第474話 我慢し切れずに


 なんだか変な方向に話が脱線してたような気はするけど、まぁその辺はちょっと考えてみるとして……。


「んー、中々いい感じの敵がいませんねー? 反応があるのは魚ばっかりです」


 ブラックバスとかナマズとかフナとかコイとか色々と看破に引っかかったり、マップを見たら見えてない位置にも索敵で敵の情報が出てきたりはしてるんだけどねー。でも、湖の中の敵ばっかりだから、戦いようがないよ!


ミツルギ : Lv帯は27前後ってとこだから、今の適正Lvにはなってきてるんだけどなー。

イガイガ : 見事にまぁ、戦いにくい敵ばっかりだな。

水無月 : 戦えそうな敵が全然見当たらないねー。

富岳 : 夜っていうのも、状況としては良くないからな。昼なら水鳥以外でも、日光浴をしにワニやカバが地上に出てくるんだが……。


「あ、そういえば河川域でワニが日光浴をしてたりしてましたもんね。んー、本当に夜に湖へ辿り着いたのは失敗だった気がします……」


 経験値が多いカニや、シジミの群れに遭遇出来たのは運が良かっただけなのかも? うーん、最悪Lvは30まで行かなくてもいいから、せめて宝石系のアイテムをもう1個お願いします! 


金金金 : 何かを祈る狐っ娘アバター。まぁ今の状況はあまり良くないか。

水無月 : ミナトさん、何か見つかったりしない?

ミナト : うーん、探してはいるんだけど……真珠の入った貝っぽいのはないねー。敵も、流石にちょっと微妙なとこだし……。

咲夜 : それは残念……。

G : まぁそういう事もある! ぶっちゃけ、ただエリアを進むだけなら進みやすい環境ではあるんだが……。


「ただ進むだけなら、もう今日の目標分は終わっちゃってますからねー。それにしても、同時に弱点分析の表示が出るのって……あんまり便利になった感じはしないです」


 その辺を意識的にしてみたら、弱点分析は私が視線を向けた先にしか表示されてないのは分かった! その表示に一番近い別の敵にもう1つ表示が出てる感じ! ……2つ表示されても、同時に見る余裕はないもん!


咲夜 : あー、それは分かる!

神奈月 : 実際に自分で使う場合は、視点を向ける1つだけで十分なんだよなー!

こんにゃく : 複数体の弱点を見ている余裕があるのは、非戦闘中くらいなもんだし?

ヤツメウナギ : そうだよなー。使い道がない訳じゃないけども、そこまで活用するかというとそうでもないやつ。

ミツルギ : 実際のプレイ中……それも戦闘中だと、どうしてもそうなるんだよな。まぁ視聴者側であれば、状況を把握しやすくなってるが。

富岳 : どうしても情報の確認はサクラちゃんの見てるものに限定されるから、表示される情報量が増えればアドバイスはしやすくはなるぞ。


「あ、そういう利点はあったんですか!? それなら良かったです!」


 まさかの便利な点があったー! そっか、そっか。配信中って状況では、意外と便利に機能してるんだ!


「ともかく、ひたすら進むしかなさそうですねー。えーと、真ん中辺りにある崖部分に辿り着くのは……まだかかりそうです?」


 まだ3分の1くらいしか進んでないし、崖部分があるって聞いてる辺りにはもう少しかかりそう? まぁ今回の移動はほとんど走ってないし、ゆっくり探しながらの割には距離は進んでる方なのかも?


ミナト : ん-、位置的にはまだ距離があるけど……この調子ならサクッと『疾走』でそこまで行っちゃう? 湖エリアはエリアとしては狭い方だから、陸部分を走れば結構早いよ?

金金金 : そんな気はしてたが、湖エリアは狭いのか。

ミツルギ : 他の陸エリアと比較してって話ではあるけどな。その分、深さがあるから水中に入れればそうでもない。

チャガ : むしろ、そっちが本命だからこそ、エリアそのものの広さは控えめなくらいだな。


「なるほど、そういう感じなんですか! ……ますます、湖の中に入りたくなってきましたね!」


 湖エリアの本命はやっぱり水の中だよね。それは当然な事として……うー、本当にとことんライオンには向いてないエリアだー! ……宝石系アイテムがもう1個手に入れば、すぐにでも水への適応進化を目指すのに!


「……もう雷への適応進化を保存するだけでいいので、湖に入りましょうかねー? それで入る事自体は出来るはずですし!」


 その後に得る水への適応進化を保存しておけるようにするつもりで、もう1個の宝石系アイテムを手に入れようって考えてたけど、そっちを残すつもりが無ければ今でもいけるよね!


こんにゃく : ありと言えばありだが……いいのか?

