第308話 ちょっとした小技
縄張りのお試しにばっか気を取られてて、見切りの方をすっかり忘れてた! 忘れてたけど、今の状況でどうやって使えばいいんだろ?
それに縄張り状態でなんか小技があるみたいだし、その内容も考えないと! うーん、どっちからやるべき? 今の状況だと見切りが使える状態じゃないし、小技が先かな?
金金金 : 悩み顔の狐っ娘アバター。どんな小技なんだろうな?
サツキ : それは気になるけど……これは違う事で悩んでるね! 何か忘れてて、それを思い出した感じがしたよ!
ミツルギ : 忘れて……あぁ、もしかして『見切り』か?
富岳 : なるほど。一気に状況が変わったから、存在を忘れてたのか。
咲夜 : ……俺も忘れてたとか、言えない!
イガイガ : 普通に言ってるけどなぁー!?
「サツキさん、なんでそこまで分かるんですかねー!?」
姉妹とはいえ、VR空間のアバターの表情から色々と読み取り過ぎじゃない!? あ、でも私も地味に姉さんの喋り方で本当に困ってるか、困ってるフリなのかは分かるし、そういう事?
「……まぁサツキさんの事はいいです! 見切りはすぐには使えそうにない状況ですし、後回しにしますねー!」
私なりに結論は出した後だから、それで問題なーし! どっちにしても畏怖の気迫をオンにしている間は敵が攻撃してこないから……って、あれ? 畏怖の気迫って、そういえばオンオフで切り替えるパッシブスキルなんだよね……? それだと、もしかしてこういう使い方って出来るの?
金金金 : ん? なんだか急に思案顔に変わったな?
サツキ : これは何か思いつきかけてるパターン!
いなり寿司 : それはまぁ何となく分かる。
こんにゃく : 思いっきり何かを考えてるしな。
名無しのカカシ : さて、どんな小技か思いついたりするのか?
「……ちょっと当たってるかは自信がないですけど、思いついたのをやってみますねー! えっと……この状況で試すなら、これですかね? 『疾走』!」
もし今思いついてる方法が小技なのだとしたら、多分これでもいけるはず! もう視界に入る場所に敵はいないけど、縄張り内にはまだ敵はいるからそっちを目指して駆け抜けていくのさー!
水無月 : なんでここで疾走?
金金金 : あー! なるほど、そういう事か! 何となくサクラちゃんが思いついてる手段が分かったぞ!
サツキ : どういう内容なのー?
G : ほほう、これはこれは……。
チャガ : こういう時の思い付きは、かなり的確なとこがあるよな。
咲夜 : 小技があるってヒントだけで、これはすげぇな!
「なんだか既に正解だと言われてるような気もしますけど、要はこういう事ですよね! 『畏怖の気迫』はオフになって下さい! あ、やっぱり出来ました!」
疾走をしながらでも、畏怖の気迫がオフに切り替わった! 皆さんが言ってた小技って、これの事なんだね!
金金金 : やっぱりそういう仕様か!
ミツルギ : サクラちゃん、正解だ!
富岳 : 『看破』や『縄張り』みたいな一部の特殊なアクティブスキルを除けば、基本的にアクティブスキルの同時使用は出来ん。だが、『畏怖の気迫』はパッシブスキルだから、アクティブスキルの使用中でもオンオフに影響はない。
こんにゃく : 意外とその辺って見落としやすい小技なんだよな。
「確かにこれは、小技があるって言われないと気付かなかった可能性はありそうですね!」
あと、今の状況で『見切り』を使う為には『畏怖の気迫』を切る必要があるって考えたのもヒントになった! うふふ、大正解を引き当てて大満足なのですよ!
「さーて、逃げてた敵の動きも鈍りました! それにしても、移動速度がかなり上がってますね!」
今までよりも明確に体感できる程の違いがあるよ! ステータス1.5倍で、俊敏も大幅に増えてる効果なのかも!
うふふ、視認出来る敵の数が増えてきたし、さっきまで逃げてた敵も逃げなくなってる! あ、看破の効果が切れてて、どれがどれかが分かんない!
こんにゃく : 縄張り戦法は、近接での乱戦でも、遠距離からの攻撃でも移動速度は重要だしなー。
チャガ : 格下相手なら畏怖の気迫で強制的に距離を取るのがいいが、同格以上の場合はそういう訳にもいかないからな。基本的にヒットアンドアウェイの戦法だ。
ミツルギ : 当てては逃げ、当てては逃げが基本だぞ!
真実とは何か : 真実の敵は、数の暴力なり!
「まぁあの数が相手になると、そうなりますよねー! というか、縄張りを使った近接での乱戦は出来る気がしません!」
遠距離攻撃の器用での進化の敵も混ざってくるし、雷纏いでどうにかしようと思っても才智が無理! それこそ、本当にミナトさんが何気なく簡単に言う全ての攻撃を躱すくらいな事をしなきゃ無理な気がする!
「あ、敵がかなり近付きましたね! とりあえず止まって看破の再発動をしましょう!」
それからお試しで見切りを使いたいから1体だけ敵を残して、残りは始末しちゃおう! 種類は、何でもいいや!
