第226話 方針の決定


 うーん、ここで再び死んでランダムリスポーンで違う場所を目指すって手段かー。でも、進化ポイントは欲しい……。それにこれから倒そうとする敵は格下ばかりになるはずだし、わざと殺されるのも微妙な気分だよね。


「はっ!? 思いつきましたよ! 単純に威嚇で敵を集めて殺されれば済むだけの話じゃないですか!」


 ふっふっふ、これならば格上の敵と戦う事になるはず! わざと殺される事はなーい! 全力で戦った上で力尽きるなら、それが良いもんね!


ミツルギ : まぁそれもありだな。

いなり寿司 : ちょっと移動する必要はあるけどなー。

咲夜 : 適応進化は……まだ全然大丈夫か!

ミナト : 全然大丈夫な範囲だけど、場所が場所だし、一度丘陵エリアに戻るのもありだねー!

神奈月 : そこまでする必要はある? 最悪、窒息を挟めばリセットも出来るし。

ミナト : そこはほらね? 成熟体に進化したんだし、時間も進んだし、心機一転って事で!

G : あー、なるほど。まぁリセットした方が無駄な心配はいらんしな!

こんにゃく : なるほど……。確かに変な杞憂は残さない方がいいか!

いなり寿司 : まぁ窒息での死亡は自発的にやりたくはないだろうし、サクッとリセットした方が安心だな。


「確かに自分から窒息しに行くのは嫌ですもんねー! それじゃ、一度戻ってカウントをリセットしましょうか!」


 ふふーん、エリア切り替えのすぐ傍にいるから出来る事! 適応進化のカウントは、エリアを切り替えたらリセットって話だもんね! よーし、それじゃ一旦エリア移動!


<『名も無き湿原』から『お煎餅の丘』へとエリアが切り替わりました>


 特にこれといって代わり映えのしない……って、そうでもなかったー!? わっ! わわっ!? あちこちで光の柱が上がってるよ!? あー! そういやタイミング的にこうなるんだ!


「これ、未成体への進化がまとめて発生中ですよね!?」


 この光景は想像してなかったけど、よく考えたら時間を飛ばしたんだから、こっちだとそうなるよね! わー! こっちに移動してきてよかったかも!


咲夜 : そういやそういうタイミングだった!?

水無月 : わー! なんか凄い! これって何が起きてるの!?

G : 手前のエリアの進化目前のLv帯の敵が、時間を飛ばした事で進化を始めたとこだな。

ミナト : 普通は散発的に発生するんだけど、時間を飛ばした時には一斉に進化するから、今だからこそ見れる光景だねー!


「これは今日のサムネイル候補ですね! スクショを撮っておきます!」


 ふっふっふ、狙って見に来た訳じゃないけど、これはスクショを撮るチャンス! スクショを撮るぞー! ……うん、撮れた! あれ? これってもしかして、ミナトさんを筆頭にこっちに戻るように誘導してなかった?


「……誘導をやりましたね、皆さん!?」


 まぁ別に内容的には良いものが見れたから別に良いけども! 私だけなら確実にこの光景は見れてないしねー。


咲夜 : あ、妙な感じはしてたけど、そういう事か!

水無月 : そうなの!?

ミナト : ごめんね、サクラちゃん。今を逃すと見れなくなる光景だったからさ?


「あ、別に怒ってはないから大丈夫ですよー! 敵の一斉進化を見るのは2度目ですけど、サムネイルにしたいくらいですもん!」


 さっきみたいな形になったのは、ネタバレ厳禁でやってるからだろうしね。うふふ、さっき撮ったスクショは今日のサムネイルの第一候補! まぁまだ今日の配信は始めたばかりだから、まだ他の候補が出てくる可能性もあるけども!


ミナト : そっか、それなら良かった!

G : 単純に見逃すって教えたくても、ネタバレ厳禁に引っかかるってのが……。

いなり寿司 : ネタバレ厳禁自体は別に良いんだけどな。その辺の線引きが難しい。


「うーん、確かにそうですよね……」


 今回みたいな内容なら普通に教えてもらうのでもいいんだけど、それ以外は出来るだけ私から聞かない限りはネタバレ厳禁でやりたいとこだもんね。線引きが難しいのは……うん、否定は出来ない。かといって、良い手段も思いつかないよ!


「むぅ……色々と難しいところですね。まぁ基本的にはネタバレ厳禁の方針は継続でいきますねー! それじゃ湿原エリアに戻ります!」


<『お煎餅の丘』から『名も無き湿原』へとエリアが切り替わりました>


 戻ってきたよ、湿原エリア! ネタバレ厳禁については、今の方針を維持でいくのです! まぁ正直、何かあればそれとなく誘導してくれそうだしねー! まさしくさっきみたいに!


「さてと、とりあえずリベンジから……あ、その前にこれですね!」


 忘れかけてたけど、新しいスキルの解放をやっていこー! って、あれ? よく考えたら、連撃として微妙なら『双爪撃』に拘る必要もない? 別に他の攻撃を取るのでも良いよね!?


金金金 : ん? スキルツリーを開いてから、狐っ娘アバターが悩み顔?

サツキ : サクラちゃん、何か気になる事があったー?


「あ、いえ、『双爪撃』が連撃として微妙なら、他の攻撃スキルを取るのもありかなーって思いまして?」


 別々の敵に当てたかったから連撃が欲しかっただけで、それが出来ないなら意味ないはず。それならもっと1撃が強力な攻撃スキルもいいよねー。


サツキ : あ、確かにそれはそうだね!

