第657話 残った敵の掃討


 うふふ! 成熟体の上限Lvに到達したし、まだサイとサボテンが残ってるから、そっちも倒していこー!


「吹っ飛んで体勢が崩れてますし、先にサイを仕留めます! 『放火』『放火』『放火』!」


 火を放ちながら、距離を詰めていくのです! 残りHPは大した事はないし、サクッと倒せるはず!


サツキ : サクラちゃん、距離を詰める! いっけー!

水無月 : いっけー!

金金金 : もう上限には達してるから、これは純粋に進化ポイントだけだな。

咲夜 : そうなるなー。

ヤツメウナギ : このサイ、頑強なサイか。今ので死んでなかったくらいだし、堅牢系統なのは当然だな。

ミツルギ : 生命も高いから、生存能力は高い個体だな。


「でも、もう瀕死ですし、すぐに倒しますよ! これで、トドメです! 『連突撃』!」


 思いっきり突っ込んで、突撃して駆け抜けて、踏ん張ってから方向転換! うふふ、サイくらいのサイズだと当たらないなんて事はないよね!


「踏ん張れてないですから、次々と当たりますね! えいや! とう!」


 倒れているサイに、連続で突撃だー! いぇーい! 良い感じに連続攻撃が決まっていってるね!


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


「あ、一撃、余りました!? なら、残りはサボテンに……あー!? 離れてHPを回復してますよ、あのサボテン!?」


 わわっ!? 突撃で突っ込める距離を超えてるから、これは届かないかも!? むぅ……これは空振りでも仕方ないかも……。


イガイガ : サクラちゃんって、トドメと宣言した時って微妙に綺麗なトドメにはならないよな。

神奈月 : まぁ、それはあるよなー。

ヤツメウナギ : 今回のは一応、宣言したスキルの範囲内だからいいんじゃね?


「……地味に気にしてるとこなんですけど、そこはスルーしてもらっていいですかねー!?」


 トドメを見誤る事って多い自覚はあるけど、触れずにきてたのに! むぅ……綺麗に倒したいけど、中々難しいんだもん!


神奈月 : あ、気にしてたのか!?

金金金 : 全然言及しないから、気にしてないと思ってたが……気にしてたのか。

富岳 : 気にしてたからこそ、言及してなかったんじゃねぇか?

ミナト : 触れてほしくなさそうだし、ここで深掘りしなくてもいいんじゃない?

いなり寿司 : 確かに、それもそうか。

神奈月 : それもそうだなー。


「ともかく、今は残ってるサボテンの撃破が優先です! 『放火』『放火』『放火』! あ、『炎上』になりましたね!」


 サボテンって燃えにくそうな気がしたけど、普通に燃えてくれてるね! 根を張って、HPを回復されてる状態だけど……。


「あのー、HPが回復されてて焦ってたんですけど……よく見たら回復速度、遅くないです? このサボテン、旺盛なサボテンですし、もっと早く回復されてしまうかと思ったんですけど……」


 『炎上』での継続ダメージで完全に相殺出来てるみたいだし、今のうちに距離を詰めるけど……なんでこんなに遅いんだろ?


ミツルギ : あー、それは単純な話でな。ここが荒野エリアだから、吸収する為の水分自体が少ないんだよ。

ミナト : 少ない水分をかき集めて回復してるから、回復速度が遅いし、回復量も少なくなるんだよね。

富岳 : そういう仕様だから使用頻度そのものが低めではあるんだが……まぁ知恵が低ければ、割と使ってくるぞ。

チャガ : このサボテンは俊敏と器用と知恵が弱点だから……まぁ行動パターンは単純な方だ!

真実とは何か : それが真実なのである!


「あ、そんな要素があるんです!? でも、言われてみれば、確かに納得です! このサボテン、知恵が足りてないんですね!」


 回復に水を使うんだから、この荒野エリアでは回復しにくいってのは当然だよね! そっか、そっか! こんな風に回復速度や回復量に影響が出るなら、無理に焦って攻撃する必要もなかったのかも?


「よーし、距離は詰めました! サクッとサボテンを仕留めてしまいましょうか! 『強爪撃』! って、わっ!?」


 待って、待って、待って!? なんで攻撃をした私にダメージが……って、脚に棘が刺さってる!? これ、サボテンの棘!?


咲夜 : あー、やると思った。

イガイガ : やっぱりやるよなー!

G : どのタイミングでやるか期待してたが、ここだったか!


