第675話 宣伝タイム
ARでの牧場体験……ちょっと気になるけど、今はアイスの宣伝を優先だー! とりあえず、スプーンも取り出して……。
「それでは、アイスをいただきます!」
スプーンでアイスを掬って、パクリと一口! んー! これ、前よりも濃厚になってる気がする!
金金金 : 満面の笑みと、パタパタ動かす両足……。いいな、この新しい縁側!
ミツルギ : 足の動きが見えるのは、これまでとは違ったものだしな。
イガイガ : 確かにいいっすなー!
いなり寿司 : ん? サクラちゃんの履いてる草履……なんか見覚えがあるんだが、気のせいか?
「あ、いなり寿司さん、気付くの凄いですね!? この草履、私が作ったヤツじゃなくて、サツキさん作です!」
あっさりと見抜かれたのはビックリだけど……さては姉さん、全く同じものを自分でも使ってるね!? いなり寿司さんが姉さんとリアルで接点があると分かった以上、見てる可能性はあるもん!
サツキ : ふふーん! 伏せておくつもりだったけど、その必要はなくなったー! まさしく、その草履は私がプライベートのVR空間で使う為に作ったもの! サクラちゃんにも同じのあげてるから、今回はそれを使用だね!
いなり寿司 : やっぱりか。何度かフルダイブで会った時に見た覚えがあると思ったが……。
「あはは、本当は自分で作りたかったんですけど、時間が足らなかったのでこういう形になりましたけどねー」
なんというか、姉さんとの関係性を堂々と言ったら、色々と話題が広がるね? ……ちょっと配信の方向性がズレかねないから、その辺は注意しないと!
「まぁその辺はいいとして……このアイス、前に食べた時よりも濃厚な味わいになってます! それに舌触りの滑らかになってますねー!」
もう一口分、スプーンで掬ってパクリ! うん、やっぱり美味しいね! そこらで普通に売ってるアイスとは、一味違うのですよ!
金金金 : ……ごくり。通販は……あー、リニューアルオープンになってから解禁か。
ミツルギ : 相変わらず、美味そうに食うもんだな。でも、アイスの宣伝をするならリニューアルオープンをしてからの方が良かったんじゃないか?
イガイガ : 注文したくても、まだ出来ない状況はもどかしい!?
「えーと、アイスの宣伝はおまけで、メインは牧場のリニューアルオープンの宣伝って事ですねー! これ、実は急ぎでってお願いされてますし! 『お子様の夏休みの思い出に如何ですか?』という事ですね!」
兄さんから渡された資料の中に、そんな記載もあったもんねー! えーと、その資料も眺めながら、宣伝、宣伝! ちょいちょい、アイスも食べながら!
「さっきチラッと言ったAR体験の他に、乗馬体験や餌やり……あ、今食べてるこのアイスを実際に作ってみるって体験もありますね!」
そっか、このアイスを自分達で作れるってコーナーもあるから、それを交えての宣伝になってるんだ! アイスを自分で作って食べるのはAR体験では出来ないみたいだし、現地に行くしかないやつだー!
水無月 : おー、アイス作りとかあるんだ! ちょっと行ってみたいかも?
神楽 : あー! なんかいい宣伝してる!? 宿泊施設もあるみたいだし、うちの子を連れて家族で行こっかな?
サツキ : 諸事情あって、リニューアルオープンが遅れちゃったから、予約はまだ空いてるはずだよー! 行ける人はレッツゴー!
金金金 : いつもの商店街から、そう遠くもないから……行って行けない事もないか。夏休みの間に、甥っ子でも連れてってやるかな。
ミツルギ : たまにはリアルの動物と触れ合ってみるのもありか……? いや、でも成人の男1人で行ってもな……。
咲夜 : 確かに、男1人では行き辛い!? 家族連れや恋人でもいれば、行きやすいそうな場所だけども……!
富岳 : モンエボは動植物に興味がある人は多いから、牧場との親和性は高いが……個人的な参加ハードルが地味に存在するな?
「あはは、まぁそこは私にはどうしようも出来ない部分ですけどねー!」
行ける距離なら、家族サービスや恋人とのデートとかには良さそうな場所だろうし、友達同士で一緒に遊びに行くのも出来そう!
あっ! 結月ちゃんが興味を示してるし、楓さんも誘って3人で遊びに行くってのも出来るかも? そういう感じで遊びに行くのもいいかもね! 宣伝したって事で、割り引きしてもらえるとかないですかねー?
「さーて、とりあえず宣伝は一旦ここまでにしますね! アイスはまだもう1個ありますので、それは配信中のどこかのサイコロタイムの時にでも食べますよ!」
ふふーん! なんというか、宣伝の試食データは2個セットというパターンになってきているのですよ! まぁ美味しいから、2回食べられるのは大満足だけど!
