第306話 縄張りの使い方


 縄張りのお試し中だけど、やっぱり今までとは使用感が全然違うみたい! 使い方を間違えれば自滅しそうな感じだけど、間違えなければ便利っぽい!


「さてと、折角なんで遠い敵からまとめて倒しましょうか! 『獅子咆哮』!」


 縄張り内には結構な数の敵がいるし、普段よりもステータスが上がってる状態ならこれで一気にいくのもいいよね! マップを見たら6体くらいが直線状になってる部分があるから、そこを狙っていくのです! 遠いとこは、届くかちょっと怪しい気もするけど!


ミツルギ : おっ、いきなり範囲攻撃でいくか!

イガイガ : 基本的にライオンでやるならこの戦法だよな。

こんにゃく : サクラちゃんが放電や投擲を持ってるのが珍しいだけだしなー。


「え、そうなんです!? あ、スキルツリーの中に無いんですから、それはそうですよね。他にあるのは獅哮衝波くらいですし」


 咆哮ではダメージが発生しないし、他に遠距離攻撃は無いもん! あ、でも『覇気の咆哮』ってスキルもあったような気がする? んー、効果を全然見てないんだけど、どういう効果なのかが気になってきた! まぁこれも今度、スキルを強化するときに考えよう!


ミナト : まぁライオンには……というか、大型の動物系には遠距離攻撃は少ないからねー。

富岳 : 投擲や、あの火を使うキツネみたいな場合なら、連撃系統の遠距離攻撃もあるんだがな。遠距離攻撃の連撃の鍛え方はちょっと特殊ではあるが……まぁそこはネタバレ案件になるから、伏せておくか。

ヤツメウナギ : あー、確かにそこは変則的だからややこしいとこではあるな。


「なんだか気になる内容ですけど、ネタバレ案件なら仕方ないですねー! 今のライオンでは関係なさそうですし、その辺に触れる機会が来たらですね!」


 キツネさんをやる時が来たら、火の遠距離攻撃をやってみたいもん! その時に今の特殊っぽい育て方が必要になりそうな気がするけど、それは確実にネタバレ案件だよね!


「そういえば、縄張りでのステータス強化ってどのくらいなんです? HPがかなり増えてる感じなんですけど?」


 これ、HPが1.5倍くらいに増えてなーい? なんとなくだけど、ミナトさんくらいの強さの人だと逆に役に立たない理由が分かったような気がする?


ミツルギ : そこはステータスを確認すればすぐに分かるが、まぁスキルLv1だと1.5倍だな。ちなみに端数は切り捨て。

サツキ : かなり強化幅はあるんだよねー! 全てのLvではないけども、スキルLvが上がればステータスの強化幅はまだ上がるよー!

咲夜 : 最大で……おっと、具体的な数値はネタバレか!


「何気に1.5倍ってとんでもないですね!? しかもスキルLvが上がれば、まだ上がるんですか!?」


 恐るべし、縄張り! これって要はステータスが強化され過ぎて、ミナトさんくらいだと強化になり過ぎるんだ! それで再使用時間が来てないうちに、全部倒し切っちゃうとみたよ! ……うん、まだ使ってないけど、真似出来る気はしないね!


「ちょっとステータスを見てみま……あ、その前に溜めが終わりましたね。これを使い終わってからにしましょう!」


 実際のステータスの数値を見たくなってきたけど、その前に攻撃が先! 一番近くにいる敵はLv25の才智なヘビ! その先に機敏なタンポポで、更にその奥に精彩なヨモギ! それより先は……マップで確認出来てるだけで、カーソルすら見えてない!

 さーて、これでどうなるかなー? 流石に瞬殺は出来ないと思うから、戦う準備はしておくのですよ!


「それじゃ獅子咆哮、発射です!」


 いっけー! 敵を吹っ飛ばしちゃえー!


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


「……え? 3体も一気に倒しました?」


 ちょっと待って!? 全部は倒せてないみたいだけど、3体も一気に倒せるとも思ってなかったよ!? あ、でもそもそも一番奥の敵には届いてなかったっぽいね? 届くか怪しいと思ってたけど、まぁそこは仕方ないよね!


水無月 : わー! かなりの威力だね!

チャガ : サクラちゃんは驚いてるけど、1.5倍に強化されたステータスでの溜め攻撃だからな。精彩か堅固の敵じゃなきゃ、格下だと今のは耐えられないぞ。

ミナト : 『縄張り』は火力が高くなり過ぎるのが欠点なんだよねー。

G : それが欠点になるのは、本当の一部の人だけどなー!?

