第354話 忘れていた事
ふふーん、マップの解放を目指して、再び駆けていくのです! 途中でちょいちょいと敵の邪魔が入って、中々解放までの距離が進まないねー。
「早くマップを解放しちゃいたいですねー! はっ!? そういえば、アイテムの採集を出来ないかと思ってたのに、全然気にしてなかった気もしてきました!?」
うがー! 回復アイテムの補充とか、成熟体から手に入りやすくなるっていう再誕の道標とか、宝石系アイテムとか、増幅系アイテムとかも狙いたかったのに! 何を完全に忘れ去ってたの、私!?
金金金 : しょんぼりしている狐っ娘アバター! 他の事に意識が散って、忘れ去られていた目的だな。
サツキ : サクラちゃん、今からでも探せば大丈夫だよ!
咲夜 : そうだぞー! そもそも、疾走しながらって地味に探しにくいし!
ミツルギ : まぁマップを解放してから疾走を止めて、それからでも良い内容だな。
「……まぁそれもそうですね! それじゃやっぱりマップの解放を最優先でやっていきましょう! ちょいちょい敵も見えてますし、少しずつLvも上がってきてますしねー!」
この辺は、敵のLvは1~4の範囲ってくらいだねー。成熟体の上限Lvが分からないけど、1エリア毎に何レベルまでかの区切りはあるはず! 区切りはずっと同じじゃないっぽいけど、進化階位が上がれば幅も増えてきてるよねー!
水無月 : Lv4とか出てきてるし、意外と進んでるの?
富岳 : あー、まぁそれなりに進んではいるはずだな。そろそろ、マップ解放も近いんじゃねぇか?
ミナト : 山麓エリアは広めだけど、そうなりそうだねー!
「おぉ、もう少しでマップ解放ってくらいは進んでるんですね! さーて、それじゃもうちょっと、頑張って走っていきましょう!」
ふふーん、ちょいちょい木々がある場所も見えてるけど、走りやすさ優先で高原エリアと似たような場所を進んでるからね! なんだかんだで邪魔はされてても、それなりに東に向かって進んでるはず!
いなり寿司 : あ、そうだ。忘れてると言えば、高原エリアの名前の変更ってまだだよな?
水無月 : あ、そういえばそうだね!?
G : サイコロタイムで色々あって、そのまま放置になってるか。
「言われてみればそうですね!? それなら走りながら、名前を考えていきましょうか!」
言われるまで、その件も完全に忘れ切ってた! むぅ……なんだか今日は、やっぱりだけどいつもと調子が違うよね。姉さんのサプライズが忘れ去ってた原因な気もするけど、まぁそこはいいや!
サツキ : さー、エリア名を考えていこー!
イガイガ : 食べ物シリーズからは脱却したし、どういう名前になるのか……。
ミナト : サクラちゃんの印象に残ってる事が、何かによりそうかな?
「そうですねー! 高原エリアでの印象深い出来事ですか。やっぱり雷雲との遭遇ですかねー?」
雷雲の下で、雷を引き起こしての乱獲! あれはかなり印象深いところだよね! 他には何があったっけなー?
「……そういえば、エリアに入って早々にエリアボスに殺されもしたんでしたよね」
咲夜 : そっちもまぁ強烈な印象ではあるよなー!
こんにゃく : 確かにあのパターンの初遭遇は、びっくりするやつだしな。
G : そこから取るなら『強襲の高原』とかか?
「流石にあれを由来にはしたくないので、そこは却下ですねー!」
あれも印象深い内容だけど、エリア名の由来にはなんかしたくない気はする! これはなしで! うーん、昨日の事なら縄張りもありな気がする? そこから行くなら、どういう名前がいいかなー?
サツキ : 雷雲から取って、『雷鳴の高原』とかはどう!?
「なんか、それだとシンプル過ぎません?」
そのままと言えば、そのままの名前だよねー! 別にそれが駄目って訳でもないけど、それは何かが違うとい私の直感が告げている!
サツキ : そっかー。これは駄目なんだねー。
いなり寿司 : 今までの場所も大概シンプルというか……そもそも、『光湖の森』以外は、食べ物……。
咲夜 : シンプルってレベルじゃないよなぁ!?
ヤツメウナギ : でもまぁ決めるのはサクラちゃんだし、しっくり来ないなら仕方ないだろ。
金金金 : 悩み顔の狐っ娘アバターである。
「シンプルなのは良いんですけど、なんかピンと来ないんですよねー。他に印象深い内容と言えば……あ、星空ですね! これを忘れちゃ駄目ですよ!」
そっか、そっか! なんでピンと来なかったのかと思ったら、そっちの方が良さそうな気はしてたからかも! うん、変に死ぬのに関係してた要素より、純粋に綺麗だと思った景色を由来にした方が良い気がする!
