : その回避先は……よくないな。
「……え? あー!? それ、もう少し早くに言ってくれませんかねー!?」
ぎゃー! ヤマタノオロチを飛び越えて、次のカメの攻撃を回避しようとしたら、その先は獅子咆哮で吹っ飛ばせてない草むらのとこだった!?
「思いっきり、脚が沼に嵌ったんですけど!?」
ぐぬぬ!? パッと見ではしっかりしてる地面に見えたのに、着地したらズボッと沈んだんですけどー!? この状態、絶対に良くないよね!?
G : まぁやっぱりサクラちゃんはサクラちゃんだな!
イガイガ : やっぱり期待を裏切らないもんだ!
真実とは何か : それが真実なのである!
チャガ : ヤマタノオロチの巨体は盾にはいいが、視界を制限されるのが大きなデメリットになったな。
ミツルギ : 埋まり具合は……あー、比較的マシな埋まり方か。これなら脱出は出来るか?
ミナト : んー、ちょっと厳しいかも? 今、戦闘中だしさ。
「わー!? やっぱりそうなります!? って、ヤマタノオロチも『萎縮』が切れて動き出しました!?」
カメからかなり攻撃を受けて、もうHPは3割くらいまで減ってるけど……どう考えても私の方がピンチじゃないですかねー!? ここから、どうやって凌げばいいの!?
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