第461話 真珠を狙って


 ふふーん! ミナトさんが真珠が入ってるっぽい貝を見つけたみたいだから、それの確認だー! 浅いところとはいえ、湖の中だから要注意!


「それじゃ、再び湖の中に行ってみますね!」


 少し先にLv29の旺盛なブラックバスとかいるけど、多分距離があるから大丈夫なはず! でも、影だけで索敵にしか反応していなくて、看破では情報不明な魚っぽいのもいるから警戒していこー!

 ブラックバスって言えばあれだよね! 釣りで人気なやつ! ちょっと釣りゲームで遊んでた時に、見た事ある! ……あんまり長くは遊んでないけど。


「このブラックバスとか、他に何かいるのとか、看破で情報が見えるのと見えないのは、どういう違いなんですかねー?」


 どっちも明確に姿が見えている訳じゃないんだけどなー? 魚影がはっきりと見えているのはブラックバスの方な気がするけど、その辺が基準なのかな?


ミツルギ : 水上から水中を見る場合は、一定距離以内なら明確に姿が見えてなくても看破は反応するぞ。そうじゃないと、冗談抜きで分かりにくいからな。

イガイガ : 昼間の方が透明度の高い水中は見通しやすいけどなー。昼夜によって、微妙に判定基準が変わってくる!

咲夜 : 大雨とか振ってたら、水中の様子とかさっぱり見えなくなるんだよな。

G : 少し曇り気味の夜は、そこそこ視界は悪い方になるぞ!

ミナト : 影しか見えてない敵とはそれなりに距離がある事にはなるけど、影が大きいから結構大型の敵だねー。索敵に引っかかる範囲でこのサイズだと、少し小型なワニか大型魚かも?


「ワニか大型魚ですか!? ちょっとそれは警戒しておきますね!」


 わー!? 具体的にどういう種族かは分からないけど、あんまり戦いたい状況ではない気がする! 出来るだけ手早く貝を探しちゃおう!


ミナト : サクラちゃん、右手前の方ねー! もうちょっと前!


「えっと、この辺です?」


 むぅ……ライオンの脚の関節部分くらいまでの水深だから浅いんだろうけど、ミナトさんはよくこの中で見つけられるね!? ギリギリ底が見えるかどうかくらいな気がするよ?


金金金 : ……この状況で、ミナトさんはどうやって見つけてんの? 距離があったら、単純に見えないんじゃねぇ!?

ミナト : んー、だから今回のは自信はないんだよねー。サクラちゃん、黒い大きな二枚貝はいない? 今いるのは砂利の場所だし、大きな黒い石は少ないから、多分索敵に引っかからない黒いものはそれだと思うんだけど……。

咲夜 : そういう探し方!? あー、でも確かに真珠が出てくる貝はデカいよな?

ミツルギ : まぁ真珠が中にあるくらいだしな。

富岳 : 20センチくらいはあったはずか。

ミナト : うん、それくらいにはなるよー。リアルでの名前だと、イケチョウガイだね。

金金金 : なるほど。見つけたというより、周りと比較して違う部分を探してるのか!


「おぉ、そういう探し方なんですか! 思った以上に大きな貝ですね!?」


 まさかの20センチの貝だった! それって、地味にホタテとかより大きくないですかねー!? でも、ミツルギさんも言ってるけど、真珠が中にあるのならそれくらいのサイズの貝にはなるのかも!


「水面からじゃ分からないので、水中を覗き込んでみますねー!」


 そんなサイズの貝なら、最低でも今いる場所くらいの水深はないと厳しそうな気がする! でも、明らかにサイズ的には目立ちそうだから、見ればすぐに分かりそうな予感もするよ!


「あ、ありました! 下手な石よりも大きいですね、この貝! カメくらいのサイズがありませんかねー!?」


 これだけ大きければ、確かに目立つかも! でも、敵の反応ではなくて一般生物の反応だね! ちょっと前脚で突いてみたら、マップでの表示が赤色じゃなくて灰色になったもん!


水無月 : 大きい貝だね!? 確か、灰色が一般生物の敵だったよね?

イガイガ : そうなるなー。真珠の場合は、この手の貝を仕留めて運が良ければ手に入る!


「そういう感じになるんですね! それじゃ、早速仕留めちゃいましょう! 『噛みつき』!」


 一般生物が相手なら、多分そんなに硬くはないはず! あ、噛みつくのはサイズ的に結構ギリギリかも!? でも、なんとか牙が貝殻に突き刺さってるし、これならいけそう!


