第236話 渓流エリアの罠


 完全に油断し過ぎが原因で死んだ! うぅ、まさかLvが私よりも低いコイに殺されるとは思わなかったー! 流石に今回のは反省……。


「さて、とにかくマップの解放をしないとですねー!」


 周りを見てみれば、まぁさっきまでと変わらずの渓流だよね。まだマップが使えないから現在地が分からないけど!


「とりあえず上流を目指して進みましょうか!」


金金金 : まぁ今はひたすらマップ解放の為に移動だなー!

石突 : そうなのか?

ミツルギ : 新エリアに来たら、まずはマップを解放する為にともかく移動が定石だな。

石突 : ……いきなり死んでなかったか?

神奈月 : そこはサクラちゃんの定石だな!

いなり寿司 : 新エリアに来て早々に死ぬのはよくある事だもんな。


「ちょっと待ってください!? そこを定石にしないでもらえませんかねー!?」


 この渓流エリアでは死んだけど……湿原エリアでは水場に落ちて埋まってボコられて死んでた!? あれ? そういえば丘陵エリアでも確か威嚇の効果時間なのを忘れてボコられて死んだような?

 思い返したら盛大に死にまくってる気がしてきたけど、そこは考えない方向で! うん、そうしよう!


イガイガ : 実際、死にまくってない?

咲夜 : 湿原エリアと丘陵エリアは、移動直後の早い段階で死んだよな? 森はどうだっけ?

富岳 : 森は適応進化したばかりですぐには死んでなかったはずだな。その後、割と早い段階で死んでた気はするが。

チャガ : 河川域でも結構早い段階で死んでたか。

石突 : 思った以上に死にまくってんな!?

ミナト : あはは、まぁモンエボは死んでも大丈夫なゲーム性だからね。

ミツルギ : まぁそれは確かになー。


「……あはは、死にまくったからこその今の電気を纏った姿ですしねー! あ、これは忘れないようにしないと危ないです! 『看破』!」


 新しいエリアへと移動したら良く死ぬんじゃなくて、それ以外でも普通に死んでるから問題なしだよね! そういう問題でもない気がするけど、まぁ適応進化ってものがあるんだし、死んでのペナルティもないんだから大丈夫なのですよ!

 でも意図しない新たな適応進化が発生しないようにだけは気を付けよー。それはともかく今は上流へ進んでいってマップの解放をしていかないとね! ちらほらと水中に敵の姿は見えてるけど、マップ解放を優先なのですよ!


「あれ? なんかここって見覚えがあるような……」


 んー? 今回はしっかりと滑りにくい足場を確認しながら移動してたら、滝がある場所に出たね。


富岳 : ここ、さっきのコイがいた場所じゃねぇか?

サツキ : 渓流エリアは似たような場所は多いけど……同じ場所な気がする!?

ミナト : ……うん、これは確かにそうかも。

水無月 : そんな事ってあるんだ!?


「あ、やっぱりですか!?」


 今回のランダムリスポーン、思ったほどさっきのコイがいた場所から離れてはいなかったんだ! まぁランダムだし、そういう事もあるよね。


「という事は、さっきのコイはそこの水の中にいるんですね!」


 私を殺したあのコイめ! 油断した私が悪いとはいえ、こんなにも早くにリベンジのチャンスがやってくるとは思わなかったよ!

 ふっふっふ、そういう事なら今すぐにでもリベンジを開始だー! 看破では見えてないけど、深い所にいるのかな?


チャガ : 地味に看破で見えない位置にいる感じか。

ミナト : サクラちゃん、エリアとしての特徴はちゃんと把握しておくようにねー!

いなり寿司 : 渓流エリアの特徴って……あぁ、あれか!

イガイガ : 確かにあれは油断すると死ぬな。


「あ、はい! 分かりましたー!」


 何か独特の要素もあるみたいだけど、そこはまだ全然把握出来てないから要注意! さっきは油断し過ぎてたから、今度はそんな事は無いように気を付ける!

 えっと、コイが見えないからとりあえず少しだけ水に顔を浸けて水中を確認! いきなり放電をしてもいいけど、注意しながらやるって決めたんだからそこら辺は……って、あれ!?


「わっ!? コイが2体に増えてます!? え、しかも増えてた機敏なコイもHPが減ってましたよ!?」


 待って、待って、待って!? 大慌てで水面から顔を上げたけど、この情報は流石に想定外だよ!? いつの間に増えたの、あのもう1体の機敏なコイ!? しかもHPが既に減ってるって、なんで!?


「……コイ同士で戦ってたんですかねー?」


 今までモンエボをプレイしてきた中で、そういうとこは見た事あるから可能性としてはあるはず。でも、何となくそうじゃない気がする。水の中を覗いたけど、そんな様子じゃなかったもん!


ミツルギ : さて、ここはどうしたもんか。増えた理由はあるにはあるんだが……。

いなり寿司 : 教えてもいいけど、盛大に油断もしてたし、今回は自力でいっとく?

富岳 : まぁたまにはそれでもいいか。

こんにゃく : あ、今回は教えない流れなのか。

咲夜 : よし、それでいこう!

ミナト : あはは、そういう事みたいだから、頑張ってー!

サツキ : サクラちゃん、ファイトー!


