第597話 悩む用途


 ふぅ……ちょっと焦ったけど、なんとかトリカブトの群れは撃破完了!


「毒で結構HPが減っちゃってるので、周囲を警戒しながら回復ですねー!」


 まぁ減ってると言っても、今回は半分以上は残ってるし、解毒も済ませたから、移動しながらでも大丈夫なはず!


ミツルギ : 相変わらず、トリカブトの毒はエゲツない……。

G : 他よりも毒性が強いからな。

ミナト : まぁ専用の毒消しが必要になってないだけ、良い方かな?

富岳 : 確かにな。毒性が強いから、専用の毒消しに……ってならないだけマシか。そもそも、ドクダミ自体がアップデートで入手率に調整が入ってるしな。

神奈月 : あー、そういや最初期は、そんな話もあったっけ? 毒が強過ぎるのに、解毒アイテムが足らないとかだっけ。

イガイガ : そういや、そんな事もあったな。その頃は、知恵でのスキルツリーの『解毒』が必須になってたっけ。


「え、そんな事があったんです!?」


 さっき解毒に普通に使ったドクダミだけど、元々は入手率って低かったんだ!? そっか、そういうアップデートでの調整もあるんだね。


「……あ、普通にドクダミを発見です! 折角なんで、採取していきますねー!」


 ふふーん、周囲の敵に警戒しながら川の方へ進んでたら、白い小さな花を発見なのですよ! 毒の実やHP回復の果物とかに比べると持ってる数は少ないし、補充出来る時にしとかないとね!


サツキ : サクラちゃん、ドクダミの採取を開始ー!

水無月 : 開始ー!

ミツルギ : いいタイミングで、補充が出来るもんだな。

ミナト : 毒消しに使えるアイテムは、多くあって困りはしないからね。採取が出来る時に、採取をすべき!


「見落としがちみたいですし、ちゃんと見つけられた時には採集していきますよー!」


 うふふ、多分だけど、ドクダミが話題に出てたからこそ見落とさずに見つけられた気がする! 使ったばかりだし、その補充にもなるから……って、あれ?


「……『増幅草』になりましたね? え、増幅用のアイテムが手に入りました!?」


 わわっ!? 待って、待って!? 全然、そんな事は考えてなかったら、予想外のがきたよ!? ドクダミをいくつか手に入れた上で、これまで手に入っちゃうの!?


金金金 : 驚き顔の狐っ娘アバター。投擲用の石で増幅石を狙ってたし、増幅草の方は全く頭になかったか?

こんにゃく : 意識から外れてたら、思わぬところから入手になるもんなー。恐るべし、物欲センサー!

サツキ : サクラちゃん、物欲センサーに勝ったね!


「えーと、まぁそうなるんですかねー? ともかく、ラッキーはラッキーです!」


 ふっふっふ! 完全に途中から採集する植物は増幅草になる事が抜け落ちてたけど、それが物欲センサーに打ち勝つきっかけになるとは思ってなかった!


ヤツメウナギ : これで火への適応進化が使え……いや、今使うのってどうなんだ?

いなり寿司 : 河原まで来て、水への適応進化から切り替えるのは勿体ないか。


「あ、確かにそうですね!? むぅ……増幅用のアイテムが手に入っても、今は使えないですか……」


 もう目の前に川は見えてるんだし、水の上を進んでマップを解放するなら、絶対に水への適応進化は必須だもん! でも、折角、増幅出来るようにもなったんだし……。


「んー、火への適応進化は今じゃなくてもいいですね! 出来る機会が来た時に考えましょう!」


 増幅だけなら今すぐにでも出来るだろうけど、成熟体のLv上限が50だったら、次の進化ですぐに使えなくなっちゃいそうだもん!

 だから、今すぐに使えないのなら、無理に使わない方がいい気がする!


ミナト : まぁ火の適応進化は、ここには向いてないからね。焦って使う必要はないかな?

神奈月 : だなー。そもそも火への適応進化は、決して弱くはないが、サクラちゃんにとって便利かは少し怪しい!

G : それ、言っていいやつか?

咲夜 : そうだぞ! ネタバレ厳禁だ!

神奈月 : え、具体的な事までは言ってないけど、これでもアウト?

チャガ : というか、咲夜さんがそれを言うか?

イガイガ : 説得力、ねぇよなー。

咲夜 : うぐっ!?

