第674話 18回目の配信
わー!? 言っちゃった!? もうほぼ隠してる意味がなくなってたからって、思わず勢いに任せて言っちゃった!? ……ううん、でも、今のは言っておいて正解だよね!
「まぁだからと言って、私が何か変わる訳じゃないので、これまで通りでお願いします!」
うん、これは大事な部分! 姉さんとの関係性が大々的に分かったところで、私自身が何か変わった訳じゃないもん!
ミツルギ : まぁサツキさんが出てくる前と、特に何かが変わった訳でもないしなー。
イガイガ : 確かにそりゃそうだ。精々、見にくる人が増えたくらい? ……増え方は凄いけど、それで定着するのはサクラちゃん自身の成果だしな。
サツキ : ふふーん、そうですとも! 今でこそ色々と教えるようにはなったけど、配信開始時には私の手は一切入ってないからね! あれこそ、私のサクラちゃん自身の実力!
いなり寿司 : ここぞとばかりに、堂々と宣言し出したな。
金金金 : ……ん? 『今でこそ』って……あー、宣伝を持ち込んでるからか。
「あはは、実は少し前からデザイン系の事は色々と教わるようになってまして? その成果を活かしてみたのが、今回の和室の改装ですね! あと、私はサツキさんのものではないですから!」
サラッと『私の』とか言ってくるけど、姉さんの所有物になった覚えはないもん!
ミナト : えーと、サツキさん? あんまり調子に乗ってると、また旦那さんに怒られるんじゃない?
サツキ : ……え? あー!? 思いっきり頷いてる!?
富岳 : そりゃまぁ頷くだろうな。
ミツルギ : そもそもの現状、ほぼサツキさんが原因だよなー。音声なしのコメント欄、凄い事になってるし。
水無月 : わっ! いつも以上にカオスな事になってる!?
「わっ!? 本当ですね!?」
プロの方々が思いっきり『正式発表!』とか書いてるし、『立花サナ、シスコン確定』とか……うん、まぁ色々と書かれてるね。
……チラッと、『ステマ』とか『ヤラセ』も見えるけど、それは無視でいいや。なんか『元々、こんな感じ』とか『元からポンコツ』とか『これは作れるドジっ子ではない』……って、誰がポンコツですか!? ドジっ子でもないよ!?
サツキ : あ、私はともかくサクラちゃんを誹謗中傷しようもんなら覚悟してね? お金はあるし、全力で潰しに動くから――あ、痛!? え、なんで怒るの!? ここ、姉として守らないと駄目な部分だよね!?
いなり寿司 : 恫喝はするな、恫喝は! ……ったく、サツキさん、妙な仕事は増やすなよ。
サツキ : ……はーい。
ミナト : あれ? もしかして、サツキさんといなり寿司さんもなんか関係あったりするの?
金金金 : 今の感じ、何かありそうだよな?
いなり寿司 : あー、まぁこういう流れになった以上、何かしらサクラちゃんにも関係してくる可能性もあるし、一応牽制も兼ねて言っとくか。俺、サツキさんのとこの顧問弁護士。
紅葉 : ……まさか、弁護士さんがいるとはね。
「いなり寿司さん、サツキさんの関係者だったんです!?」
待って、待って、待って!? 今日、ちょっと色々とあり過ぎない!? 予想外にも程があるんだけど!?
ミツルギ : サクラちゃんすら知らなかった事実が判明。……そういう事ってあるんだな。
イガイガ : モンエボは他に類似性がないゲームだから、プレイヤー層が意外と偏りがちではあるけど……まさか、そういう繋がりか。
サツキ : そして、ゲーム仲間だったりもするよ! まぁ正確には私の顧問弁護士というよりは、住んでるマンションのトラブル解決役の人だけど!
ミナト : ……え? あれ、それってひょっとして……あー、うん、まぁいいや。
富岳 : あー、ここはガチで荒らしたらヤバい場所か。弁護士は資格なしに語るとヤバいから、いなり寿司さんは本当に本業だろうよ。
いなり寿司 : まぁ別に疑うなら疑うで構わんけどな。必要とあらば、本名と登録番号を出した上で動くまでだ。
金金金 : わっはっは! 必要とあらば、その費用は俺も出そう!
イガイガ : そういや、こっちにも金持ちがいるんだった。あー、これは色んな意味で安泰か?
いなり寿司 : 正直、ただの偶然で見つけたサクラちゃんの配信だったんだが……サクラちゃんの実の姉がうちの関係者だと知った時はビックリしたぞ。
サツキ : 私だってビックリしたよ! 『面白い配信を見つけた』って紹介されたら、うちの弟から聞いた内容と同じものだったんだし!
水無月 : 知らないところで、偶然が重なってたの!?
真実とは何か : 真実とは複雑怪奇なものである!
「……あはは、色々とびっくりですね」
まさか、いなり寿司さんが姉さんとリアルで関係がある人だとは思ってなかったよ! でも、いなり寿司さんと姉さん、SNSで交流があったのは見た事があるし、そこまで不思議に思う事でもないのかな? うん、偶然って恐ろしいねー!
