第595話 探索の再開


 ふっふっふ! 私のライオンの堅牢が更に上がった! サイコロ様は、私にこう育てろって言ってるんだよね! 


「えーと、とりあえず色々と再発動です! 『索敵』『見切り』『弱点分析』『看破』『疾走』!」


 色々セットを再発動して、土手の下へ駆け抜けていくのさー! そして、生き残りやすくなった今なら、これが出来る気がする!


ミツルギ : ……なぜ、川から離れる?

咲夜 : というか、戻ってるよな!?

サツキ : サクラちゃん、どうする気なの!?

金金金 : ほくそ笑む狐っ娘アバター。こりゃ、何か狙ってるな?


「マップの解放の為ですね! 今回はそれなりにLvが上がった状態で入ってきてますし、入ってきた方に戻れば縄張りを使っても、襲ってくる敵は少ないはずです!」


 うふふ、この場で展開すれば格上に囲まれて危険な気はするけど、私よりもLvの低い敵が多い場所なら問題ないはずだもん!


富岳 : あぁ、その手があったか。確かに有用な手ではあるな。

ミナト : メインの敵は川の中だし、全く襲ってくる敵がいないとは思えないけど……それでも、手早くマップを解放するにはいいかもね。

金金金 : ほほう? 割と大真面目に、この状況ではありな手段か。

咲夜 : ……まぁエリアボスが、縄張りを展開した範囲内にいなきゃだけどなー。

イガイガ : エリアボスが出てくるフラグが立った気がするぞ?

G : 同時に死亡フラグも立ったか。

咲夜 : はっ!? しまった!?


「あ、そういう危険性もあるんでした!? むぅ……」


 今日は死なずに済ませたいし、まだエリアボスとは戦いたくないよね……。咲夜さんが言及しちゃったし、本当にそうなる可能性ってありそう!


金金金 : 悩み顔の狐っ娘アバター。まぁ今日の死なないという目標を考えれば、躊躇もするか。

ミナト : 必ずしも縄張りの範囲内にエリアボスが出る訳じゃないけど……まぁ咲夜さんが言っちゃうとね?

こんにゃく : 咲夜さん自身が『しまった!?』とか言ってしまってるしなー。

サツキ : もはや、確定事項!?

咲夜 : 正直、自分でも否定出来る気がしねぇ!


「……そうですよねー。よーし、今回はやめておきましょう! なんだか嫌な予感がしてきました!」


 という事で、予定変更! ズサっと止まって、駆け降りてきた土手の方へと戻るのです!


「んー、とりあえず河川敷か土手の上を走っていきましょうかねー? あ、もしくは川の上を走っていくのもありです?」


 今は水への適応進化になってるんだし、そういう進み方も出来るよね!


ミツルギ : あー、川の上を走るのは『水化』を使えば出来るけど……まぁそれもありか。

富岳 : それはそれで、一興だろうな。

神奈月 : まぁ普段とは違った様子が見れるのは、間違いないか。

真実とは何か : それもまた真実なのだ!


「川の水面からの景色とか、色々と違いそうですもんね! それじゃ、その方向で進んでみましょう!」


 その為にも、少し戻っちゃった分だけ移動しないとね! えーと、もう再使用時間は過ぎたから……。


「もう一度、『疾走』です!」


 ふふーん! ちょっとだけ方向をズラして、マップで未踏破の部分を駆けていくのさー! さっきは踏破済みの部分を戻っちゃったけど、これならマップの解放にも少し近付くはず!


サツキ : サクラちゃん、突っ走れー!

水無月 : 突っ走れー!


「はーい! ササっと戻っていきますよー!」


 この辺、やっぱり地面が柔らかい気がするけど、今の私には関係なーい! うふふ、水への適応進化ってやっぱり便利だね!

 まぁそこまで離れる前に予定を変更したから、元の場所まで戻るのにそんなに時間はかからない……というか、もうそろそろ到着だー!


金金金 : 土手まで戻るのは、そこまで時間はかからなかったな。

ミツルギ : まぁ引き返すまでが早かったしな。

真実とは何か : それが真実である!


「あはは、まぁそうなりますね! そうしてる間に、土手の上に到着です!」


 改めて川を見渡すけど……うん、やっぱり増水してるよね。増水中の川の上を走るとか、すごい貴重な経験な予感! でも、その前にこれだー!


「どこかに丁度いい敵でもいませんかねー? 『吹き飛ばし』の効果とか、新しい攻撃とか、ちょっと試してみたいんですけど……」


 ザッと眺めた感じでは……なんか土手の下にある草むらの中に、トリカブトが何体か見えるね!? 少し前にもトリカブトに襲われたし、この辺って毒草の群れなの!?

