第309話 お試しは終わり


 もう少しで獅子咆哮の溜めが終わる! HPの減り方は……今でもすごい事になってるー!? あちこち、赤い円や線だらけー! でも、縄張りでのステータス強化のおかげでなんとか耐えれてる!


「この見切りって本当に大雑把ですね!? この赤い部分の半分以上は完全に無意味じゃないですかねー!?」


 それぞれの敵の1発目の攻撃のタイミングは結構重なってるのもあるんだけど、見切りで見えてた赤い円とか線自体の範囲が大雑把すぎー!?


ミツルギ : まぁLv1の見切りはそんなもんだ。

イガイガ : 見えてる敵から赤い範囲以外には攻撃は来ないから、目安にはなるぞ。大雑把な分だけ、無駄な回避幅も大きいけど。

サツキ : それでも回避の役には立つよー!

富岳 : Lvが上がれば精度は上がるから、その辺はしばらくは我慢だな。


「……そうなるんですねー。そこは分かりました!」


 まぁLv1から万能に使えるなんてのは期待しちゃ駄目って事だね。見切りに関しては、スキルLvが上がれば上がるほど便利になっていくって考えよー!

 うん、とりあえず見切りがどういうものかは分かったから、これくらいでいいや! それじゃちょっと試したい事があるから、これをやってみよー! というか、そうしないと危険っぽいよ!


「獅子咆哮は溜まりましたし、こうするとどうなるんですかねー? 畏怖の気迫、オンです! あ、後退り始めましたね!」


いなり寿司 : おっ、早速小技の活用か!

金金金 : なるほど、こういう使い方になるんだな。

サツキ : やっちゃえ、サクラちゃん!

G : 格下相手には、引き寄せるのと追い払うのを使い分けて行動誘導がこの小技の本領だからな。

富岳 : まぁ同格以上が相手だと行動パターンが変わらないから、あまり意味はないから小技の範囲だがな。


「確かにこれは格下相手だからこそ出来る事ですよねー! でも進化ポイント稼ぎには使えそうですし、とりあえず殲滅です! 獅子咆哮、発射!」


 狙いは、私に背を向けて逃げいってるさっきまで攻撃をしていた敵たち! 目の前にまで来て葉っぱで切り付けてきてた強烈なユリとか、逃がす訳がないよねー! 小石を投げてきてたネズミとか……そもそも攻撃してきてた敵は全部逃がさない! という事で、くたばれー!


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


「ふぅ、大量撃破完了です! あ、そろそろ縄張りの再使用時間は過ぎそうですね!」


 経験値的にはLv30には届かなかったっぽいねー。まぁ少しだけオーバーしてた進化ポイントも取り戻せたし、これは問題なし!

 ふふーん、縄張りは使い方さえ間違わなければ、間違いなく便利なスキル! 多分、私じゃ再使用時間が過ぎるまでに縄張りの範囲内を殲滅し切る事は出来ないから、そこは心配はいらないのさー!


サツキ : サクラちゃん、回復させたらエリアボスに挑みに行く感じー?


「新しいスキルはどれもお試しの発動は出来ましたし、そうしましょう! でもまぁ、その前に回復ですね! あと獅哮衝波の再使用時間も待たないとですねー!」


 あのウサギのエリアボスには、初手から獅哮衝波の3段階目での攻撃から始めるつもりだもんね! って、あれ? そういえば縄張りと組み合わせる事って出来るのかな?

 とりあえず横になって寛ぎながら、確認してみようっと。 うーん、分かんない!


「回復待ちの間に、少し質問です! これから挑みに行くエリアボスのウサギ相手に、縄張りを使いながら獅哮衝波を使うのってどうですかねー? ステータスの強化があるので、出来ればそういう形で使いたいんですけど」


ミツルギ : あー、2段階目までならやり方次第でどうにかなる。だけど、3段階目だと無理だな。

ミナト : 移動速度が落ちるとはいえ、その場合だとウサギの方がサクラちゃんの元まで辿り着いちゃうだろうねー。

富岳 : どうしても3段階目は溜めに時間がかかるからな。


「あ、そうなんですか……」


 うーん、ちょっと当てが外れちゃったっぽい……。でも、今の私の最大級の凶悪コンボになりそうだし、そこは仕方ないのかも。強力なものほど、制約が多いのってよくある話だし。

 あ、でもそれなら縄張りの中じゃなくて、外から攻撃するのならどうなんだろ? 縄張りの効果範囲と獅哮衝波の射程、どっちが長いの? 獅哮衝波の射程の方が長いなら、縄張りの中から、縄張りの外のウサギを狙い撃てるはず!