「まぁリアルのあれこれはそろそろ終わりにして……あっ!? 今日の宣伝、まだ全然出来てないです!?」
わー!? 1回目の宣伝は、配信前の時間にやろうと思ってたのに、完全に18時を過ぎちゃってるよ!?
ミナト : サクラちゃん、今日の宣伝は何の予定?
ミツルギ : 別に合間でもいいとは思うが……てか、サツキさんが宣伝を持ってきてるのは前々から分かってたが、改めて考えると出所が凄いな。
サツキ : ふっふっふ! 私の行きつけの商店街だし、あそこは地方分権の再開発指定都市になってるからね!
富岳 : あぁ、そうか。言われてみれば、あの地域はその対象か。……サクラちゃんの宣伝が妙に地域に根差したものな気がしてたが、移住者を狙ってる部分もあったんだな。
ミツルギ : あー、今までのは地域振興の案件だったのか。なるほど、それは色々と納得。
金金金 : なるほどなー。……引っ越し、検討するか?
神奈月 : 思いっきり、ここで釣れてる人がいた!?
「どうも、そうだったっぽいですねー? あ、でも今日の宣伝は違いますよ! 前にもあった、牧場でのアイスが完成したそうなので、その件です!」
うふふ、あのアイスはもの凄く美味しかったもんねー! 正式にリニューアルオープンが間近みたいだし、急ぎという事だからちゃんと宣伝はやらないと!
ミナト : あ、前にあったあれなんだ! あれなら、普通に買いたいね。
金金金 : あれか! サクラちゃん、とりあえず試食は後でもいいから、URLだけでも貼っといてくれ。即座に注文する!
ミツルギ : どこかの牧場でのアイスだったか。あれは確かに食いたいな。
チャガ : おっす。おっ、和室から縁側に変わってるのか。少し遅れたと思ったが、まだモンエボは始めてないんだな?
「あ、チャガさん、こんばんはー! えーと、色々と予定外の事がありまして……。牧場のアイスは、まだ発売開始じゃないので……えーと、先にそっちの宣伝をやっちゃいますね! モンエボの続きは、その後からやっていきましょう!」
うん、その流れの方がいい気がしてきた! あのアイス、何気に皆さんも既に知ってるものだしね! 私としても、前に食べた時とどう違うのかが気になるし!
「えーと、このまま縁側でやっちゃいますね。今回の宣伝はこちら! 今週の土曜日にリニューアルオープンになる『カワノエ牧場』で販売される、シンプルなバニラアイスです!」
という事で、試食用のを取り出して……おー! 見た目からしてもう全然違うよ!
「前は無地の容器でしたけど、今回は牛さんのイラストと牧場のロゴも入ってますねー!」
うふふ、可愛らしいイラスト付きだー! ……あれ? このイラストの感じ……もしかして!?
サツキ : その牛のイラスト、私の仕事ねー!
神奈月 : サツキさんの仕事かよ!?
ミツルギ : 繋がりを堂々と言えるようになったら、遠慮がなくなってねぇ?
サツキ : これまで我慢してたんだから――痛っ!? え、わー!? ごめんなさいー!?
いなり寿司 : またやってんな、この夫婦。
紅葉 : これ、どういう状態なんだい?
水無月 : あはは、サツキさん、たまに一緒に見てる旦那さんに怒られてるんだよね。
紅葉 : ……なるほどね。どんな有名人でも、人間なのは同じって事かい。
ミナト : あはは、まぁ知名度と性格は比例する訳じゃないからねー。サツキさん、ある程度は自重しないと、サクラちゃんに嫌がられるよ?
サツキ : それは嫌ー!?
「そう思うなら、本当に自重してくれませんかねー!? 宣伝を持ってきたサツキさんが、宣伝を邪魔してどうするんですか!?」
この牛さんのイラストは姉さんのものな気はしてたけど、それを大々的に今言う必要はなかったよね!? ……まぁそれはともかく、食べる前にとりあえず色々と情報を載せておこー!
「えーと、こちらが『カワノエ牧場』さんのホームページになります。アイスは通信販売にも対応しているそうですし、ロボットをARからの操作して、牧場体験なんてのも出来るようなので、気になる方はそちらもどうぞ!」
現地に行かなくても、ロボットを操作して牧場の中を歩いているように感じられる体感コーナーなんてのもあるんだね。
ミツルギ : ロボットの遠隔操作か。珍しいパターンだな?
イガイガ : フルダイブでの仮想空間が多いけど、ARで触感再現とは……。
金金金 : 今までARでの細かな触覚再現は医療用や工業用のみだったはずだが……民間にも出回り始めたか。
ミナト : んー、ARだとどんな感じなんだろ?
サツキ : ロボットの遠隔操作技術のデモ版だって話だねー! 作り物じゃない現実の動物と触れ合うチャンス! 私は少し触らせてもらったけど、リアルの姿で動物に触れてる感覚は凄かったよ!
「あ、そうなんですか! それも興味はありますね!」
まぁこういうのは現地に行って直接触れ合った方が楽しいような気もするけど、それが出来る人ばっかりじゃないもんね。それに、ロボットの遠隔操作も興味深いかも? フルダイブでアバターを動かすのとは、どう違うんだろ?
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