第316話 エリアボスのウサギ
獅哮衝波の2段階目の溜めは終わり! そこから皆さんと雑談しつつ、3段階目もそろそろ溜め終わりなのですよ!
「あ、3段階目まで溜まりましたね! 長かったですけど、狙いを付けて発動です!」
狙うべきは、ここに来たばかりの私を蹴り殺したエリアボスのウサギ! 今こそ、その恨みを果たすべき時!
サツキ : サクラちゃん、やっちゃえー!
ミツルギ : 外すなよー!
こんにゃく : 注意するべきは、その部分だなー。
咲夜 : さっきから割とちょろちょろ動いてるしな、あのウサギ。
富岳 : 動かない的って訳じゃないからな。
ミナト : 焦らずにちゃんと当てていこうね!
「はい、分かってます!」
咲夜さんが言ってるように、ちょいちょい動いているのが不安要素ではあるんだけど……ここで外せば色々と台無しだもんね。しっかりと狙って、ちゃんと当てていかないと!
「……今です! 獅哮衝波、発射!」
ウサギがこっちを見て動きが止まった瞬間を狙って撃ち放つ! ちょっとこっちに向けて距離が縮まった直後だったのが気になるけど、今のタイミングなら確実に当たったはず!
「あ、当たって吹っ飛びましたね!」
やった! ちゃんとクリーンヒットして、一気にHPが……あれ? 3段階目まで溜めた上に、縄張りでステータスが1.5倍になってるのに、半分も削れてない!?
イガイガ : おし、当たった!
金金金 : 流石にボスともなると、今ので即死とはならない……いや、削れてなさ過ぎじゃね?
「そうですよねー!? ……あれ? 起き上がらないです?」
攻撃が当たったら即座に反撃に突っ込んでくると思ってたのに、その場から動いてないよ? え、なんでー!? 朦朧にはなってないみたいだし……。
ミナト : あらら、咄嗟に『身構え』を使われちゃったみたいだねー。この感じだと、『見切り』も持ってるかな?
ミツルギ : 元々の問題の方もあったけど、そっちで更にダメージを抑えられたか。
「えぇ!? そんな事もあるんです!?」
うがー! エリアボスが攻撃を察知した上に、防御行動まで取るの!? ただでさえ強いのに、更にそんな行動まで……あ、エリアボスで強いんだから、尚更だよね!? って、ちょっと待って!?
「これ、身構えを使われたとしても、ダメージが少ないんじゃないですかねー!? 半減されてなくても8割しか削れてないですよ!?」
即死の可能性もあると思ってたのに、2割も足りてない! 縄張りの力はそんなものなの!?
いなり寿司 : そこは元々そんなもんだ。
ミツルギ : うーん、流石に『身構え』を使われるとは思ってなかったからなー。例の問題点の部分、どうする?
ミナト : 倒してから解説と思ってたけど、ここは手短に説明しちゃった方が良さそうだねー。
富岳 : 戦闘に集中した方がいいし、身構えの効果が切れる前に教えておくか。
ミナト : という事で解説! 強化されたステータスでのダメージが反映されるのは、自分と敵の両方が縄張りにいる場合のみ! 今回みたいに縄張りの外に敵がいた場合は、通常通りの威力になるね!
「え、そうなんです!? わわっ!? ウサギが起き上がって……走ってきましたね!」
問題があるって言ってたけど、それってそういう内容なんだ!? うがー! 敵も縄張りの中にいないと、ステータス強化の効果は発揮しないとか聞いてなーい! むぅ……思いっきり落とし穴な仕様じゃないですかねー!
金金金 : なんだか不満げな狐っ娘アバター。確かに気持ちは分かる。そういう仕様かー。
いなり寿司 : まぁ縄張りの外までは、縄張りの恩恵は得られないって事だ。
水無月 : 確かに縄張りの外まで効果があったら、範囲設定がされてる意味が無くなりそう?
G : あれだぞ、サクラちゃん! こう考えるといい! ある系列のコンビニでの割引クーポンが、他の系列のコンビニでは使えないようなもんだ!
「……あ、確かにそれは当然ですね!」
そっか、そういう例え方をされれば納得! むしろ、それが使える方が問題だよね! うん、縄張りはコンビニの系列店みたいなもの! その範囲内でしか意味は無いんだね!
神楽 : それであっさり納得するんだ!?
神奈月 : まぁ影響範囲が一定って意味では、間違ってもないからなぁ。
ミナト : あはは、まぁそうなるよね。さて、それじゃサクラちゃん、ここからも油断しないように!
「はい、分かりました! ウサギが縄張りの中に入ってきたので、ここからは効果が出るって訳ですね!」
うふふ、結構素早かった感じのウサギだけど、縄張りに入った途端に明確に移動速度が落ちたもんね! これは畏怖の気迫の効果が出てる証拠! ちょっと想定外にダメージが入ってなかったけど、それでも全く無意味だった訳じゃないのです!