「よし、決めました! 由来はあの綺麗な星空にする事にします! えーと、それでどういう名前が――」
<規定以上の距離を移動しましたので【マップ】が解放されました>
「って、このタイミングでですか!? もう少しだけ待ってくれてもいいんじゃないですかねー!?」
うがー! 何を由来にするかを決めて、ここから真面目に名前を決めようとしてたとこなのに! 空気を読んでくださいよ、空気を!
とりあえず疾走は中止! 今は一旦、ズサッと止まるのです! むぅ、本当にタイミングが悪いなぁ……。
金金金 : ゲームのメッセージに怒る狐っ娘アバター。まぁ今のタイミングだと、気持ちは分かる。
ミナト : あはは、すごく邪魔するような感じのタイミングだもんね。
サツキ : サクラちゃん、気にしない! 時にはそういう事もあるさー!
G : とりあえずマップ解放はおめでとさん。
ミツルギ : サクッと高原エリアの名前を決めて、次をやっていけばいいって事だな!
「……まぁ確かに怒っても仕方ない部分ですよね」
ちょっとイラっと来たけど、よく考えたらもう少しで解放出来そうとは言われてたもん! それにマップが解放出来た事自体は良い事なんだから、気にしなくていいのです!
「さて、気分を切り替えて、サクッと高原エリアの名前を決めちゃいましょう! その後で、東に向かいながらLv上げをしつつ、アイテム探しですね!」
うん、それで決定! 高原エリアの名前を無理に付ける必要もないんだけど、やっぱりこれまでどのエリアも変えてきたんだから、やっときたいもんね! さっきまで存在は忘れてたけど!
サツキ : 星空を由来だね! えーと、それなら『星空の高原』!
いなり寿司 : 直球だな、おい!?
咲夜 : 欠片も捻りがなかった!?
「あはは、流石にそのまま過ぎますねー! それでもありと言えばありですけど、何か少し捻りは欲しいとこです!」
とはいえ、パッとは思いつかないなー。星空……星空かー。天の川……って感じではないよね? 満天の星空だったけど、それはちょっと違うもん。
富岳 : 星空を由来とすると、中々難しいな。『星屑』とか『星団』はどうだ?
ミナト : 『綺羅星』とかもありじゃない?
サツキ : 『空の海』とかどう!?
いなり寿司 : それなら『宙の海』の方が良くね?
「うーん、中々難しいですね……」
地味に高原要素が消えちゃってるのが気になるけど、やっぱり私にはネーミングセンスはないね! もう変に悩まず、皆さんが出してくれた案のどれかに高原を付けるのでいいかな?
神楽 : ゲーム内の作り物の星空だし、プラネタリウムとかは?
G : 確かにそれはそうだが……なんか台無しじゃないか?
金金金 : いや、ありっちゃありじゃね? 別に悪い意味でもないぞ?
ミナト : プラネタリウムも楽しめるものではあるし、そういうVR空間を作るのもあるからねー。その辺はサクラちゃん次第じゃない?
「プラネタリウムですか! それもありな気はしますけど……プラネタリウムって他に呼び方ってありました?」
実際、プラネタリウムを見ているようなもんだし、内容自体は悪くない気がする! ただ、もうちょっと一捻りが欲しい! 『プラネタリウム高原』でもいいけど、よく考えたら夜に限定し過ぎだし!
富岳 : プラネタリウムの別名だと、天象儀か。
ミナト : あ、星空からは離れるけど『天象』なら空の様子って意味にもなるね。
神楽 : 確かにそうかも?
咲夜 : 空の様子なら、雷雲にも繋がってくるよな!?
ミツルギ : あ、それはそうなるな!
チャガ : 雷雲と星空の両方が由来になる感じになるのか。
「おぉ! それ、いいですね! それでいきましょう! 『天象高原』に決定です!」
ふふーん、なんかこれがしっくりきた! 星空だけでなく、雷雲の方も由来になるのならいいよね! ふっふっふ、それじゃこれで高原エリアの名前を変えていこー!
<『名も無きの高原』から『天象高原』へと変更しました>
「これで高原エリアの名前は変更完了です! なんだかすごい達成感ですね!」
うふふ、星空からまさか雷雲まで含めた名前に出来るとは思わなかったよ! こういうのは勢いも大事だね!
「皆さん、アイデアをありがとうございました! それじゃ、本格的にLv上げをやっていきますねー!」
さーて、頑張ってやっていくぞー! アイテム探しも並行しつつ、マップが使えるようになった事で真価を発揮するスキルも試していきたいね!
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