サツキ : サクラちゃん、さっきの影が近付いてきてるから陸に急いで戻ろー!

水無月 : わわっ!? どんどん影が大きくなって……あ、ワニだ!


「Lv28の迅速なワニじゃないですか!? 急いで湖から出ます!」


 ぎゃー!? 地の利が向こうにある状態で、格上のワニとか戦いたくないよ!? 急いで水の中から出て、その上で迎撃しないと、ここじゃまた殺される!

 弱点分析で内容を詳しく見たいけど、それをしている暇はない! 回れ右で、陸地へ戻るのさー! ここでまた水中に引きずり込まれて死亡は嫌ー!?


金金金 : 見事な慌てっぷりの狐っアバター。さて、無事に陸まで逃げ切れるのか!?

真実とは何か : その真実はまだ分からない!

ミツルギ : この手の貝は地味に一般生物にしては硬いのに、そこでワニが出てくるのは間が悪い……。

サツキ : サクラちゃん、何とか逃げ切って!

水無月 : 頑張ってー!


「はい! そのつもりでいます!」


 うぅ、貝を仕留めるのを噛みつきにしたのが失敗だったかも!? そうじゃなければ、ワニに向かって咆哮を使って萎縮を狙ったのに! さっさとこのデカい貝を噛み潰せませんかねー!?


「あ、貝の撃破成功です! わっ! やりました、真珠ゲットです!」


 ふふーん! 仕留めても手に入らない事もあるみたいだけど、今回の私は運が良かったのですよ! その代わりにワニに追われてるけど!


こんにゃく : おっ、1発で真珠を引き当てたか。割と確率は低いんだけどな。

水無月 : え、そうなんだ?

ミナト : なんだかんだで、宝石系アイテムはレアアイテムではあるからねー。

咲夜 : 物欲センサーが仕事をさぼっている!?

イガイガ : いやいや、そこは働かなくていいから。


「物欲センサーは本当に働かくていいですからね! とりあえず目的のものは1つ入手です!」


 出来れば他にも数個は欲しいけど、今はそう言ってる場合じゃなーい! バシャバシャと水飛沫を上げて陸を目指してるけど、どうしても移動速度は遅いよ!


咲夜 : あ、ヤバい。追いつかれる!?

ヤツメウナギ : げっ!? マップを見た限り、もう真後ろじゃん!


「そうなんです!?」


 マップを見てる余裕はないけど、むぅ……このまま逃げ切れる気はしないし、一か八か咆哮で動きを止める! その為にも止まって、後ろへと方向転換! 貝を噛み潰して、噛みつきの効果時間は切れてるからスキルは使えるようになってるもん!


「ぎゃー!? もうギリギリ過ぎませんかねー!? 『振り回し』!」


 振り返る途中でワニが迫ってきてるのが見えたから、振り返る勢いに任せて頭突きで攻撃! ……ふぅ、大口を開けて噛みつこうとしてきてたワニの頭の横に綺麗に当たって、噛みつかれずに済んだ!


「危ないですね、このワニ! 振り返って正解でしたよ!」


 背を向けて逃げていたから正確な位置が分かってなかったけど、思った以上にギリギリ過ぎたよ! 一か八かで振り返ってなければ、あと少しの陸地までも届いてなかったかも!


ミツルギ : 振り返りながらの頭突き……頭突きなのか?

イガイガ : 頭で横に薙ぎ払った感じだし、頭突き……?

神奈月 : 適切な表現手段が思いつかない?

G : 『振り回し』は大体の部位が攻撃に使えるけど、まさか頭でも使えたとは……。

富岳 : 頭突き攻撃は一部の種族であるにはあるが、一直線に突撃か、振り上げるか振り下ろすパターンだからな。左右では、早々使わんぞ。


「あはは、なんか咄嗟にやっちゃいましたけど、確かに今のは頭突きって感じじゃないですよね! まぁでも結果オーライって事で! わわっ!?」


 結果オーライではあるけど、ワニからの攻撃を少し凌いだだけだった! 追撃でまた噛みつこうとしてきたから、後ろに飛び退く! ……まだ湖から脱出し切れてないけど、それでもあと少し!


「ちょっと大人しくしててください! 『咆哮』! あ、萎縮が入りましたね! それじゃ、今のうちに湖から脱出です!」


 もう一度、回れ右! ここから追撃をするよりも、まずは地形的な不利を無くすのが最優先だよね! 格上のワニ退治は、それから本格的に開始って事で!

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