第353話 迅速なトカゲ

 連続での体当たりがメイン攻撃みたいな、迅速なトカゲが私の周りを走り回ってる! ……ちょいちょい草むらの中に入って見失いかけるけど、ガサガサって音がしてそっちを見たら看破の表示が出て、なんとか見失ってない!


「……中々、仕掛けてきませんね? 油断したらすぐに見失いそうです……」


 草むらが無くて音が聞こえてなかったら、もう確実に見失ってる気がする! ぐぬぬ、厄介だね、このトカゲ! 放電がどんどん溜まっていってるけど、あんまり溜まり過ぎると再使用時間が長くなっちゃう!?


ミツルギ : その手の行動パターンは、見失った時に強襲な事が多いぞ。

咲夜 : そうそう、見失ったとこで一気に攻撃を受けるやつ。

G : 進化の構成で、行動パターンがかなり変わってくるからなー。『堅牢』と『俊敏』が高いやつは、ヒットアンドアウェイのパターンだな。

こんにゃく : その中でも、連撃で突撃してくるか、単発で突撃してくるか、そういう違いも出てくる。まぁ単発の場合はステータスの『堅牢』は低めに出てくるけど。

神奈月 : 『堅牢』のスキルツリーでの単発攻撃は、スキル構成のルートだしな。


「あ、そういう感じなんですね!? まさかの、見失ってないからこそのこの状況ですか!?」


 うがー! カウンターで放電を使う準備は出来てるのに、見失わないと駄目って面倒だー! むぅ……そういう事なら、変に位置を確認し続けない方がいい?


 『弱点分析』が使えるようになってから、情報量が爆増してるよねー! ある程度の敵のスキル構成を考えて対策をしろって事なんだろうけど……一気にこれだけ増えると混乱するよ!?

 多分、この辺は慣れの問題だし、そこまで意識し続けなくても大丈夫な気もする? なんだかんだで、難易度イージーだもん! ……イージーの割に、結構普通に死んでる気がする! あ、でも今日はまだ1回も死んでない!


「あのー、今更なんですけど……モンエボって、難易度が高めのゲームです?」


ミツルギ : 本当に今更だけど……まぁ根本的に死んでもいいように作られてるから、難易度としては少し高めだな。

いなり寿司 : だからこそ、適応進化がある訳だしな。サクラちゃんは最強格の雷を引き当てたけど……本来は死にまくる状況を打破する為の物だからな?

G : 死にまくって強くなれって部分はあるゲームだぞ。

咲夜 : 進化階位が上がれば、それだけ敵も強くなってくるしなー。


「あ、言われてみればそうですよね!?」


 私が運良く最強格の適応進化になっちゃってるだけで、適応進化ってそういう物って話だった! 進めば敵も強くなるのも当然の話だったよ!

 それでもちゃんと進めてこれてるんだから、なんだかんだで頑張ってるんだ! ふふーん、この調子でどんどん頑張っていこー!


「あ、放電が最大まで溜まっちゃいましたし、これはわざと視線を外して見失った方がいいです? ……そういえばなんか白い円が広がってるのはなんですかねー?」


 トカゲを見失わないようにしてたら、なんだかそんなのが見えてるんだけど……これはなんだろ? なんか段々距離が離れていってる気がするけど……。空中にも薄っすらと透明な膜みたいなのが出てるけど?


ミナト : それ、『戦意の把握』での『放電』の射程範囲の表示だよー!

金金金 : あー、これがそうなのか。スキルによって、表示パターンが変わるんだな。


「え、あ、これがそうなんです!? ……あんまり必要ない気がします?」


 今まで放電で今みたいな表示って出てきてなかったし、放電はマニュアルで使ってるけど、狙いを付けた時点で届くかどうかは分かってたもん! 獅子咆哮や獅哮衝波では欲しいけど、放電じゃこれはいらない!


ミツルギ : マニュアル操作が出来る人には無用の長物だな。ぶっちゃけ、マニュアル操作なら、それよりも射程は伸びるし……。

ヤツメウナギ : 『戦意の把握』の自動照準を使う場合には、結構大事なんだけどな。最大まで溜めた場合とか、『索敵』と合わせて奇襲が出来たりもするから。

咲夜 : あー、放電ではないけど、結構お世話になった覚えがある!

G : マニュアル操作が上手く出来ない人には、便利な手段なんだよなー。


「あ、そういう感じなんですね」


 そっか、そういえば『戦意の把握』にはマップ上の敵に自動照準が出来るって性能もあったもんね。向き不向きがあるだけで、使い道がない訳じゃ――


「わわっ!? あ、放電が出ましたね! だったら……って、あれ!?」


 ちょっと気が逸れたら、トカゲが突っ込んできてた! ちょっと1撃受けちゃったけど、放電がカウンターとして発動してくれて……麻痺になったね。うん、予想外!