「この状況、期待してたんですか!?」


 ぐぬぬ!? サボテン相手に近接攻撃をするのを待ってたの!? むぅ……全くダメージを与えられてない訳じゃないけど、私の方がダメージを受けた気がするんだけど!


ミツルギ : サボテンの持つ、カウンター用のスキル『棘防御』だな。近接攻撃に対して、棘を刺してカウンターダメージを与える攻撃だ。

こんにゃく : 棘を持ってるタイプの種族の堅牢のスキルツリーにあるスキルだぞ!

ミナト : 近接攻撃の被ダメを抑えつつ、相手の攻撃の威力に合わせてダメージ量が変わるタイプのスキルだね。性能としては『身構え』にカウンターが付いてる感じ。


「それ、嫌なスキルですね!? でも、棘が刺さるのなら、遠くから攻撃するまでです! 『放火』『放火』『放火』!」


 うふふ! 近接で攻撃が危険なのは分かったけど、私には遠距離攻撃があるもんね! 回復自体はもう止まってるし、近接で攻撃しなければ済むだけの話なのですよ!


サツキ : サクラちゃん、燃やす、燃やす、燃やすー!

水無月 : 近接攻撃じゃなければ、大丈夫そう?

金金金 : 被ダメも抑えられてないし……これ、軽減効果は近接限定か?

ミツルギ : 近接限定だな。まぁその分、近接攻撃に対しては凶悪な性能ではあるんだが……。

いなり寿司 : 別名『近接殺し』と呼ばれるくらいだぞ。

ヤツメウナギ : この状態の相手に下手に近接攻撃を続けると、自分の方がダメージを受け過ぎて危険なんだよな。


「『近接殺し』なんて名前があるんです!? ……サボテンに限ったものでもないみたいですし、今後も気を付けないとですね」


 でも、他にこんなのを使ってきそうな相手って……あ、ハリネズミとかは使ってきそう! うん、他には思いつかないけど、ハリネズミは見た事あるし、要注意で!


「でも、遠距離攻撃には無力ですね! 『放火』『放火』『放火』!」


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


 ふっふっふ! サボテン、撃破完了なのですよ!


「ふぅ……あ、刺さってた棘が消えましたね。特に出血にはなってないみたいです?」


 出血になるかと思ってたけど、そうでもなかったね?


ミツルギ : まぁ『出血』は確定効果ではないからな。

神奈月 : 刺さった状態で動き回って、深く刺されば『出血』になる可能性は高まったりもするぞー。

ミナト : 刺さった位置にもよるんだけど、その手の刺さった棘って自分では抜きにくいからね。だから、刺さらないように立ち回るのが最善だよ。

こんにゃく : 抜いたら抜いたで、そのタイミングで出血になる可能性もあるしなー。

イガイガ : 色んな意味で、近接攻撃を主体にする構成にとっては天敵とも言えるカウンタースキルだ。


「本当に天敵ですね!? 『近接殺し』って呼ばれる理由が分かった気がします……」


 これ、近接攻撃以外の攻撃手段を持ってなかったら、なす術がないんじゃないですかねー!? あ、でも、スキルなんだし、発動してないタイミングで攻撃すればいいだけなのかも?


「ちょっと質問です! サボテンの棘、そのスキルを使われてない時なら刺さったりはしません?」


 普段から刺さるのなら、もう種族的に近接攻撃との相性最悪な相手だよね!?


ミツルギ : 何かしらのスキルを使われない限りは、盛大に刺さる事はないな。ただまぁ、パッシブスキルで『棘硬化』ってスキルもあるから……多少のダメージは受けるぞ。

富岳 : パッシブスキルだから、効果が常時発動だしな。まぁそこまで大きなダメージではないが。

ミナト : 刺さったままにはならないし、出血になる程でもないから無視してもいい範囲だけど……まぁ避けたいなら、棘がない部分を狙うべきかなー?


「……思ったよりも厄介ですね、サボテン!? まぁ私は遠距離攻撃があるので、そっちで攻めていく方が良さそうですねー!」


 他に手段がないならともかく、他の手段を持ってるんだから、変に影響を受ける攻撃方法を選ぶ必要はなーい!

 はっ! もしかして雷への適応進化が最強格って呼ばれる理由、こういう敵が相手でも対応出来るからってのもあるのかも? 威力もだけど、汎用性の高さも高評価の理由なのかもねー! 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る