「ここから第2ラウンド開始です! 『放電』『放電』『放電』!」
ウサギのHPはまだ6割も残ってるけど、それでも初手の奇襲自体は大成功! ……防御されてたし、成功って言えるのかな? まぁいいや!
「……地味に放電を避けようとしてますね。避け切れてないですけど。『放電』『放電』『放電』!」
まだ距離があるし、強烈の敵とは近接では戦いたくないから後ろに下がって距離を取りつつ削っていこー!
ミツルギ : 『見切り』を持ってる敵は、回避行動をしてくるからなー。
イガイガ : というか、回避してくる敵が『見切り』を持ってるって方が正しいのかも?
咲夜 : まぁハッキリとは分かってないとこだな! あくまで、そういう推測だし。
チャガ : 正式に敵のスキル構成が開示されてる訳じゃないからな。
神楽 : あ、そうなんだ?
「『放電』『放電』『放電』! 何度かそういう話は聞いた気がしますねー!」
うーん、流石はエリアボス! 避け切れてはいないから着実に当たってはいるけど、縄張りの効果があっても、これだけ当ててようやく1割くらいのダメージ! でも、私はノーダメージで半分まで削れてる!
それにしても、敵のスキル構成が分からないってなんでだろ? その手の情報って、他のゲームなら結構ある気がするんだけどなー?
「モンエボって公式から攻略ガイドとかって出てないんです?」
ミツルギ : 出てはいるぞ。でも、敵のスキルツリーの解放状況は固定されてないから、そういう情報は載ってなくてなー。
ヤツメウナギ : その辺は、ランダムで決まるのが仕様だ。その具体的なスキル構成を確認する術がゲーム内に存在しないから、その場で推測するしかない。
金金金 : なるほど、そういう仕様か。ランダムで決まってるなら、敵のスキルツリーの構成なんて、そもそも用意出来ないんだな。
神楽 : なるほどねー!
「固定されてないなら、どうしようもないですね!? 『放電』『放電』『放電』! あれ? 動かなくなりました……って、嫌な予感です!?」
この急な動きが止まる感じは、溜め攻撃の兆候! そうと分かっていれば、やる事はただ1つのみ!
「そんな攻撃は潰すのみです! 『咆哮』! これで、潰し――ぐふっ!」
ぎゃー!? 咆哮で発動は潰したはずなのに、なんか一気に距離を詰めてくる体当たりを受けたよ!? えぇ、萎縮にはなってないの!? って、あれ?
「……萎縮になってるのに、なんで今攻撃されたんです? 『爪撃』『連爪』!」
あれー!? 攻撃が出来る状態じゃなかったはずなのに、なんで反撃を受けたの? むぅ……今のは謎だね。一体何が起こったんだろ? とりあえず攻撃はするけど! うりゃりゃりゃりゃりゃー!
こんにゃく : このウサギ、堅牢のスキルツリーが上がり気味っぽいな。
イガイガ : そうみたいだなー。
ミナト : サクラちゃん、湿原エリアでカウンターで突撃してきたカメを覚えてない? ほら、獅子咆哮を受けてから回転しながら戻ってきて攻撃を受けたやつ。
「あー!? そういえばそんなのもいた気がします! えっと、なんでしたっけ!? 『振り回し』『噛みつき』!」
折角萎縮になってるんだから、前脚を叩きつけてから噛みつくのです! うぅ、縄張りで強化されてるのに、さっきの体当たりでHPが2割も削られて痛いよー! でも、縄張りの効果のおかげで2割で済んでる感じもする!
それで、えっとなんだっけ? 湿原エリアでカメが……あ、思い出した!
「カウンター用のスキルでしたっけ! 確か……『返しの突撃』! そういえば、地味にライオンのスキルツリーにもあった気がします?」
水無月 : そういえばそんなのもいたね!
金金金 : ん? カウンターって、攻撃以外にも発動するのか? 今のは咆哮に反応した感じだったが……。
ミツルギ : 敵に何らかの影響を及ぼすスキルに対しては、カウンタースキルは発動するぞ。まぁその対象になる補助スキルは少ないけどな。
G : 例えば、ただの『識別』だけなら敵に影響は与えないからカウンターは発動しないが、『衝撃波生成』で衝撃波を乗せた『識別』にならカウンターが発動したりする。
咲夜 : その組み合わせにもカウンターって発動すんの!? 初めて知った!?
チャガ : また微妙に特殊な例を挙げてきたな。まぁ判別基準としては分かりやすいか。
「要は敵に何か効果があれば、攻撃スキルじゃなくてもカウンターが発動するって事ですね! むぅ……溜め攻撃だと思ったら、相当な落とし穴でしたよ! 『強牙』『体当たり』!」
動かなくなったから溜め攻撃だと思ったのに、まさかそれがカウンターだとは思わなかった! 強烈なウサギなのに、堅牢のスキルツリーのスキルを使い過ぎじゃないですかねー!?
ともかくそろそろ萎縮が切れそうな予感がしたから、噛みつきなおしてから、体当たりで吹っ飛ばして距離を取る! ウサギのHPは残り2割まで減ったし、このまま倒し切るのさー!
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