「ちょっと予定外ですけど、都合がいいので問題ないです! 『振り回し』!」


 咆哮で萎縮させるつもりだったけど、その必要が無くなったのはありがたいよね! 最大まで溜めた放電だからかなりの威力になって、今のでほぼ瀕死までHPは削れてる! あとは麻痺してる間に仕留め切るまでなのさー!


サツキ : サクラちゃん、ナイス麻痺!

いなり寿司 : このタイミングで麻痺を引き当てるのは運が良いな。

水無月 : 知恵が弱点に出てたし、麻痺が効きやすいとかはある気がするよ? 知恵のステータスを少し伸ばしたのが、良い影響になった?

イガイガ : それもあるだろうけど、単純に運が良かったぞ。

こんにゃく : 知恵が高くても、放電での麻痺確率はそんなに高くはないからなー。

ミナト : 最低限、状態異常が入るだけの知恵は必要にはなるけどね。そういう意味では、知恵のステータスを上げた意味はあるかな?


「あはは、確かにラッキーでしたね! それじゃこれでトドメです! 『強牙』!」


<成熟体を撃破しました>

<進化ポイントを2獲得しました>


<サクラ【巧妙なライオン【雷】】が成熟体:Lv3に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを4獲得しました>


 あ、やった! 今回はLvが上がったよ! ふふーん、進化ポイントはまだまだ残ってるけど、入手量が増えてるのは嬉しいよねー! それに『索敵』を解放する為の副産物ではあったけど、知恵のステータスを上げた効果も少なからずあったみたい!

 他にもスキルを何か解放しようかなー? んー、でもその前にやっぱりマップの解放が先? 今回のこのトカゲには思いっきり邪魔された感じだし!


「まともに攻撃が当てられなかったのに、当たるとあっという間でしたね。というか、なんでこのトカゲは襲い掛かってきたんです?」


富岳 : おそらくだが、疾走中に踏みつけたんだと思うぞ。

ミナト : 交戦状態に入った段階で、少しだけど生命は減ってたからねー。

ミツルギ : 『俊敏』も『堅牢』も、どっちが高くても好戦的ではないからな。

咲夜 : 好戦的になるやつ、全部弱点だったしなー。


「え? 先に攻撃したの、私だったんです!? えっと、何が好戦的になるんでしたっけ……?」


 前に聞いたような気はするんだけど、具体的になんだっけ!? 屈強系統と知恵系統は好戦的なのは覚えてるけど、あと1つはどれだっけ?


こんにゃく : 好戦的なのは『屈強』と『器用』と『知恵』だな。これが弱点に表示されないほど、より好戦的になる。

サツキ : 進化系統としてなら、更に強化される感じだっけ?

神奈月 : 屈強系統で進化して、『器用』と『知恵』が高いやつが最も好戦的!

チャガ : 遠近両用かつ状態異常も使ってくる、相当厄介な構成の敵だな。

金金金 : あー、構成次第ではそういう敵もいるのか。

神楽 : なんか嫌な敵だねー。

サツキ : そういう敵は逃げるが勝ち!

G : 逃げるが勝ちではあるけども……遠距離から麻痺毒を受けて、その間に近付かれて、そのまま……。

咲夜 : ……あー、身に覚えがあるなぁ。

サツキ : 私も覚えがあるよ!?

富岳 : そのパターンのエリアボスが出てきたら、最悪も最悪だな。


「……それは確かに嫌な状況ですね。サツキさんの言ってるように、そこは逃げるが勝ちな気もしますけど……根本的に逃げられるかが問題になりそうです」


 今回、トカゲを踏みつけたから交戦状態に入ったのは仕方ないとしても、そういう厄介な敵には遭遇したくないなー。でも、遭遇する時にはそういうのにも遭遇しちゃうんだろうけど……。


「まぁ遭遇した時に考えればいいですね! それじゃ改めて、マップ解放に出発です! えーと、無駄にトカゲ相手に時間がかかって全部切れてますから、再発動で! 『見切り』『弱点分析』『看破』『疾走』!」


 という事で、改めて駆け出していくのです! 段々と移動中に使うスキルが増えてきたけど、どれもなんだかんだで便利だからありがたいよね!

 でも、さっきみたいな急な攻撃を受けないようにしたいとこでもあるし、その辺の大作に何か使えるスキルってないかな? んー、まぁマップを解放してから考えよ!

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