神奈月 : 相変わらず、サイコロタイムはやる予定なんだな。
金金金 : 半ば、広告枠として存在し始めている状況。
真実とは何か : それが真実なのである!
「あはは、まぁそれは否定出来なくなってきましたねー! 今日は何をサイコロで決めましょうか?」
実況外のプレイでかなり進化ポイントは稼いでるし、新しく解放されたスキルツリーの中身を見てから、その中の何かを解放するのもありかも!
サツキ : あ、サクラちゃん! もうここまで色々言っちゃってるし、例の衣装の件も言っちゃっていいんじゃない? こっちは了承は取れたし!
金金金 : 衣装だと!? もしかして、ガチで衣装替えがあり得るのか!?
ヤツメウナギ : 食いつき、早いなー。
こんにゃく : サツキさん絡みなら、衣装も宣伝絡みか?
「あのー、その話自体はしましたけど、詳細がどうなってるかはまだ私も知らないんですけど!? これ、配信中に言っちゃって大丈夫なんです!?」
確かに衣装替えの件は受け入れたけども、配信中に言っちゃっていい内容なの!? これ、姉さんの暴走だったりしません!?
サツキ : 大丈夫、大丈夫! そこの店主さんも、今見てる真っ最中だし!
いなり寿司 : あ、マジだな。音声なしのコメントで、『ユーカ呉服』をよろしくお願いしますってあるわ。あー、不用意にコメント欄で宣伝はするなよ。そういう行為は、色々と危ないからなー。
咲夜 : コメント欄で、すでに宣伝が入っとる!? そして、弁護士から注意されとる!?
富岳 : ……まぁ宣伝行為はちゃんと許可を取って、宣伝だと明示してやらないと危ないからな。サクラちゃん、話が通ってるなら、一応の許可は出しといてやれ。その方が安全だ。
いなり寿司 : ま、そうなるな。半ば強引なのもあんまり良くはないんだが、元から話が進んでたなら……事後承諾でもサクラちゃんの一言があるだけで、かなり違ってくるぞ。
「あ、はい! えーと、詳細はこれから決めるって事にはなるんですけど、『ユーカ呉服』さんからレンタルの浴衣を日替わりで色々着ていく事になりそうです?」
お店の名前、今知ったばかりだけど……姉さんが言ってた内容はこれで合ってるよね? 衣装替え自体はしたいし、これも宣伝にはなるとも言ってたし、決して悪い話ではないし……配信中にやる事じゃない気もするけど、もう決めちゃって大丈夫だよね?
ミツルギ : なぜ、疑問系?
イガイガ : まだ正式に話が決まり切ってないからなんじゃね?
いなり寿司 : サツキさん、正式に手順を踏んでいない宣伝は法的にアウトになる場合もあるから、危うい動きをさせるなよ?
サツキ : ……はい。えっ!? 今日もまた正座なの!? わー!? ごめんなさい!? ……反省します。
ミナト : ……あはは、また旦那さんに怒られてるみたいだね。
富岳 : まぁそれもいつもの事になってきたけどな。
「……あはは、具体的にどういう形になるかはこれから決めるんですけど、浴衣へと衣装替えをする可能性はあると思って下さいねー! 多分、宣伝という形になるとは思います!」
姉さんが少し先走っちゃったけど、まぁそういう方向性で話は進みそうだし、問題なーし! 私も衣装替え自体はしたいんだし、自分で作るのは難しい状態だとも分かってきたから、手段としてはありなのですよ!
金金金 : 浴衣……浴衣……浴衣……よし、是非とも髪は纏めて上げてくれ!
こんにゃく : 浴衣じゃなくて、髪型へのリクエストかよ!
ミツルギ : そういうとこはブレないな、金金金さん。
G : ……遅れたと思ったら、まだ和室? あー、縁側に座ってるし、宣伝が終わってから改装の紹介でもしてたか?
「Gさん、こんばんはー! 宣伝はそうですけど……そういえば、改装のお披露目、あんまり出来てないですね!? ……まぁ脱線しまくってますし、今はせずに、次のサイコロタイムの時に色々とお披露目をやりましょうか」
一番見せておきたい縁側の部分は見せられてるし、そろそろモンエボをやっていかないとねー!
サツキ : 今日のモンエボのプレイ、開始だー!
水無月 : 開始だー!
紅葉 : まだメインコンテンツに入ってなかったんだね。
「あはは、まぁ今日はいきなり色々ありましたからねー! それじゃ今日もモンエボのプレイ、やっていきましょう!」
色々とこれまでとは明確に状況が変わったんだろうけど、心境としては大きな変化はないし、皆さんの反応も普段とそう変わらない。変に取り乱す事もなくなってるのは、私が成長したって事なのかも!
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