第481話 新スキルのお試し


 『水化』を地上で使ったのが失敗だっただけで、水中で使うのには問題なさそう? まだその使い方はしてないけど、『放水』を試しておきたいから今は一旦止めちゃおう! 『雷纏い』と違って、好きなタイミングで解除出来るみたいだし!


「一旦、『水化』は解除しますねー! 今、水中まで行く訳にもいかないですし!」


 気分的にはそのまま湖へ突入といきたいけども、もうそれだけやってる時間はないよ! 『放水』を試すのも最小限にしとかないと、〆る時間が無くなっちゃう! という事で、『水化』は解除!


「ふぅ、これでいつもの歩いてる感じに戻りました!」


 スーッと砂利の上を滑っていってるのは、もの凄く不思議な感覚だったけど、今はそれは中断!


水無月 : あ、元に戻った!

富岳 : そのまま滑っていけば、もう湖に突入だったしな。時間的にはちょっと厳しいだろうし、中断でいいだろ。

ミツルギ : まぁ初めてのがっつりとした水中戦だし、仕様は色々と確認しとくべきだしなー。

いなり寿司 : ぶっちゃけ、水中での『水化』を試さないと意味がないとこではあるけど……そこは実況外のプレイを楽しみにしておこうか。

G : サクラちゃんの珍プレイに期待!

金金金 : ツッコミ役不在の実況外のプレイで、新しい事にチャレンジか。これは見応えがありそうだ。

真実とは何か : それが真実である!


「どういう期待のされ方なんですかねー!?」


 確かに実況外のプレイだと、分からない事があっても誰にも聞けないけども! ……ん-、そう考えてみると本格的に湖の中への進出するのは明日の配信に回した方がいいのかな?


「……無理に1人の時にやらない方がいいんですかねー?」


 むぅ……別にツッコまれる為にプレイしてる訳じゃないんだけどなー。でも、実況外のプレイって分からない事があっても自分でどうにかするしかないし……って、配信を始める前はそれが普通だったよ!? んー、なら気にしなくてもいい?


金金金 : なんだか悩み始めた狐っ娘アバター。あ、これは余計な事を言い過ぎたか?

サツキ : どういう風なプレイになっても、サクラちゃんの自由にやれば問題ないからねー!

富岳 : 何か補足すべき事があれば、後から教えるのでも構わないしな。

ミナト : うん、そうだよ! ゲームなんだから、自由に楽しんでやるべきとこだよ!


「それもそうですね! なんと言われようとも、好き勝手に遊んでくる事にします!」


 ふふーん、元々ゲームは楽しむ為にやるものだもん! 視聴者さんからのツッコミを気にして、1人ではプレイしないってのはおかしいもんね! そこは私のやりたいようにやるのです!


「さてと、本格的に時間が危ないので、サクッとこれだけ確認して〆ちゃいますねー! 『放水』!」


 おぉ、溜めが開始になった! この溜めの感じは、『放電』とよく似てるね? だとすると、こういう事も出来るのかな? んー、まぁその前に1発使ってみよー!


「あ、この『放水』もマニュアル操作が可能なんですね! 『放電』はそれで便利だったんで、こっちもそれでやってみましょう!」


 ふふーん! 元々は出てる照準の円が消えて、マニュアル操作へ移行! えーと、放水って名前なんだし、こういう事は出来るのかな? 私の真上から、ライオンが水を被るような感じで!


「わっ! いいですね、これ!」


 頭の上から、思いっきり水を被ったよ! ふっふっふ、見えない位置から放水する事が出来た! これ、背中へ敵に回り込まれた時にいいかも!

 水量はそれ程でもないけど、ここは溜めればどんどん増える感じになりそう! もっと勢いよくって出来るのかな? なんか色々と試してみたくなってきた!


咲夜 : シレっと難しい事をやった!?

いなり寿司 : 視界外からの放水か……。距離感覚が正確に掴めてなければ無理な、マニュアル操作だから出来る芸当だな。

ミツルギ : やっぱりサクラちゃんは、この手のマニュアル操作への適正が高いっぽい。


「いやー、褒めても何も出ませんよー? 連発は出来ますかねー? 『放水』『放水』『放水』『放水』! あ、いけそうです!」


 適当に前に向けて水鉄砲を撃った感じになったけど、『放電』みたいに連発も可能! それぞれの勢いが違ってたから、勢いをちゃんとイメージしないとその辺はバラつきが出るみたい?


金金金 : なるほど、これはオンライン版の『水の操作』の原型か。

神楽 : 『放電』が『電気の操作』の原型?