「えっ!? そういう流れなんです!? そういう事なら、なんとか自力でやってみますけども!」


 いつもはすぐに教えようとしてくるけど、なんか今回はそうじゃなかったー!? でも、頼りっきりは良くないもんね! ……なんか悪ふざけしたので、ちょっと怒られてる感じもするけども。


「とはいっても、コイが増えた原因ですかー」


 よく考えてみたら、さっき殺された時はコイ1体にしては攻撃が苛烈だった気もする? うーん、慌てすぎてたからその辺は自信がない! でも、既にコイのHPが減ってるって事は私が放電をしまくってた時に知らない間に攻撃してた可能性もある?


「あ、放電ってこの川だとどの程度の範囲まで広がるんですかねー?」


 よく考えたら放電は水を伝わって広がっていくんだし、川の見えてなかった場所からやってきた可能性はあるよね! それこそ昨日、ワサビ軍団に殺されたのと同じ理由! んー、でも皆さんが言ってるのはそうじゃない気もする?

 あっ! もしかしてだけど、エリア的なギミックとかあるのかも! 丘陵エリアでトンビが横取りしてきた事もあるし、そういう何かがありそうな予感! もしそうだとしたら、放電がきっかけじゃないはず。……ちょっと試してみようかな?


「これだとどうなりますかねー? 『投擲』!」


 これはただの思い付きだけど、放電以外の可能性としてはこれはある気がする! これでコイを攻撃したら戦闘になっちゃうから、それを避けるように小石を水面に弾き飛ばすのさー!


「わっ!? なんか水切りが出来ました!?」


 特に何も意識してなかったけど、水面で小石が3回くらい跳ねていった! 何の意味もないけど、なんだか今のは妙な達成感があるよー!


ミツルギ : おー、3回か。結構難しいんだけどな、それ。

水無月 : あ、今の楽しそう! あれってオンライン版でも出来る!?

ミナト : 投擲が使える種族なら出来るよー!

水無月 : よーし、それじゃ今度やってみよー!

富岳 : なんか盛大に脱線してるが……まぁいいか。


 あ、そうだ! そもそも水切りが目的じゃなかったし、今のはただの偶然だー! えっと、今ので何か変化は……。


「あっ! 滝の上から精細なイワナが跳ね降りてきましたよ! これ、水音か何かに反応して敵が上からからやって来るって内容で合ってますか!?」


 放電が原因ではなくて、エリアとしての特徴として私が思いついたのはこれ! 実際に投擲で刺激を与えたらイワナが滝の上から追加されたし、可能性は高いはず!


ミツルギ : サクラちゃん、正解だ。

ミナト : ここのエリア、滝がある部分で戦うとそういう事が起きるようになってるからねー! かなり要注意地点なんだよー!

富岳 : だから、足場を確認しながら進んでいくのを勧めたんだがな……。

チャガ : そのギミックで死にやすいんだが、ネタバレ厳禁だから富岳さんの言い方までが限界でな。


「わわっ!? そうだったんですか!?」


 相当大事な事を言ってくれてたのに、それを悪ふざけで無視して飛び込んでちゃったんだ!? うぅ、これは盛大にやらかしちゃってるよー! って、謝るだけじゃ駄目だよね!


「富岳さん、ネタバレに配慮してくれた上に、警告をしてくれててありがとうございます! その上で無視してすみませんでした!」


 色々と気遣いをしてくれてたんだから、ここはちゃんとお礼と謝罪をしておくべき!


富岳 : いや、気にしなくていい。初見でその罠に嵌るのはよくある事だし、ネタバレ厳禁だからな。

G : まぁ嬉々として飛び込んでいくとは思わなかったが。

咲夜 : あれはギミックを知ってたら、ヒヤッとするもんな!

ミナト : ネタバレ厳禁だし、流石に初見では仕方ない部分もあるけどねー。それでサクラちゃん、倒すのはどうするの?


「えっと、どうしましょう?」


 なんだかんだで放電の連発は結構効いてたみたいだし、戦うのもあり? 私が死んでからそんなに時間も経ってないからどっちのコイもまともに回復出来てないみたいだしね。え、でも待って? 戦闘中の水音で他の敵が集まってくる可能性ってない?


「……えっと、もしかしてですけど、ここで戦うと際限なく敵が増え続けるなんて事はあったりします?」


富岳 : あぁ、普通にあるぞ。

ミツルギ : 全滅させなきゃ、水音に反応して敵がどんどん補充されていくなー。全滅させても時間が少し空くだけで、際限なく増えるぞ。

チャガ : 倒した敵の数だけ、補充速度も上がるな。全滅後からの補充は更に速度が上がる。

いなり寿司 : 倒し切れるなら美味い場所ではあるんだが……。

神奈月 : 良く死ぬ場所でもあるよなー!

イガイガ : そして、やり過ぎると下手に近付けない場所の誕生。


「死ぬまで戦い続けろって事ですね、それ!? ここで戦うのは止めておいて、マップの解放をやりますねー!」


 これ、私が戦ったら間違いなく死ぬやつだー! 多分陸地から放電で何体かは倒せるけど、才智か巧みが出てきた時点でアウトなやつ! という事で、今回は諦めて撤退! さーて、上流へ向かって移動再開だー!

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