第227話 やり残していた事


 ふっふっふ、新スキルの『強牙』を手に入れたのです! これで噛みつき系の攻撃手段が増えたのさー! 敵の種類によっては口の中を斬られる覚悟は必要だけど、それでも有用なのは間違いないはず!


「ん-、こうなるとチドメグサの追加が欲しいですねー! どこかにあったりしませんかねー?」


 その辺のデメリットを抑える手段としてはチドメグサ! 採集出来るアイテムは割と見落としてるみたいだし、探してみれば普通にあるかも! どこか近くにないかなー?


ミツルギ : あー、この辺の陸地部分ならあるかもな?

G : でも、パッと見た感じでは近くにはなさそうだ。

いなり寿司 : だなー。ミナトさん、近くにある?

ミナト : んー、ここから見える範囲にはなさそうかな? まぁこの辺はレンコンの採集場所になるし、他のものは採集出来る量が少なめだからねー。

富岳 : とりあえず今は、リベンジを先にで良いんじゃねぇか?

サツキ : リベンジを開始だー!


「それもそうですね! それじゃ先にそっちをやっていきましょう!」


 チドメグサは尽きてる訳じゃないから、今すぐに焦る必要はなーい! それにここで変に時間をかけ過ぎても駄目なのです! 今この場にいるだけで、かなりの予定外だもんね!


「それじゃまずはこれからです! 『看破』! えっと、才智なハスはどこにいますかねー?」


 まずは最優先で潰すべきは才智の敵! 才智さえ潰しておけば雷纏いでの麻痺が狙えるから、効果時間に倒し切れれば問題なし! 昨日の実況外のプレイでのワサビ軍団は、才智がいた上に、雷纏いの効果中に倒し切れなかったのが敗因だもんね。


 さーて、才智は……おー、割と近くにハスがいるよ! それにマップに反応がある敵も数体いるけど、それ以外にもいる! えっと、合計10体で、才智はハスだけかな? あとは種類としては、サンショウウオ、カエル、メダカ、アメンボ、コイ、カメ!

 メダカが2群れとコイが2体! んー、ここは匹で数えた方がいい? なんか実際の動物じゃないから、まとめて体で数えたい気分! ハスとかどう数えたら良いのかわからないし!


「ちょっと確認です! 才智ってハス以外にいます?」


 とりあえずこの水場から繋がってて電気が流れていきそうな範囲はいないと思うんだけど、念の為に皆さんに確認! ここで見落としてまた死ぬのは……あ、それでも別に良い? いや、それでも出来るだけこのタイミングでは死にたくない!


ミツルギ : 見た感じ、見える範囲にはいなさそうだな。

イガイガ : Lv帯も3~5程度だし大丈夫じゃね?

サツキ : 今のサクラちゃん、Lv9だしねー!

咲夜 : その油断が、下手すれば命取りに……。

こんにゃく : その可能性がないとは言わないけど、言い方ー!?

名無しのカカシ : まぁ死角がある以上、そこが危険ではあるからな。


「むぅ……確かにそれはそうですよねー」


 どうしても水場の近くには高めの水草が生えてたり、水中には敵ではないハスとかもあるもんね。水中はどうしようもないとしても、水面に出てる部分はどうにかしたいところ。


「はっ!? 水中にいる敵って水の外まで逃げますかねー?」


 ちょっと良い事を思いついたから、これだけは確認してから実行してみよー! ふふーん、これをやるとどうなるかなー? もしかしたら、雷纏いを使わずに何とかなるかも!


ミツルギ : 敵の種類にもよるな。逃げる奴は逃げるし、水中から出れない種族も色々いる。

ミナト : その辺は適応進化が発生してなきゃ、基本的にはリアル準拠で問題ないよー。見えてる範囲でなら、メダカとかコイとかの魚系はまず逃げれないねー。カエルとかサンショウウオとかカメなら陸地にも逃げていくよー。

富岳 : というか、それを聞いてどうする……あー、何となく察しがついた。

チャガ : 俺もだ。まぁ手段としてはありか。

水無月 : おー! サクラちゃんが何をしようとしてるか、分かるんだ!?

いなり寿司 : 分かってても口には出さない方向で!


「いなり寿司さんの言う通り、その方向でお願いしますー!」


 ふっふっふ、私が私なりに考えた手段だもんね! それを実行前にネタバラシされたら、意味がないのですよ!


富岳 : その辺は分かってるから、安心しろ。

サツキ : サクラちゃん、ファイトー!

金金金 : 何をやるのかに期待!


「はーい! それじゃやっていきますね! 『獅子咆哮』!」


 まずは才智のハスだけは確実に仕留める為に、獅子咆哮で初手から削る! って、あれ? よく考えたら、これは必要ないような気もしてきたけど……まぁいっか! 出来るだけ確実に仕留めておきたいしねー!


イガイガ : ほうほう、まずは確実にハスを仕留めていくか。

ミツルギ : あー、まぁこれは言わない方がいいな。

こんにゃく : え、何か問題があったか?

