第536話 不注意のせいで


 ぎゃー! 大急ぎでドクダミで解毒は出来たけど、敵討ちの相手の巧妙なライオンと、草むらの中に聡明なヘビを同時に相手する事になっちゃった!? うぅ、既に獅哮衝波の発動は始めてるんだけどー!?


「これ、とにかく距離を取るしかないですよねー!?」


 噛みつこうと迫ってきてるヘビから、逃げるように駆け抜けるのです! というか、敵のライオンはこっちを向いたから気付たはずだけど何も仕掛けてこないよ!?


「あ、このライオン、溜めを始めてます!?」


 動かないとこを見ると、多分『獅子咆哮』な気がする! わー!? 範囲攻撃で思いっきり攻撃してくる気!?


金金金 : 慌てて逃げる狐っ娘アバター。まぁ足元注意か。

ミツルギ : まぁ視界が通ってない場所は、どこに敵がいてもおかしくないしな。それにしても、敵のライオンは『獅子咆哮』の溜めを始めたっぽいな。

富岳 : 動く様子がないし、『獅哮衝波』の可能性は低いだろうな。まぁ溜めの開始はサクラちゃんの方が早かったから、先に攻撃は出来るだろうが……ヘビが問題か。

ミナト : 2対1で、ヘビの方がまともに見れていないのは痛いねー。


「そうなんですよねー! 今、ヘビはどういう状態に……って、牙に黄色い液体が滴ってますし、麻痺毒狙いですか!?」


 ぎゃー!? 少し後ろ向いたら、割とすぐ後ろを追いかけてきてる!? 可能なら真っ正面から姿を確認しておきたいとこだけど、ライオンの方からも目が離せないのが厳しいんだけど!?


水無月 : サクラちゃん、落ち着いてー! 冷静に動かなきゃ、変な事になっちゃうよ!

G : むしろ、それは望むところ!

イガイガ : それは確かに!

こんにゃく : 既に変な事にはなってるような……?

神奈月 : 確かにそれはそうだよなー。

真実とは何か : 間違いなく、それは真実である!


「私は望んでませんから!?」


 変な状態になってるのは確かだけど、水無月さんが言ってるように冷静に! ライオンの方は溜めが終わるまでは何も出来ないだろうから、今対処すべきはヘビの方!


「先に、ヘビを倒します! 溜めは……あと少し!」


 敵のライオンを確実に倒す為に2段階目か3段階目まで溜める気だったけど、そこは変えるしかないよね! 1段階目の溜めが終わったら動けなくなるから、タイミングには要注意!


「よし、今です!」


 ヘビから逃げている状態からズサッと止まって、後ろを向くのです! そうしつつ、『衝撃凝縮』で凝縮率を高めて……ってあれー!?


「え、ヘビはどこですかねー!?」


 さっき見た時は真後ろを追いかけてきてたはずだけど、後ろを向いてもどこにも姿が見えない――


ミナト : サクラちゃん、後ろ! 急に止まり過ぎて、ヘビがそのまま真下を通り過ぎちゃってる!

チャガ : あ、もう遅いな。


「わっ!? え、脚に噛みつかれて麻痺毒が!? これ、真下を通り過ぎられたんです!?」


 ぎゃー! 止まったのはいいけど、その隙に人の下を通って後ろに回り込むとか卑怯じゃないですかねー!? うぅ……麻痺毒で身動きが取れなくなって、バタンと倒れちゃった!

 これでは獅哮衝波はキャンセルにはなってないし、2段階目の溜めが進んでいくけど、倒れた状態で動けないよー! 視界の先にはヘビも敵のライオンも見えてないから攻撃も出来ないし!


咲夜 : 敵は急には止まれない!

ヤツメウナギ : まぁ止まれる敵も結構いるけど、今のは止まる必要はないしなー。

いなり寿司 : 知恵系統の敵は、体格差を利用してきたりするから要注意だ。まぁ既に遅いだろうが……。

金金金 : そういう意味でも足元注意って事か。

ミナト : 大型種族を操作してると、こういうすり抜けは結構あるからねー。ほら、今までも何度か下に潜り込まれて攻撃を受けてる事もあるし?


「確かにそうでした!? ぎゃー!? なんか脚が締め上げられてる気がするんですけどー!」


 じわじわとHPが減ってるし……あれ? でも、今までに比べるとダメージ量は大した事はない気がする? あ、これって堅牢が上がった成果が出てるのかも!