富岳 : あぁ、そうなるのか。

ミナト : 連撃を欲しがってた理由が『1撃ずつ別の敵を攻撃をしたかった』なら、不適格だからね。他のスキルでも問題ないけど……って、あれ? サクラちゃん、今の屈強と俊敏のステータスってどっちが高くなってる?

G : あー、スキルの威力に影響してくるもんな。

咲夜 : 確かに!


「え、屈強と俊敏のステータスですか? えーと、ちょっと見てみますねー!」


 さっき俊敏のステータスを上げたとこだし、どうなってるんだろ? 昨日の時点では確か屈強の方が高かったとは思うけど、とにかく確認してみよー!


【ステータス】


 名前:サクラ

 種族:巧みなライオン【雷】

 進化階位:未成体

 Lv:9


 生命 : 810

 屈強 : 121

 堅牢 : 95

 俊敏 : 125

 器用 : 145

 知恵 : 104



「あっ! 微妙に俊敏が屈強を上回ってますね!」


 わわっ! まさか屈強よりも高くなってるとは思わなかった! とはいえ、劇的な差がある訳でもないよねー。うん、これなら屈強と俊敏、どっちのスキルツリーの攻撃スキルを取っても良さそう!


「これって、堅牢のスキルは避けた方がいい感じです?」


 私のライオンは堅牢が低いから、堅牢のスキルツリーのスキルは威力は期待できない? うーん、でも体当たりとかは意外と威力は出てるけどなー?


ミツルギ : あ、そこは大丈夫だぞ。流石に近接攻撃のスキルは屈強のステータスが低い場合はマズいけど、堅牢や俊敏の影響は屈強への上乗せ部分だからな。

富岳 : 極端な話、屈強のステータスさえしっかり育ってれば、堅牢と俊敏は無くてもどうにかなる。まぁ移動速度や攻撃速度、耐久性が犠牲になるが。


「全然良くないですよね、それ!?」


 いくらなんでも犠牲になる部分が大き過ぎるよ!? どれだけ威力が高くても、打たれ弱くて移動が遅いって致命的だよね! でも、スキルツリー制のモンエボなら、そういう育て方をしようと思えば出来るのかな? うーん、私には無理!


咲夜 : その育成方法、ミナトさんなら出来るんじゃね?

ミナト : ん? まぁ出来なくはないけど、流石に敏捷は少しは欲しいかなー。どうしても安定性には欠けるからね。

こんにゃく : 安定性に欠けるとか言ってるけど、そもそも出来るんかい!

名無しのカカシ : 普通は詰むやつー。


「あはは、そこはミナトさんらしいとこですね! んー、それなら何を取ってもいけそうです!」


 第4段階の攻撃スキルが欲しいけど、候補としてはどのくらいになるのかな? ちょっとスキルツリーを確認して見繕ってみようっと!


「えーと、候補としては……屈強の中なら『強爪撃』と『強牙』ですね」


 名前からして、それぞれ爪撃と噛みつきの上位版っっぽい感じ! どっちも良さそうな気はするけど、まぁ決めるのは全部確認してからだね!


「堅牢は『突撃』ですかねー? 『踏ん張り』はパッシブスキルですし、攻撃用じゃない気がします!」


 なんというか踏ん張るんだから、体当たりとかで吹っ飛ばされるのを耐える効果とかかな? あんまり吹っ飛ばされた覚え……あ、カメに水場へ突き落とされたことはある! そういうのを防ぐ感じ?

 うん、とりあえず今は攻撃スキルが欲しいからスルー! 次は俊敏のスキルツリー!


「俊敏はさっき言ってた『双爪撃』ですよねー。もう片方の『見切り』も気になりますけど……」


 『見切り』ってなんだろう? 回避専用のスキルとかそんな感じ? これも興味深いけど、今はパス!

 って事で次……あ、器用と知恵には攻撃用のスキルは残ってないね。うん、今回はどれを取るか決めた! いつもなら悩むとこだけど、なんかスッとこれが良いって気がするのです!


ミツルギ : 候補は『強爪撃』『強牙』『突撃』『双爪撃』の4つだな。

サツキ : さぁ、サクラちゃんはどれを選ぶ!?

咲夜 : あれか!? 今日もあれの出番か!?


「あ、今回は普通に決めました! どうにも攻撃が当てにくい敵もいるので、『強牙』にしますね!」


 ふふーん、私なりにちゃんとした理由もあるのです! 噛みついた状態で口の中を攻撃される事もあるけども、それでも爪での攻撃や体当たりよりも小さな敵はこっちの方が当てやすいもんね!


咲夜 : 即座に決まった!?

ミナト : あはは、今回は迷わなかったねー!

富岳 : まぁ理由としても納得だな。

ミツルギ : 小さな敵には当てにくいのは、確かだからなー。


「そういう事です! それじゃサクッと解放しちゃいますね!」


<『屈強』第4段階:スキル『強牙』を解放しました>


 よーし、これで解放完了! 残り進化ポイントは1になったけど、そこはまた溜めればいい話! というか、その為の新攻撃スキルなのですよ!

 それじゃ、とりあえず私のライオンの敵討ちを始めるのさー! そしてその後に威嚇を使って格上の敵を集めて、ランダムリスポーンを狙うのです! もちろん、一方的に嬲り殺される気はないから、全力で抗うけどね!

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