ミツルギ : いや、別に問題って訳でもないぞ。

いなり寿司 : 何となく言いたい事は分かる。

神奈月 : だよなー。


「……何か気になりますけど、そこは気にしないでおきましょう! それじゃ獅子咆哮、発射です!」


 何かあるっぽいけど、まぁ使ってみれば分かるよね! ハスの位置的に巻き込めそうなのは、アメンボとカメ! 範囲攻撃として巻き込める敵の数としては微妙だけど、狙いはハスのみだから問題なし! 出来ればこれでHPの半分くらい削れてくれればありがたいんだけどね! ともかく、いっけー!


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


 ん? あれ、なんかハスとアメンボが倒せたよ? カメは生きてるけど、それでも7割くらいは削れてるよ?


「あれー!? 瞬殺ってどういう事ですかねー!?」


 待って、待って、待って! えぇ、まさかこんな結末になるとは思ってなかったんだけど、なんで!? えぇ、こんなに威力が高くなってるの!?


ミツルギ : サクラちゃん、器用のステータスが上がっているし、何より獅子咆哮自体のLvが前にここにいた時より上がってるからな? 威力は昨日ここにいた時とは全然違うぞ。

こんにゃく : あ、さっき言いかけてたのってそれか!

名無しのカカシ : Lv差もあるんだし、ある意味当然の結果だな。


「え、あ、そうなるんです!? よく考えたら、そうですよねー!?」


 Lv差の事は考えてたけど、獅子咆哮のLv自体が上がってたのを忘れてたー! そっか、それなら元々高威力は獅子咆哮でLv6も差があるハスが瞬殺でもおかしくないよ!

 水面付近にいて巻き込んだカメはLv5で堅固だったから、生き残っただけなんだね。Lv3の機敏なアメンボは耐久性は無かった! そして経験値もあんまりない!


「あ、でもまだカメが生き残ってるから要注意ですね! 追撃行きます! 『放電』!」


咲夜 : え、なんで水に向かって放電!?

G : どんどん電気が広がって、どんどん感電していってるなー。

水無月 : おー、敵が集まってきてるよー!


 敵が集まってくるのは想定通り! うん、才智のハスを瞬殺出来るとは思ってなかったけど、真っ先に排除するという意味では成功だよね! そういう事にしておこう!

 それはともかく、警戒しなきゃいけないのはここから! 死角に他の才智の敵がいたら困るんだけど……それっぽいのはいないかな?


「もし才智の敵が出てきて見落としてたら教えてください! 『放電』『放電』『放電』!」


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


 あ、カメが死んだ! よく考えたら放電もLvは上がったんだし、溜め無しでも思った以上に威力が高くなってるっぽいね!

 それに私に向かって近付いてきてる他の敵も、思った以上にHPが削れてる! これなら、多分狙い通りにいけるのさー!


サツキ : 才智の敵だねー! 見つけたら、すぐに知らせるよー!

神奈月 : そっちは任せとけ!

ミナト : サクラちゃん、水の中以外も警戒は怠らないように!


「『放電』『放電』『放電』! あ、はい!」


 確かに今は真正面の水の中に集中してるけど、後ろにだって他の水場はあるもんね! そっちから変な……って、そろそろもう間近まで迫ってきてるから、次の段階に移行だー! うふふ、ここまでの放電でどの敵もHPは半分以上は減ってる! ならば、次のこの一手で詰めなのさー!


「これでどうです! 『威嚇』! そこからこれです! 『放電』『放電』『放電』!」


 いぇーい、作戦大成功! 私の目の前まで攻撃をしようと向かってきていた敵たちが、威嚇を使った途端に踵を返して逃げ始めた! うふふ、逃げるように仕向けたのは私だけど、逃がさないよ! 進化ポイントを置いて、くったばれー!


「『放電』『放電』『放電』!」


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


 おぉ、続々と敵が死んでいく! うふふ、これは楽しい! わっはっは! 逃げ惑え、まだ生き残ってる雑魚たちよ! 私が強くなるための糧となるがいいのです!


金金金 : 勝ち誇ったドヤ顔の狐っ娘アバター、これもまたいいな!

ミツルギ : まぁここまで一方的に倒せると、気持ちは良いか。


「『放電』『放電』『放電』!」


 ともかく次々とぶっ放すのさー! いっけー!


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<未成体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


 えーと、水の中に看破の反応は特になしだね! という事は……。


「これで殲滅完了です! リベンジ完了――」


 って、ちょっと待って!? なんか脚に衝撃があって、動けなくなったよ!? え、麻痺毒!? なんで!? 


ミナト : あらら、だから注意して言ったのに……。

富岳 : マップに反応が出てたから、昨日のあの毒ヘビか?

チャガ : 急激な速度で近付いてたからな。少なくともLv9以上の敵で、こっちの方に来てたLvが高めな敵であるのは間違いない。


「え、昨日のあのヘビですか!? ぎゃー!? 本当にそうでした!? ちょっと待って、待って、待って!? その濃い紫色の液体を滴らせて、脚に噛みつこうとしないでくれませんかねー!?」


 目の前に回り込んできたヘビは昨日見た覚えのあるヘビ……あ、噛まれた。ぎゃー!? 『微毒』じゃなくて『毒』になってるし、このヘビLv9に育ってるんですけどー!?

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