いなり寿司 : おそらくなー。生成部分と操作部分が別スキルに分離してはいるけど、操作感は近いからほぼ原形と考えていいはず。

ミナト : まぁ自由度はオンライン版の操作系スキルの方が遥かに高いけどねー!

咲夜 : 今でこそ原型という扱いだけど、オンライン版が出るまでは『なんちゃって魔法』と呼ばれてたやつだぞ!

イガイガ : あー、そういやそんな風に呼ばれてたっけ。

チャガ : オンライン版が出てからは、あんまりその言われ方はしなくなったな。


「オンライン版には、この攻撃のパワーアップ版があるんです? あ、そんなに詳しく内容を聞いてる時間もないですね!?」


 オンライン版の操作系スキルとやらが気になるけど、そこを掘り下げてる時間が勿体ないよ! えっと、えっと!? お試し発動はこれくらいにして、もう〆に移行したほうが――


ミナト : あ、サクラちゃん! 前、前! まだ交戦状態にはなってないけど、要注意!


「……え? わー!? カバがいます!?」


 わわっ!? よく考えたら、ここに進化してやってきてから看破も何も使ってなかったー!? 周囲に敵がいても、全然確認する手段がない状態だー!?


「〆る為にも一旦、湖の畔から離れます! 『索敵』『見切り』『弱点分析』『看破』!」


 あ、あのカバはLv30の『旺盛なカバ』だった! うん、生命系統だから交戦状態になってないだけで……わー、なんか『迅速なザリガニ』とか『雄健なカメ』とも見えるから、すぐに離れた方が良さそう!

 気付いてなかっただけで、結構この近くに敵がいたよ!? 晩御飯を食べ終えてから、改めて倒しに来るので、首を洗って待っててください!


水無月 : わっ!? 色々と敵がいたー!?

サツキ : いつ戦闘になってもおかしくない位置だよ!?

咲夜 : その辺どうなってるんだろうと思ってたけど、思った以上にいたな!

G : あえて、何も使ってないのは言わずにいたのに!

神奈月 : 俺は素で忘れてただけだから! 急に戦闘になってとか期待してた訳じゃないから!

こんにゃく : 俺も、同じく!

富岳 : ……言い訳に聞こえるのは気のせいか? サクラちゃん、進化で気が逸れてたのはあるだろうが、その辺は要注意だぞ。

ミナト : そのままスルーしても良かったんだけど、流石に〆の時間が厳しいだろうからねー!


「時間に余裕があったら、ミナトさんに教えてもらうって事がなかった気がします!? ともかく今は、この場を離れますね! 『疾走』!」


 ミナトさんと富岳さんは、気付いててもあえて放置して、私の不注意を体感させる気だったような感じがする! 神奈月さんやこんにゃくさんは正直分からないけど、咲夜さんやGさんは私が焦るのを期待してたよね!? ……私の不注意だから、その辺は何も言い返せないけど!

 ともかく、今は回れ右で湖から離れるように疾走開始! 少し離れた場所まで移動したら、そこで今日の配信は〆だね!


「……そういえば、雷への適応進化の時って少しだけステータスが上がってた気がするんですけど、水への適応進化の場合ってどうなんです?」


 駆けて移動中だけど、これくらいなら聞いて大丈夫なはず! 


ミツルギ : 雷への適応進化を解除した段階で『俊敏』と『器用』と『知恵』がそれぞれ10下がってるぞ。

富岳 : その代わり、水への適応進化になった事で『生命』が+100、『俊敏』と『器用』が+10になってるはずだ。種類によって、加算されるステータスが変わってくるぞ。

イガイガ : 適応進化【硬】だと、堅牢+50とかになってくるからなー。それに加えて3つの専用スキルが追加になるのが、適応進化の全貌だ!

真実とは何か : それが真実である!


「あ、そんな感じなんですね! なるほど、雷への適応進化も水への適応進化も、ステータス強化は控えめみたいですねー!」


 比較対象で出てきた【硬】の適応進化が堅牢+50なら、そういう事だよね! でも、そこそこ強化にはなってるし、そこは素直にありがたいよ!

 知恵は下がっちゃってるみたいだけど、その分HPが増えてるのはいいよね! 水の適応進化には状態異常になる手段が無い分だけ、知恵は上がらないって事なのかも? 


 さてと、この辺ならもう敵の反応は全然ないし、止まってもいいかな? 時間的にも〆る時間でギリギリだもんね! 〆でステータスの確認はするし、具体的な数値はそこで確認しようっと!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る