第422話 ハチを一掃
ぎゃー!? 黄色い液体が滴ってる針で刺そうとハチが突っ込んできてる!? 思いっきり見切りに反応が出てるし……でもこのタイミングなら、私の方が先に攻撃出来るよね!
「溜め完了です! 獅哮衝波、いっけー!」
凝縮率は100%にしてるから、範囲は狭いけど……確実に当てる! 私を狙って動いてきてるから、狙いやすいタイミングなのですよ! これで、とりあえず毒針は避けられるはず!
<成熟体を撃破しました>
<進化ポイントを2獲得しました>
<サクラ【巧妙なライオン【雷】】が成熟体:Lv15に上がりました>
<基礎ステータスが上昇します>
<進化ポイントを4獲得しました>
「……あれ? 即死です?」
吹っ飛ばせるとは思ってたけど、まさか即死だとは思わなかったよ!?
サツキ : サクラちゃん、お見事!
水無月 : おー! 凄い威力!
金金金 : 1撃で仕留めた事に驚く狐っ娘アバター。ぶっちゃけ、それほど不思議でもないような?
ミツルギ : 衝撃凝縮で凝縮率100%にしてたんだし、同格のLvの相手なら即死できるだけの威力は出るぞ?
G : まぁ普通に発動しても、射線上にいれば堅牢系統以外は倒せる威力はある訳だしな。
富岳 : サクラちゃんのライオンは根本的に器用系統だから、そもそもの威力が高いのもあるぞ。
咲夜 : それを凝縮すれば、この結果は当然の事!
ミナト : ちょっと過剰威力になってたくらいかもねー?
「あ、そう言われるとそうなりますよね!」
よく考えたら、元々の威力が高いんだった! 大慌てでハチの巣を巻き込まないように調整したから、完全にその辺が抜け落ちてたけど、まぁ結果オーライって事で……って、待って!?
「わー!? なんか周囲のハチが一斉に攻撃してきたんですけど!? 『放電』『放電』『放電』『放電』『放電』!」
うがー! ただのハチが群がってくるんじゃなーい! 全然刺さってないけど、ハチの群れがどんどん刺してこようとしてるんだけど!?
G : ハチの巣の護り手が仕留められて、必死なハチ達である。
咲夜 : 抗うものの、無常にも電気で焼かれ、その思いも儚く散っていく!
イガイガ : そして、これから奪われようとするのは……彼らが住処。
富岳 : ノリノリだな、おい。
ミナト : あはは、まぁ設定上はそうなるんだろうけどねー。
「やりにくくなることを言わないでもらっていいですかねー!? ゲームなんですから、その辺に遠慮はしませんからね! 『放電』『放電』『放電』『放電』『放電』!」
ただの悪ふざけなんだろうけど、なんだかそういう風に言われると私が悪者みたいだよね!? それでも、容赦なく仕留めていくだけなのさー! ハチミツを寄越せー!
「あ、そういえば悪者になるゲームとかありますっけ? 年齢制限でやった事はないですけど……。『放電』『放電』『放電』『放電』『放電』!」
そういうゲームは大体18歳以上だから、やった事ないんだよねー。保護者の許可があれば出来るには出来るけど、わざわざ許可を得てまでやる気はない! でも、一定の人気はあるんだよね、そういうゲーム。やってみたら面白いのかな?
金金金 : サクラちゃん、何気に18歳未満だと確定!
ミナト : まぁ元々そんな気はしてたけどね。
ミツルギ : 正直、その辺は今更ではあるよな。
富岳 : 確かにな。金金金さん、分かってて投げ銭は抑え気味にしてるだろ?
金金金 : まぁなー! 成人してたら、投げ銭は1桁変わってるぜ!
こんにゃく : 何気に金持ちか、金金金さん。
ヤツメウナギ : 名前がそのまま示しているのか!?
金金金 : あれよ! 今の携帯端末とVR機器の根幹の特許を持つ企業が無名な時に株を結構持ってて、それで大儲け! フルダイブがいつか現実の物にならないかと、関係しそうな企業の株に投資してたからなー!
こんにゃく : あー、あそこは急成長な企業だもんな。
ヤツメウナギ : なるほど、IT分野を筆頭に色んな勢力図を塗り替えたあの企業の株か。地味にすげぇな!?
「え、そうなんです!? ……というか、元々は無名だったって事が意外ですね? 『放電』『放電』『放電』『放電』『放電』!」
うがー! 地味にハチの数が多くて、中々倒し終わらないんだけど! 放電を広げようと思っても、その前にハチが当たってきて勝手に発動しちゃうから、効率が悪いよ!