名無しのカカシ : ……確かに。難易度ヘルでの安定攻略には『縄張り』の使用が多いってのに……。

富岳 : なんだかんだで、ヘルですら物足りないってプレイヤーもいるんだからな。


「あ、そうなんです? ヘルがどんなものか体感してないので分からないですけど、凄い話ですね!」


 そっか、やっぱりミナトさんにとっては縄張りでの強化は強力過ぎるんだ! 相変わらずミナトさんの凄いとこはなんの参考にもならない気はするけど、本当に凄いよねー。死んでも良いから、ヘルを体感してみたい! まぁ難易度選択はまだ出来ないし、追加で買わなきゃだけど。


金金金 : それにしても、使い過ぎた分の進化ポイントをもう回収したか。

咲夜 : 随分と早かったなー。

サツキ : サクラちゃん、もっとどんどん倒して、他のスキルの解放も目指していこー!


「あ、それもいいですね! でもその前に、生き残ってる敵の撃破をしないとです!」


 見えてる中で生きてるのは、精彩なヨモギ! HPは8割くらいは削れてるけど、やっぱり生き残った理由はHPそのものが多い精彩だからかな? 少し距離があるけど、見えてる距離なら問題ないや!


「それじゃこれで! 『放電』『放電』『放電』!」


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


「撃破完了ですね! ……2発目で死んで、3発目は無意味でしたけど、まぁいいです!」


 不発になっても、それまでに倒せたんだから問題なし! でも、放電2連発だけで2割も削れるとは思わなかった! かなり威力が上がってるよね、これ!


金金金 : ……率直な感想。『縄張り』の効果、強過ぎねぇ? これってステータスが1.5倍になってるなら、格上の敵相手の乱戦でも相当楽だろ。

ミツルギ : 初めはそう思うだろうけど、意外とそうでもないぞ。

いなり寿司 : 『縄張り』の使い始めの頃に、そう思いやすい事ではあるけどな。

G : そう判断するのは、今の状況が『縄張り』を使いやすい状況だからこそだぞ。

咲夜 : ヒント、常に交戦状態。

金金金 : ……ん? あ、そういやそうか。


「縄張りの範囲内の全ての敵と乱戦をしてる状況になるって事ですよねー。使い方を間違えたら、すぐに死に……ぐふっ!」


 ぎゃー!? 何か横腹に衝撃があったんだけど!? あ、でも思ったよりはダメージは受けてない……って、総量が多くなってるからそう思うだけだよねー!? ダメージ量としては決して少なくはないよ!? 今までよりは随分マシな気はするけど。

 ともかく後ろに飛び退いてから、敵の確認! えっと、今襲ってきたのはLv26の強烈なウサギかー。そっか、Lvが私よりも低くても、好戦的な敵ならこうやって襲って……って、ちょっと待って!? マップに見えてる敵の位置が、なんだかおかしいよ!? 一度は一斉に離れていってた敵の一部が、戻ってきてる!?


「……これ、危険じゃないですかねー!? 『身構え』! わっ!」


 また何かが突っ込んできて、吹っ飛ばされたー!? マップの赤い点が急に動いたから咄嗟に『身構え』を使ったからダメージは少ないけど、そういう事もあるんだ!?

 ともかくすぐに起き上がって……わー!? 今度はLv25の強烈なヘビ!?


サツキ : サクラちゃん!?

いなり寿司 : さて、『縄張り』のデメリット部分が出始めたな。

G : 格下であっても、よっぽどLvが離れていなければ全然ダメージが通らない訳じゃないからな。本来なら襲ってこないLv差でも……交戦状態になれば、集団で襲ってくるぞ。

咲夜 : サクラちゃん、頑張って切り抜けろー!


「要は数の暴力ってことですよね!? わっ!? わわっ!?」


 ぎゃー!? 色んな方向から、葉っぱが次々と飛んでき始めたよ!? HPと堅牢が上がってるのと、身構えのおかげでダメージが軽減出来てるけど、この数は危険だよね!?

 これ、どうすればいいの!? ぎゃー!? マップが、私の周囲が赤いー!? 見えてる範囲でも相当な数がいるんだけど、このままじゃ死ぬー!?


ミナト : サクラちゃん、落ち着いて。対処手段はもう持ってるからね。

ミツルギ : 慌てさえしなければ、これは今のサクラちゃんならどうにか出来るぞ。


「『身構え』! 今の私なら、どうにか出来る……?」


 そんな事を言われても、こんな近距離と遠距離の入り混じった酷い乱戦状態は雷纏いでも対処し切れないよ!? それこそ、逃げるしか……って、それだー! あれの用途、こういうとこなんだね!


「『畏怖の気迫』、オンになってください! あ、攻撃が止んで逃げ出しました!」


 ふぅ、かなり危険なとこまでHPが減ったけど、なんとか生き残れたー! やっぱりこれがこういう状況に陥った時の対抗策なんだね!

 意味がないとか思ってすみませんでした! どこで使うのとか思ってて本当にすみませんでしたー! 思いっきり重要な役目があったよ! 本当に助かったー! ……縄張り、本当に使い方に要注意だね!

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