ミナト : サクラちゃんが良いのなら、それもありだとは思うよー! 水への適応進化を保存しておくとしても、再度それを適応させる為には、また雷への適応進化を保存する用の宝石系アイテムは必要になるしね。

ミツルギ : まぁ雷への適応進化に戻す事だけは、もう確定で可能だからな。水への適応進化を発生させて、その後どうするかという部分の問題だから、サクラちゃん次第だぞ。

富岳 : 湖の中で宝石系アイテムが手に入る可能性もあるし、まぁそれに賭けるというのもありか。

サツキ : どうするかはサクラちゃん次第!

真実とは何か : それのみが真実である!


「あはは、やっぱり私次第になりますよねー!」


 正直、湖の中に入りたくてうずうずしてるし、配信時間も半分以上は過ぎてるし、やるならもう今しかない気がする! 今日中に湖エリアをクリアして離れなきゃいけない訳じゃないし、今から適応進化を狙うのもありだよね! うん、決めた!


「準備が十分とは言えないですけど、もう湖に本格的に入っていきます!」


 ふっふっふ、もうこれで決定! 雷への適応進化以外の初の適応進化をやっていこー! こういう事が出来るようにする為の宝石系アイテムだろうし……見た目が変わる装飾進化だっけ? あれもやってみたいけど、宝石系アイテムの個数的に無理!


「という事で、雷への適応進化を一旦保存しちゃいますねー!」


 えーと、手順としては成熟体へ進化する時と同じで……って、よく覚えてないよ!? えっと、確かあの時は……うん、確か宝石系アイテムを使用すればよかったはず! だから、アイテム欄から真珠を選択して……あ、『適応進化の保存』って項目が出たからこれだよね!


G : おっ、ちゃんと手順を覚えてたか。

いなり寿司 : そうみたいだな。

金金金 : これ、戻す時に増幅が必要になったりはしねぇ?

ミツルギ : 今のサクラちゃんの雷への適応進化の分は、既に増幅済みだから問題ないぞ。増幅前に保存してたやつを適応しようと思えば、その時は増幅が必要になるけどな。

金金金 : あー、なるほど。


「特に問題なさそうなので、このまま保存しちゃいますねー!」


 覚えてる手順が怪しいし、勝手にサクサク進めないで皆さんの反応を待ちながらやっていこー! ここまでの手順は問題なさそうだから、これで保存なのですよ!


<成熟体【巧妙なライオン【雷】】の適応進化を【真珠】に保存し、成熟体【巧妙なライオン】へと変化しました>


 目の前に出てきてた真珠に向かって、私のライオンから電気がバチっと迸っていった! ふふーん、なんか真珠の表面に電気がバチバチと流れて、その様子が真珠の表面に反射して見えてて不思議な感じ!


「アイテム名は『真珠【雷】:増幅Ⅰ』になってますねー! ちゃんと増幅済みで保存されてるみたいで、一安心です!」


 さっき金金金さんが心配してた内容だけど、無事に増幅済みの状態で保存完了! 無くす事はないだろうけど、アイテム欄にちゃんと戻して……あ、その前にスクショを撮っておこー! スクショを撮るぞー! ……うん、撮れた!


水無月 : これは、今日のサムネイル候補かな?

ヤツメウナギ : んー、これからの展開次第じゃね?

神奈月 : まぁサムネイルとしては、内容的にありな気はする。


「サムネイルを何にするかはまだ未定ですけど、これは候補の1つではありますねー! それにしても……仕方ないんですけど、視界に入ってた表面の電気が見えなくなるのは少し寂しいです」


 今の私のライオンからは雷への適応進化が抜けてるんだし、ここはどうしようもないけども! ともかく、この真珠はアイテム欄に戻すのです!


「……ちょっと思ったんですけど、アイテム欄に戻さずにこのままここに置き忘れたりしたらどうなるんですかねー?」


 無くす事はないって思ってたけど、そうじゃない可能性もあるよね!? 今回はちゃんとアイテム欄に戻したけど、その辺はちゃんと確認しておいた方がいい気がする!


ミナト : 置き忘れたアイテムは、時間経過で消滅しちゃうからちゃんと戻しておくのは大事だねー!

咲夜 : 雷への適応進化を保存した真珠が消滅したら、悲惨も悲惨だな……。

富岳 : 消滅までの時間は難易度で変わるが……イージーならゲーム内で丸1日だったか? 昼夜1回ずつ過ぎたらだったはず。

ミツルギ : 何もなく、その場に残り続けた場合でだなー。……適応進化を保存した宝石系アイテムは、敵に使われる形で消滅する事もある。この場合、離れてすぐにでも発生する可能性はあるぞ。

G : 取り返す方法はないから、そうなった場合は相当悲惨だからなー! その辺、要注意だぞ!


「本当に悲惨な事になりますね、それ!?」


 ちゃんとアイテム欄の中に真珠は戻ってるよね!? ……うん、ちゃんとあるから大丈夫! 思った以上に悲惨な事になるみたいだし、本気で気を付けないと!

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