第299話 高原を駆けて


 Lv3に上がった疾走で、高原を駆けていくのです! これ、劇的にではないけど移動速度が上がってる気がする! いぇーい! 雷雲を目指して駆けている今の状態では必須なスキルなのですよ!


「雲の下には入ったみたいですけど、まだ雨は降り出しませんねー?」


 まだ南の方では雷は鳴ってるし、天候が回復した訳じゃないはず! でも、雷雲にはまだ届いてない!


咲夜 : 雨が降り出したら、ちゃんと疾走は止めろよー!

ミツルギ : 任意のタイミングで止まれるようになった訳だしな。


「あ、はい! そこは気を付けないとですね!」


 うん、それはそうだよね! 止まれるようになったのに、止まらずに滑って転んだら相当な間抜けだもん! そんな事にならないようにしないとね!


「……そういえば、疾走が上がったなら、そろそろ看破も上がってくれても良さそうな気もしますね?」


 どっちも大体同じ頃にLv2に上がったけど、湿原エリアと渓流エリアで少し使用頻度が落ちてた疾走の方が先にLv3になったもんね。


金金金 : Lv3の看破かー。確かにどういう変化があるかが気になるとこだな。

サツキ : ……看破って、Lv3で強化ってあったっけ?

咲夜 : サツキさん、そこは言ったらダメなやつ!

サツキ : あ、しまった!?


「どう考えてももう遅いですけどねー! 看破って、Lv3では強化は無いんです!?」


 もう答えを言われてるようなものだし、そこはもう気にしなくていいや! 無いなら無いで困るようなものでもないしね。


ミツルギ : あー、全く強化がない訳じゃないぞ。再使用時間はどのスキルでも、Lvが上がれば短くなる。

G : 追加効果は増えないだけで、基礎性能自体は向上するぞ。


「あ、なるほど! そういう感じなんですね!」


 そっか、そっか! 別にスキルLvが上がったからといって、全部に追加効果が出てくる訳でもないもんね。単純に看破Lv3はそっち側だってだけの話!


<規定以上の距離を移動しましたので【マップ】が解放されました>


 あ、やった! 移動してる間にマップ機能が解放になったよ! ふっふっふ、結構な距離を走ってるはずだし、こうなって当然なのですよ!

 うーん、一度止まって現在地の確認をしたいけど、それをしたら時間のロスが……いや、手早く確認すればいいだけだよね!


「ちょっと現在地の確認をしちゃいますね!」


 という事で、疾走から止まっていくのさー! 任意のタイミングで止まれるようになったんだし、こっちも試しておきたいもん!


「おぉ、ちゃんと止まれました!」


 完全にピタッと止まった訳じゃなくて、ズサッと踏ん張る形で止まったよ! これ、足場がしっかりしてない場所だと、勢いを殺し切れずに転んじゃいそうな予感?


金金金 : お、なるほど。そんな感じで止まるのか。

ミツルギ : サクラちゃん、足場がしっかりしてないとそのまま転ぶから要注意なー!

咲夜 : あぁ!? 雨の中で止まって、盛大に転ぶ光景を想像してたのに!?

G : あー、その可能性はあり得たか。まぁここで言ったし、その危険はなくなっただろ。

イガイガ : いや、逆に今ので転ぶフラグが立ったかもしれないぞ?

神奈月 : それはあり得るかも?


「そんな想像はどっかに捨ててもらっていいですかねー!? ともかく今はマップで現在地の確認です!」


 まったく、私自身が自分で気付けた部分だから転びはしないのですよ! 何気にちょいちょい失礼なとこあるよね!


金金金 : 怒り顔の狐っ娘アバターである。咲夜さん、やっぱりこの表情を見たくて狙ってねぇ?

咲夜 : そこは断固として否定させてもらおうか!

サツキ : 私のサクラちゃんに何か不満でも!?

咲夜 : はい!?

いなり寿司 : いや、どういう絡み方だよ!

ミナト : さてと、あんまり変に時間をかけない方がいいし、サクラちゃん、手早く済ませちゃおー!


「そうさせてもらいますねー! えーと、現在地は……」


 もうなんかツッコんだら負けみたいな感じもするし、ミナトさんの言ってる通り今は時間が惜しいからサクッと済ませよう! マップを最大表示にして、現在地の確認!


「あ、中央付近くらいまでは来てるんですね。ランダムリスポーンの前にいた場所は、エリアの南東の端……これ、サイコロで決めた通りに進んでたらすぐに次のエリアに切り替わる位置じゃないです!?」


 わわっ!? そうなる可能性は考えてはいたけど、本当にそうなるとこだったんだ! しかも、南に進んでもすぐにエリア切り替えになる位置だよ!?