サツキ : サクラちゃん、ファイト!
いなり寿司 : 生命は回復し切ってないけど……まぁ8割まで回復してれば十分か。
「そこは大丈夫です! 攻撃を避ける為のスキルのお試しなんですし! そもそも8割もあれば、元々より多いです!」
まぁシンプルに忘れてただけだけど、それを言う必要はなーし! 元々よりもHPが多い状態なのは間違いじゃないし!
いなり寿司 : まぁそれもそうか。
咲夜 : 普通に忘れてただけのような気はするのは、気のせい?
G : それは気のせいだろ。気のせいじゃなくても、気のせいって事にしといておこうな?
こんにゃく : そうだぞー! 誤魔化そうとしてる時は、誤魔化されてやっとくもんだ!
咲夜 : あ、それもそうだな!
「なんだかGさんとこんにゃくの方が失礼な事を言ってませんかねー!?」
うがー! 何気に時々、皆さんは失礼な事を言ってくる! 別に本気で怒ってる訳じゃないし、嫌みとして言ってる訳じゃないのは分かるからいいけどね! 本当の悪意は……うん、これは気にしない!
ともかく今は自由に止められるようになった疾走を止めるのですよ! ズサッと踏ん張るように、格好いい感じに停止! なんかいいよね、この止まり方!
「さーて、ここから『見切り』の実験開始です! って、発動しちゃいましたよ!? えっと、多分これって『看破』みたいに……って、こっちも発動しました!?」
看破みたいに他のスキルと重ねて使える例外側のスキルなのかと確認しようと思ったら、見切りと看破の両方を誤発動しちゃった!? まぁ結果的に重ねられるのが分かったけども!
ミツルギ : あー、既に必要ない気もするけど、説明は必要か?
「……もう無くても問題なしですね。ともかく、敵の数が多いので少し減らします! 『放電』『放電』『放電』!」
とりあえず近くにいる精彩なヨモギから! うーん、流石にステータスが強化になってても、溜め無しの放電3発じゃ倒せないね。それでも1撃で2割くらいは削れてるんだから、かなりの威力なのは間違いない!
でも、これじゃ中々に時間がかかりそうだし、どうしよう? 獅子咆哮でまとめて吹っ飛ばす? でも、それじゃ見切りの試しに……あ、そうでもないかも?
「少しだけ質問です! 別に見切りで確認した攻撃って避けなきゃいけない訳じゃないんですよね?」
ミツルギ : まぁそれはそうだな。攻撃を予測するだけのスキルだから、回避しようが、防御しようが、そのまま受けようが、問題はないぞ。
ヤツメウナギ : でも、なんでそんな事を今聞くんだ?
サツキ : サクラちゃん、何かをやる気だー!?
「そこが分かれば心配ないですね! それじゃこれでいきます! 『獅子咆哮』!」
私が確認したいのは、見切りがどういう風に見えてくるかという内容! 攻撃を受けても問題ないなら、これで一気に殲滅なのですよ!
いなり寿司 : あー、あえて攻撃を受けながら、一気に集まってきてる前の敵を殲滅する気か。
名無しのカカシ : 前方だけならこれでいけるか。今の状況なら囲まれる前には、戦闘は終わりそうだし。
ミナト : 『咆哮』持ちは……うん、いなさそうだね!
あ、そっか。最近は遭遇してなかったから全然気にしてなかったけど、そういう敵もいるんだった! そこは注意しないと駄目だね!
「わっ!? なんか半透明の赤い円が表示されたんですけど、これが見切りなんです? ぐっ! 何か飛んで当たりましたけど……小石? あ、これって投擲ですか!」
えっと、えっと! それっぽい敵は……あ、いた! Lv25の巧みなネズミが、そこそこ距離がある場所の岩の陰にいるっぽい! むぅ、岩に隠れながら投げてきてる感じっぽいね! こそこそと隠れてないで、出てこーい!
富岳 : 円で表示された時は、遠距離攻撃や刺突攻撃の場合が多いぞ。
チャガ : 線で表示される場合は、斬撃攻撃の場合が多い。ただし、どっち向きからの攻撃かは分からないから、そこは要注意だな。
ミツルギ : 少し補足しとくと、円でも突撃攻撃の場合はある。ただ、これは敵の大きさによってサイズが変わるから、そこも含めて考慮してくれ。
「はい、分かりました! どれも丁度出てきてる真っ最中ですけどねー!」
だからこそ内容を言ってくれたってのもあるんだろうけども! わー!? 視界の中に半透明の赤い円や赤い線がいっぱいだー!? 攻撃してきてるのは多分5体?
ぐぬぬ、好き勝手に攻撃しまくってきてるけど、もうすぐ溜めが終わるから覚悟していてろー! 今の私は普段よりもステータスが高いから、5体くらいなら普通に耐えきれるもんね!
あ、そっか。ここで畏怖の気迫をオンにして追い払うって手もあるのかな? うん、それこそが小技の真価な気がする! まぁ今は見切りの効果の確認中だから、別にいいや!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます