第438話 可能性の話


 少し雑談してたら、お腹が空いてきちゃった。まぁ今すぐに食べられる訳じゃないから、もう少し頑張っていこー!

 なんだかんだで話してる間に色々と再使用時間も過ぎたし、私が薙ぎ倒した森の部分も見えてきたもんね!


「さーて、元居た場所まで戻ってきましたし、色々再発動して、北の端まで駆け抜けていきましょう! 『索敵』『見切り』『弱点分析』『看破』『疾走』!」


 ふふーん、森林深部での目的は達成したし、後は北のエリア切り替えの場所まで移動するのみ! うふふ、今日は昨日みたいに変なものを引きまくる事はないし、色々と順調!


金金金 : なんだかご機嫌な狐っ娘アバター。まぁ今日は、昨日みたいに変なものは出まくってなかったしなー。

ミツルギ : あー、一応エリアボスが特殊な敵ではあったけど、まぁそれくらいか?

イガイガ : そのエリアボスも、ノーダメで完封勝利だしなー。


「え? あのオオカミって、特殊な敵だったんです?」


 そんな雰囲気は全然しなかったけど……うん、ほぼ攻撃を見てない気がするから、判断基準は足りてない気もしてきた!?


ミツルギ : ぶっちゃけ、雷への適応進化をしていないサクラちゃんを相手にしてるようなもんだからなー。

咲夜 : どう考えても、変な敵!

富岳 : まぁ初撃を躱せなければ、全然違った展開はあり得たからな。中々距離が詰められず、距離を取られたまま『狼叫衝波』を何度も使われる可能性もあった。

チャガ : 結果的には近距離攻撃も持ってたから、距離を詰めたら詰めたで対応されるタイプだったしな。……使われる前に完封したからいいものの、『咆哮』で萎縮にされる可能性はサクラちゃんにもあったからな?


「……え? あ、そういえばそうなるんですか!?」


 わわっ!? 全然、その可能性がある事を考えてなかった!? そっか、前に他のオオカミと戦った時に萎縮にさせられた事もあったよね! 本当にオオカミって、ライオンと同じような性能をしてるんだ!


「そうなると……下手すれば、私の獅哮衝波が打ち消された可能性もあるんです!? あれ? でも、咆哮でキャンセル出来るスキルの効果がランダムなら、色々と他のスキルが発動中だったんで、それで防げたりしました?」


 あの戦闘中なら、移動中には使いっぱなしのスキル達は発動中だったよね? 攻撃用のスキルをキャンセルさせられる可能性は低いのかな?


ミツルギ : ずっと使ってる『看破』『索敵』『見切り』『弱点分析』は、どれも『咆哮』でキャンセル出来る対象だからなー。防げると言えば防げるが……運任せの防御にはなるぞ。

神奈月 : 運任せになるから、安定はしないやつだな! 5分の1でしか成功しないと思ってたら、そういう時に限ってキャンセルされたくないのに当たるとかな!

こんにゃく : あー、あるある。

G : それが決めるための溜め攻撃だった時には……もう、悲惨としか言いようがない。

ヤツメウナギ : あのオオカミとの戦闘なら、それこそ『雷纏い』がキャンセルされたら悲惨過ぎる。

ミナト : 強制的にキャンセルされた場合も、しっかりと再使用時間は発生するからね。『雷纏い』のキャンセルは相当痛いかも?


「それは確かに悲惨ですね!? むぅ……あんまり意識してなかったですけど、咆哮でのスキルキャンセルには要注意ですね」


 自分で使う分には便利だけど、敵に使われると厄介なスキルの1つだよねー! あ、そういえば『覇気の咆哮』が広範囲版の咆哮って話だったような? んー? もしかしてこれって……?


「あの、ちょっと質問です! 前に『覇気の咆哮』って話題に出たじゃないですか? 咆哮の広範囲版って話だったと思うんですけど……あれって『衝撃凝縮』を使って凝縮したら、もしかして一気に複数の効果を消し飛ばせたりします?」


 今ふと思いついた事! 広範囲に対して使うスキルってのは聞いたけど、その範囲を狭めたらどうなるの?

 確か、再使用時間が長めで使いにくいとも聞いた気はするけど、それならその分だけの性能はありそう!