 ふふーん! 耐久性アップの恩恵が目に見えて出てきてるのですよ!


金金金 : ドヤ顔の狐っ娘アバター。そんな表情をしてる場合ではない気もするが……あぁ、生命の減り方がこれまでとかなり違うのか。

咲夜 : これこそ、『堅牢』のステータスが上がった効果!

神楽 : あ、そうしてる間に麻痺毒が切れたよ!

サツキ : サクラちゃん、いっけー!

水無月 : いっけー!


「はい! このヘビ、いつまでも巻きついてるんじゃないですよ!」


 麻痺毒が切れて動けるようになったから、すぐに立ち上がって、ヘビが巻きついてる脚の方へ顔を向けるのさー! なんとか見えたから、これなら攻撃出来る! 凝縮率は最大にして……。


「獅哮衝波、いきます! これで死んで下さい!」


 至近距離からの、最大凝縮なら仕留め切れるはず! 巻きつき攻撃を止める気配はないから、そのまま当てられるよね!


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


「ふっふっふ! 流石は至近距離からの最大凝縮なら一撃――」


 って、ぎゃー!? ヘビを倒したと思った瞬間に、思いっきり吹っ飛ばされたー!? 待って、待って、待って!? 凄い勢いで吹っ飛ばされて、ゴロゴロと転がっていってるんだけどー!?


サツキ : サクラちゃん!?

水無月 : サクラちゃん!?

富岳 : あー、ヘビにいい攻撃が入ったと思ったら、敵のライオンからの『獅子咆哮』が飛んできたか。


「ぐふっ! ……そうみたいですね」


 吹っ飛ばされた先で木に叩きつけられて、なんとか止まった! むぅ……今のでHPが残り2割くらいまで減ったんだけど! 今の、危なかったー!

 あ、私が当たった木は思いっきりへし折れてるね。この木のおかげでもっと飛ばされずに済んだのかも? でも、木に当たった時に盛大にHPが減ってたし、微妙な気がする!


こんにゃく : あー、堅牢が上がってなければ、今ので死んでたか?

ミツルギ : 多分、そうだろうな。

咲夜 : 今回のサイコロタイム、堅牢になってて良かったか!


「あはは、そうなりそうですねー! とりあえず『自己修復』で!」


 1割くらいの気休め程度の回復量だけど、それでもないよりはずっといい! 即座に回復出来るスキルがあるのはいいのですよ!


神楽 : おー! サクッと回復!

ミナト : サクラちゃん、ライオンが距離を詰めてきてるから要注意だよー!


「あ、はい! 邪魔なヘビは片付いたので、次はライオンの番ですね! 『放電』『放電』『放電』『放電』!」


 すぐに使える遠距離攻撃がないからなんだろうけど、思いっきり私の方に近づいてきてる!? でも、そうはさせないのですよ! 電気を何発も放って……。


「って、躱されまくってませんかねー!?」


 待って、待って、待って!? 獅子咆哮で吹っ飛ばされてかなり距離があるとはいえ、全然当たらないって事があるの!?


イガイガ : あー、これは敵のライオンも『見切り』を使っているか?

ミツルギ : 多分、そうだろうなー。

G : 雷への適応進化をしてないサクラちゃんを相手にしてるような感じなのかもな。

咲夜 : 耐久性が低い頃のサクラちゃんだな!

富岳 : その分だけ、サクラちゃんが持ってないスキルを持っている可能性もあるが……。

水無月 : あ、そうなるんだ!

ミナト : 何を持ってるかは、実際に使ってこないと分からないけどねー?


「それ、地味に厄介ですね!? ともかく、今はひたすら攻撃です! 『放電』『放電』『放電』『放電』!」


 うがー! 思いっきり回避されまくってるし、なんかこのライオンは腹立つね! 距離的にどんどん近付いてるけど……はっ!? 実は既に獅哮衝波を溜めながら近付いてきてる可能性もあるの!? 


「なんだか嫌な予感がするので、今のうちに回復しておきます!」


 放電が躱されて当たらないなら、かなり減ってるHPの回復を優先だー! でも、敵のライオンからは目を離さずにしっかりと見ておくのです! もし途中で動きが止まったら、危険な気がするもんね!

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