 うん、ちょっと避けたい場所な気がする! でも、そうなるとどこかから迂回かなー? このまま真っ直ぐ河川敷に降りたら、絶対に狙われる位置だよね!


金金金 : 引き攣った表情の狐っ娘アバター。……なんでこんなにトリカブトが集まってんの?

ミツルギ : いつかのワサビやヒマワリと同じ感じになるんだが、トリカブトは非常に危険なパターンだな……。

ミナト : どの種族でも知恵系統の個体を中心に群れを作る事があるからねー。草花系の種族なら群れというより、群生かな? えーと、ここの群生には遠距離系の個体は混ざってなさそうだね?


「……少し距離はありますし、狙い所ではあるんですかねー? Lv的にもLv43前後ですし……」


 なんというか、『聡明なトリカブト』が3体もいるって変な感じ! 他にいるのも『雄健なトリカブト』とか『迅速なトリカブト』とかだもん! 何気にどれも弱点に器用があるから、遠距離からなら安全?


イガイガ : 近付くと危険過ぎるけど、遠距離からならいけるか?

いなり寿司 : 地味にどれも俊敏が弱点にないのが気にはなるが……1撃で仕留め切れればいけるかもな。

G : 近寄ったら、群れで毒あり攻撃に追われ続ける構成っすなー。よし、サクラちゃん、近付こうぜ!


「近付くのは嫌ですよ!? うーん、他に何かいませんかねー?」


 えーと、見える範囲では5体だけど……他にいたりはしないっぽいかな? あ、ちょっと離れたところに小さなカニも歩いてるけど……おぉ! 『迅速な沢ガニ』だから、逃げるのが早くて経験値が美味しいやつっぽい!


ミナト : あ、沢ガニがいるね。経験値としては、かなり美味しいかも?

富岳 : 中流域だからまだ出てくる範囲だし、Lv44はかなり良いな。ただ、少し距離があるか。

ミツルギ : あー、位置関係がちょっとややこしいな。土手の上からだと、トリカブトと同時に狙うのは厳しいか。

いなり寿司 : 沢ガニを巻き込もうと思えば、土手の下まで降りる必要があるな。ここからじゃ、沢ガニ狙いならトリカブトの上を攻撃が素通りになりそうだ。


「沢ガニは仕留めたいですけど、その手前にいるトリカブトは巻き込めそうにないのが厳しいです!」


 むぅ……まとめて仕留められそうなら迷いはしないんだけど! それぞれ個別に狙ってみる?

 んー、でもトリカブトを仕留めたら沢ガニに逃げられそうだし、沢ガニを狙ったらトリカブトに気付かれて群れで襲ってきそうだし……そもそもマップの解放が遅くなるよね!?


金金金 : 悩み顔の狐っ娘アバター。マップの解放を進めるか、それとも戦闘をするかで悩み中か。

こんにゃく : まぁ状況的に悩むのは分かる。

サツキ : さぁ、サクラちゃんはどれを選ぶのかー!?

水無月 : 選ぶのかー!?


「悩ましいですね!?」


 うーん、マップ解放も重要だけど、Lv上げもしていかないとエリアボスと戦えないし、経験値と進化ポイントも欲しいし……どうしよう!?


ミナト : サクラちゃん、欲張り過ぎは良くないよ? 『二兎を追う者は一兎をも得ず』ってことわざもあるから、どっちかだけに絞って考えるのもありだからね。

ミツルギ : まぁ何も手に入らないよりは、少しでも確実に手に入れる方がいいよなー。


「……それは確かにそうですね」


 欲張るよりは、確実に得られるものを得た方がいいよね! 迂回してもその場所が安全な保証はないし、トリカブトの駆除にしよー! 5体もいるんだし、経験値も進化ポイントも結構手に入るはず!


「決めました! トリカブトの群れを駆除しますね! 『獅子咆哮』!」


 群れって呼んでいいのかよく分かんないけど、ともかくこれで決定! うふふ、私の経験値と進化ポイントになってもらいましょう!

 ちょっと1体ずつに間が空いてるから、範囲が広いこっちで!


サツキ : サクラちゃん、溜めを開始! 上から高威力をぶっ放せー!

水無月 : ぶっ放せー!

イガイガ : 他に敵は……いないよな?

ミナト : サクラちゃんの視界の範囲にはいないねー。まぁ映ってない死角は分かんないけどさ。

ミツルギ : 足元や後ろには要注意だぞ! また尻尾の噛みつかれるって事もある可能性は否定出来ないしな!


「あ、確かにそうですね! それは気を付けます!」


 ここまで来る間には何も踏み付けてないはずだけど、踏んでなくても奇襲はあるもんね! もう動けない状態だから具体的に何も出来ないけど、注意だけはしていこー!

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