富岳 : 勘が良いのか、悪いのか、その辺は時々分からなくなるな。その内容は、サクラちゃんの読みで正解だ。

イガイガ : 気付かない時は全然気付かないのに、気付く時は中々気付かない事にも気付くもんなー。

ミツルギ : だよなー。凝縮率とスキルLvにもよるけど、スキルLv1でも2~3個のスキルは同時に消せるぞ。最大まで育てて凝縮率100%で、全キャンセルも可能だ。


「おぉ! やっぱりそういう性能はあったんですね!? なんというか、その手段ってボス戦向きです?」


 あんまり色々とスキルを使ってる敵とは遭遇してない気もするし、ボス戦での敵の強化効果を打ち消すのに使えそう!


こんにゃく : あー、まぁイージーでの普通の雑魚敵は強化系のスキルの使用頻度は低いしなー。ボス戦向きではあるのか。

ミナト : 強化効果って、基本的にはパッシブスキルの方が多いからねー。『識別』や『看破』は敵が使っても意味がないタイプのスキルだし?

サツキ : 回避が上手い敵なら『見切り』を使ってる事があるから、それの打ち消すには便利らしいよ!

G : まぁ『咆哮』そのものを回避されるがな!

水無月 : それじゃ意味ないよ!?


「……あはは、確かに回避されないようにキャンセルを狙っても、それすら回避されたらどうしようもないですねー」


 というか、そういう事って実際にあったような気もする! うーん、色々と便利な咆哮だけど、カウンター攻撃も発動してたはずだし、低い段階のスキルツリーで解放出来るスキルだから、そこまで万能じゃないんだねー。


「その辺を使わせずにオオカミに勝てたのは、ラッキーだったんですねー!」


 いやー、全然警戒してなかった部分だから、本当に使われなくて良かったのですよ! うん、本当に雷纏いは偉大だね! 麻痺、最強!


咲夜 : そういう結論!?

こんにゃく : まぁ決して間違ってないのが、なんとも言えないところ。

真実とは何か : それこそ、まさしく真実なのである!

富岳 : 確かに総括すればそうなるからな。サクラちゃんの『雷纏い』の発動より先に『狼の雄叫び』が発動していれば……今も戦闘中だったかもしれん。

いなり寿司 : あの状況からの最悪のパターンだと、『狼の雄叫び』の直撃を受けて『朦朧』になり、その間に近接攻撃で『出血』を入れられた状況ってとこか?

ミツルギ : まぁそんなとこだろうなー。最悪と入れるなら、その間に反撃するものの、有効打……それこそ『雷纏い』を『咆哮』でキャンセルされるくらいも追加で。

神奈月 : あー、それは凄い嫌なやつ。


「……本当にそれは嫌ですね!? でも、さっきのエリアボスだとそういう状況になる可能性もあるんですねー」


 今回は運良く完封出来たけど、そこで過信しない方が良さそう! 完封したのに、なんだかちょっとした反省会みたいになったけど、この辺はこれからの戦闘の参考になったかも!


「んー、複数のスキルのキャンセルが出来るなら、『覇気の咆哮』も欲しくなってきましたねー? 疾走が切れたら、ちょっと今の進化ポイントがいくつあるか確認してみましょうか!」


 今日はスキルツリーを色々と解放はしたけど、その後でも結構進化ポイントは手に入ってるはずだもんね! 足りるかどうかは分かんないけど、確認してみる価値はあるはず!


ミツルギ : おっ、『覇気の咆哮』も解放していくのか。

G : まぁありっちゃありだよなー。あれは他のスキルとの組み合わせで、化けるタイプのスキルだし。

咲夜 : それ、言っていいのか!?

富岳 : ……咲夜さん、それこそ言っていいのか?

咲夜 : ……え?


「えーと、そこで止めようとするって事は……『衝撃凝縮』との組み合わせ利用以外にも、有効な組み合わせがあったりするんです?」


 既に組み合わせのパターンが出てたのに、その上で止めるって事は他にも効果が化ける事があるんだよね!? そうじゃなければ、止める理由がないもん!


咲夜 : あー、今のはなかった事にしてくれ!

水無月 : うん、もう遅いと思う!

ミナト : あはは、どう考えても遅いよねー? サクラちゃん、他にもあるって気付いちゃってるし。

咲夜 : ……ですよねー!?


「あはは、本当にあるっぽいですね! うーん、どういう組み合わせで化けるんでしょう?」


 そういう組み合わせがあると言われたら、どういう組み合わせなのかが気になってくるよね! もうしばらく疾走の効果は続きそうだし、近くにはオオカミが追い払ったせいか全然索敵に反応もないし、その辺を考えていこうっと!

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