金金金 : 何かを閃いて目を輝かせる狐っ娘アバター! さて、何を思いついたのか!?

サツキ : これは必勝策を思いついた感じだね!

咲夜 : なんかこのやり取り、定番化してきてない?

こんにゃく : 定番化しても別に良いんじゃね?

いなり寿司 : まぁやってる間に定番化する事とか、普通によくある事だしなー。


「まぁ確かによくある事ではありますけど、私としては微妙に複雑な心境ですけどねー」


 これが普通の視聴者さんなら全然気にならないんだけど、姉さんがやっているという所がどうしても気になる! 別に悪い事をされてる訳じゃないから、私の個人的な心境なだけだけど!


G : それで、具体的にどんな手段を思いついたんだ?

水無月 : ワクワク! どんな手段か気になるね!

神奈月 : 普通に思いついてるというのは確定でいくんだ? まぁ確かに何か良い事を思いついたっぽい表情はしてたけども!


「ふっふっふ、実際に思いついてますからね! エリアボスのウサギが縄張りに入らない位置で縄張りを使って、そこからステータス強化をした上で獅哮衝波を使おうかと思っています!」


 もし射程が足りなかったとしても、縄張りの中にいればステータス強化にはなるんだから、縄張りの端の方まで移動すれば良いだけの事! それならウサギは縄張りの影響を受けずに、襲ってくる事はないはず! これぞ、完璧な作戦なのですよ!


いなり寿司 : あー、発想自体は悪くはないし、狙い自体は分かる。分かるけど、それは……。

ミツルギ : なんというか、色々と惜しい!

イガイガ : したいよなぁ、それ……。

金金金 : 縄張り外へ、獅哮衝波の射程が届くかの問題か?

ミナト : ううん、そこは問題ないよ。縄張りの端から端で使うって言うなら流石に無茶だけど、縄張りの中から届く範囲に移動すれば良いだけだから。

金金金 : あぁ、そうか! わざわざ縄張りの中央にいなくても、特に問題はないんだな。……そうなると、何が問題だ?


「射程についてはどうとでもなると思ってたんですけど……何かマズかったりします?」


 どうも皆さんの反応的に、私の考えた作戦は駄目っぽい感じ? むぅ、折角思いついた良い作戦だと思ったのに、何か欠点があるのー!?


富岳 : その辺は『縄張り』の仕様の問題でな? サクラちゃん、そこは聞くか? 出来れば自力で気付いて欲しい仕様ではあるんだが……。

ミナト : まぁちょっとそこまで言うと教えすぎな感じもあるしね……。


「うーん、そういう事なら聞くのは止めておきますね。何でもかんでも聞いて済ます気もないですし!」


 聞いてばっかりじゃ駄目だから、気にはなるけどこうしよう! それにしても縄張りの仕様の問題かー。うーん、どういう内容なんだろ?


ミツルギ : あ、これだけは言っておこう! さっきの作戦、実行自体は可能だぞ!

真実とは何か : 実行した結果の真実こそが問題なのである!

咲夜 : エリアボスのウサギを縄張りに入れないように、縄張りを再設定するのが地味に難しいけどな!

ヤツメウナギ : あー、確かにそこもややこしい部分ではあるか。


「あ、別にさっきの攻撃自体が出来ない訳じゃないんですね? うーん、確かに縄張りの位置設定も地味に厄介ですかー」


 その辺はあんまり考えてなかったけど、正確にどこまでが縄張りにするのかの設定はなかったもんね。縄張りの範囲設定は、発動した時に勝手にされてたし。

 今のマップに表示されてる縄張りの範囲を参考にしつつ、エリアボスのウサギの反応の赤い印を縄張りに入れないように再設置しないといけないんだよね。


「何か仕様上の問題があるみたいですけど、それは実際に試してみれば分かりそうな気もしますし、作戦通りやっていきますねー!」


 何がどういう風に問題があるのかは分からないけども、私の作戦の中にその問題が関わってくるのなら、実際にやってみれば分かるはず! まぁもし失敗したら失敗した時という事で考えよ!


水無月 : サクラちゃん、頑張れー!

サツキ : 生命が全快して、使うスキルの再使用時間が過ぎたら、エリアボスに挑戦開始!


「はい! エリアボス戦、頑張っていきますよー!」


 まだ私の方がLvが下だけど、Lv差は1だもんね! 色々と強化はしたし、勝ち目がない訳じゃない! まぁその前にHPの全快が先だけど、あのウサギは絶対にぶっ飛ばすのさー!

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