水無月 : 次のエリアへ行く手前だったんだ!? え、でも、そのまま先に進んでたら敵のLvってどうなるの?

金金金 : あ、そこは気になるな。


「それは私も気になりますね。移動を再開するので、その間に教えてもらってもいいですか? あ、もう再使用時間が過ぎてます! 『疾走』!」


 少しの間、疾走無しで普通に走ろうかと思ったら、ちょっと話してる間にまた使えるようになってたよ! ふふーん、この再使用時間の短さはありがたいね!


こんにゃく : なんだかんだで疾走って第2段階のスキルだしな。再使用時間は、Lv3まで上がればほぼ無いようなもんだ。

イガイガ : 乱戦とかで使用間隔が極端に短過ぎない限りは、第2段階のスキルはそんなもんだ。

真実とは何か : それが真実である!


「確かにそう言われてみるとそんな感じですよねー!」


 なんだかんだで乱戦をすることが多いから実感しにくいけど、1対1ならほぼ待つ事はないもんね! 疾走もその領域に達したって事なんだ! いぇーい、使い勝手が良くなった!


富岳 : あとは、少し前の状況から次のエリアに行った場合に関してだな。シンプルに言えば……出てくるのは成熟体だ。

ミナト : 今いるエリアを基準に、次のエリアのLv帯は決定されるからねー! この高原エリアで未成体の上限のLv30まで行ってるから、その先はもう進化済みの相手になるよ。


「……それ、間違って進んでたら私は確実に死んでません? そこは止めてくださいよ!?」


 サラッと言われたけど、南に進んでも、東に進んでも、初めて進出するエリアなんだし、ここよりも一段階上のLv帯になるのは分かった! でも、それが進化階位の変わる状況だったのなら……詰むよね!?

 成熟体しか出てこないエリアでランダムリスポーンになったら、脱出できるか怪しいよ!?


ミツルギ : まぁそうなった場合は即座に引き返せばいいだけだけどな。

チャガ : 仮に死んだとしても『再誕の道標』で、始まりの森林……じゃないな。光湖の森の方でリスポーン出来るから、誰も止めなかっただけの話だぞ。


「あー! そういう使い方も出来るんですか!」


 そっか、そっか! 1つ前のエリアに戻る事にはなっても、成熟体しかいないエリアに突入して仮に死んだとしても、私は脱出方法を持ってたんだ! だから、誰も止めなかったんだね! うん、そういう理由なら納得!


 さてと、とりあえず現在地の確認も出来たし……あ、いつの間にか看破が切れてた。敵を避けるのにしか看破の情報は見てなかったけど、この辺の敵のLvってどのくらいだったんだろ? ん? 目の前に何かが落ちて……。


「あー! 雨が降り出しましたね!」


水無月 : あ、雨が降り出したね!

ミツルギ : おし! 雷鳴も近付いてきたか!

ミナト : もう少し南に進めば、雷雲の下に入れそうだよ!


「はい、そうしますね! 『看破』」


<『看破Lv2』が『看破Lv3』に上がりました>


「おぉ、話題に出してたら看破のLvが本当に上がりましたね! まぁ強化内容は効果時間の延長以外には特にないみたいですし、先に進みましょう! 『疾走』!」


 雨は降り始めだから、まだ泥濘んでなくて大丈夫なはず! 足元に注意しながら、水溜まりが出来始めたら疾走は止めるのさー! それで転ばないはずだよね!


「この辺の敵は、Lv25前後ってとこですね! Lvの上がり方にはあんまり期待出来そうにないですけど、進化ポイントが欲しいので丁度いいです!」


 ランダムリスポーンしてくる前のとこでは、経験値の方が多くなり過ぎちゃった感じだしね! ここで、進化ポイントの方も稼いで進化用の分を確保していこー! ふっふっふ、雷雲は私の味方! あと少しで辿り着くから、待っててね!


サツキ : サクラちゃん、再び雷で大暴れの開始!

水無月 : 思いっきりやっちゃえー!

名無しのカカシ : この乱獲手段、特に制限は無かったっけ?

ミナト : んー、あるにはあるけど、格下の乱獲と同じなだけだからねー。このくらいのLv差ならそれは発生しないから……。

富岳 : 機会自体が早々ないから、特に対策されてない部分だな。

名無しのカカシ : あー、確かにそりゃそうか。

神奈月 : 要は、条件は厳しいけど、かなり美味いボーナスステージか!


「そんな感じですね! いやっほー!」


 そんなボーナスステージを逃す訳にはいかないのさー! 天然の雷を使った大乱獲を始めるぞー! 明確に雨が強まってきたし、疾走は切ってから雷雲に突っ込むのです!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る