サツキ : これはサクラちゃんの判定次第だね! サクラちゃん、判定はいかに!?


「うーん、微妙に悩むラインですね?」


 火への適応進化とか使える可能性があるとも思ってなかったし、簡単に出来そうな気もしなかったもんねー。雷への適応進化が最強格なのはもう知ってるから、それよりは微妙になるのは分かりきってる事だし……。


「今回はセーフで! というか、実際に使うかどうかの参考にもしたいので、使用感を教えてもらってもいいですかねー?」


 貴重な増幅系のアイテムを使う必要があるんだから、ここは判断材料を増やすのも悪くはないはずだよね!

 とりあえず、移動を再開しながら話を聞いていこー! ちょっとこの話題が終わるまでは戦闘は避けた方がいいよね? という事で、看破で見えてる敵は迂回気味で避けるのです!


ミツルギ : なるほど、その流れで質問になるか。質問なら答えるけど……まぁ強いには強いぞ? ただ、上位互換があるからな。

富岳 : 『放水』や『放電』みたいに、『放火』という攻撃用のスキルがあってな? 質量を持たない攻撃としては優秀なんだが……まぁぶっちゃけ、『放電』の方が利便性は高いんだよ。

チャガ : 『放電』みたいに自動カウンターとしては使いにくいし、どうしても状態異常の『麻痺』が強いからな。

ヤツメウナギ : 『放火』と、『雷纏い』に相当する『発火』ってスキルもあるんだけど、どっちも継続ダメージになる状態異常『火傷』に出来はする。植物相手によく効いたりするから、そこは雷より火が優位なとこだな。

ミナト : ただし、火の場合は常に火事の危険が付きまとうからねー。ほら、サクラちゃんも森が燃えたのは見てるでしょ? あれが起こりやすいんだよね。


「あ、あれですか!? なるほど、自分であの火事を起こしちゃう訳ですか……」


 1回、火事には遭遇してるけど、あの時はキツネさんが使ってきた火が原因だったよね? あのキツネさんが使ってたのが『放火』のスキルなのかな? え、でも、ちょっと待って?


「あのー、前に火事があった時は、風が強かったからって理由はありませんでした?」


 早々、あそこまでの火事にはならないとも言ってた気がする! その辺、どうなってるんだろ?


ミナト : ここで雨が降った痕跡があるみたいに、急に風が強まる事もあるからね。『放電』が水に流れていくみたいに、『放火』は風の影響を受けやすいって部分がデメリットになるんだよ。

ミツルギ : 風がなければそう影響もないんだが、風があれば狙いそのものがズレやすくなるからな。そういうのが、火事へと繋がる事が多い。

富岳 : まぁあえて、森に火を着けて回るって方法もあるんだが……敵も消火に動くから、その余波を受けて死にやすくもなるぞ。

咲夜 : そうそう! 敵の大半は、破壊する事で延焼を防ぐからな! 『火傷耐性』が得られて火の中は平気にはなるけど、火事で敵を倒そうとすると、結構酷い目に遭うぜ!


「破壊して消火……って、前にそれで殺されてますよ!?」


 むぅ……思ったよりも、火への適応進化にはデメリットがあるっぽい? うーん、天候次第では狙いそのものがズレるし、その結果で火事が起きたりもするんだね。

 継続ダメージになる状態異常の『火傷』とか、植物相手には強いとか、メリットは大きそうだけど……デメリットも結構厳しいもん!


「……なんというか、火の適応進化って癖が強いです?」


 今のを聞いた感じでは、そんな印象だよね!


ミツルギ : まぁその感覚は、それほど間違ってないな。強いには強いが、安定性という意味では雷の方が上に来るぞ。

いなり寿司 : 威力は火と雷は同格くらいなんだが、それ以外の部分では雷への適応進化の方が使い勝手がいいからこそ、雷が最強格だと呼ばれているぞ。

咲夜 : 火への適応進化、特定のエリアでは難しくないけど……それ以外の場所だとほぼ不可能だしなー。

G : おーい、特定エリアとかまで言っていいのか?

咲夜 : あ、しまった!?


「火への適応がしやすいエリアとかあるんですか。んー、パッと思いつくのは、火山とかですかねー?」


 ゲームでよくあるもんね、火山のマップ! モンエボにも火山があっても不思議じゃない気はするけど……実際、どうなんだろ? 雪山や砂漠はあるって話だったよねー。

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