富岳 : 10年前には無名も無名な企業だったが、AR技術やVR技術の根幹の特許を握ってるからな。夢物語と思われてたものを現実のものとしたんだから、まぁそりゃとんでもない事にはなる。
ミナト : ゲームはあくまでおまけみたいなもんだしねー。根幹部分は医療技術だし、今みたいな発展の仕方はちょっと予想外だったかも? 元々根回ししてたのか、法整備が妙に早かったしね。
いなり寿司 : 元々は先天的、後天的に関係なく五感の何かを失った人への代替技術だっけか。目が見えない人にはカメラの映した映像をそのまま脳へ送ったり、義足や義手の触った感覚を再現したり、そういう技術。
ミツルギ : それだと単価が高過ぎるから一般普及させて単価を下げたんだったよな。いやー、すごい時代になったもんだ。
「あー、そういえばそういう流れがあったのは、学校で軽く習った気がしますねー。というか、中々ハチがしつこいんですけど!? 『放電』『放電』『放電』『放電』!」
ふぅ、突っ込んでくるハチの数は多少減ってきたかな? もう少し減ってからなら、放電を少し溜めて、全方位に広げる感じで一掃出来そうだね!
「あ、それはそうとして……さっきのハチの弱点が、1つも表示されてなかったのは何でですかねー? 『放電』『放電』『放電』『放電』!」
リアルの話題はとりあえず一区切りにして、気になってたところを聞こう! ちゃんと見えてなかったと思ったけど、しっかりと見てみたら何の表示も無くてびっくりしたもん!
ミツルギ : そこは気になる部分だよな。まぁぶっちゃけると、弱点と言える弱点が無い!
ミナト : あの弱点の表示は他のスキルやステータスと相対的な差を示してるんだけど、極端に突出している構成が無い状態だとそうなるよー。
富岳 : 知恵系統としては知恵のスキルやステータスは抑えめで、それ以外のステータスやスキルが多いパターンだな。
咲夜 : 攻撃は遠近両用、それも毒持ち! そして生命も堅牢もそこそこあるという、オールラウンダー! 言い換えれば、器用貧乏とも!
こんにゃく : 進化階位が低ければ器用貧乏、進化階位が上がってくればオールラウンダーに近付いていくぞ。
G : まぁ解放段階が上になる凶悪な1撃の威力のスキルは持ってないが、遠近両用かつ毒があるので十分過ぎるほど厄介だしな。
「あ、そういう個体なんです!? ……むぅ、やっぱり毒が凄まじいですね。でも、そろそろ一般生物のハチも一掃出来そうです! これで終わりにしましょう! 『放電』!」
目に見えてハチの数も減ったし、突っ込んでくる様子も減ってきた! という事でちょっと放電を溜めてから……一斉に全方位へと、放電を広げて一掃だー!
「ふぅ、やっと倒し切れましたね! なんか、一般生物のハチの処理の方が手間取った気がしますよ……」
でも、ようやくこれでハチミツを採集出来るのさー! ふふーん、どんな性能になってるかが楽しみだね!
チャガ : 別に放電で倒す必要もないんだけどな? 大型種族なら、体当たりで割とまとめて仕留められるし……。
神奈月 : というか、倒す必要すら皆無だぞ。無視して採集して、そのまま離れたら追いつけないからなー。
水無月 : え、そうなんだ!?
金金金 : そういう風になってるのかよ!
「それ、ハチを全て仕留め終える前に教えてもらえませんかねー!?」
うがー! 絶対に分かってて黙ってたやつだ、これー! ハチの巣を襲う悪者みたいに言ってた、Gさんと咲夜さんとイガイガさんは確実に狙ってるよね!?
G : いやー、つい?
咲夜 : 黙っていた方が面白いと判断した!
イガイガ : まぁそれはいいとして、採集をやっていこうぜ!
「……なんだか釈然としないですけど、まぁいいです。ともかく、ハチミツを採集していきますよ!」
私をからかってくる部分って今更な事でもあるし、別に本気で怒るような事でもないから気にしない! ネタバレ厳禁でやってる以上は、そういう事があっても仕方ない……って、からかわれる度にそう思ってる気がするよ!? うーん、まぁいいや。
「ちょっと高い位置にありますけど……あ、届きましたね!」
ハチの巣がある木の幹を支えにして立ち上がって、前脚を伸ばせばなんとか届いた! 届いたら普通に採集の表示も出たし、これで採集なのさー!
「おぉ、ハチミツが4つほど手に入りましたね! さーて、どんな効果になっているかを確認していきましょう!」
ふふーん、折角手に入れたハチミツだもんね! 効果に変化があるみたいだし、どういう変化があるのかが楽しみ! 単純にHPの回復量が増えるとかじゃなければいいなー。まぁそれでも便利だとは思うけどね!
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