第214話 隠れるエリアボス
うーん、威嚇を使ってエリアボスの蝶からの攻撃を待ってるけど、全然攻撃してくる気配がないよ?
「良い案だと思ったんですけど、失敗で……って、わっ!?」
って、思ってたらなんか一気に放電になった!? 放電した方向的に蝶は真正面にいたっぽいけど、なんか凄い速度で突っ込んできてる!? ぎゃー!? 空中を舞ってた葉っぱが両断されたって事は羽での斬撃だー!?
でも、これはカウンターを入れるチャンス! もう斬られるのは覚悟の上で……今!
「『咆哮』! あ、成功です!」
うふふ、萎縮になった蝶が地面に落ちていくよ! 少し斬られたけど、そのタイミングならどこにいるかは分かるもんね! ふっふっふ、どうも溜め攻撃だったっぽいけど、連撃でもあったみたいで思ったほどHPは削られてないし、作戦自体は成功だー! この萎縮は大きいよね!
「追撃いきます! 『爪撃』『連爪』!」
アゲハ蝶くらいのサイズの蝶だから、この辺の攻撃でもまだ当てやすい! うりゃりゃりゃりゃりゃー! 今のうちに削れるだけ削るのです!
ミツルギ : ほほう! この手段って、成功なのか!
チャガ : 少し気になったから調べてみてたが、攻略サイトにその手段はあるにはあるな。まぁおまけ程度で、ろくにコメントもないページだったが。
富岳 : まぁ狙って戦える相手でもないからな。
ミツルギ : 載ってるには載ってるのか。
G : 使いどころがなー。見つけられない敵を絶対に見つけなきゃいけない理由が特にないってのが……。
むぅ、折角思いついた私の手段も、他の誰かが全く使った事がないって訳じゃないんだ。まぁ発売から結構経ってるゲームなんだし、その辺は仕方ないよね。ともかく今は、ひたすら追撃あるのみ!
「『振り回し』からの『体当たり』です!」
地面に落ちてる蝶を振り回しで上に弾き飛ばすみたいにして、空中に浮いたところを体当たりで近くの木の幹に向けて吹っ飛ばす! おぉ、上手くいったよ!
ふっふっふ、この蝶はエリアボスだけど、隠れる事に特化してるみたいで耐久性はそれ程でもない! これなら今の萎縮中には倒せなくても、もう1回放電を溜めれば倒せそう!
水無月 : なんか、ボスにしては弱くない? もうHPは半分切ってるよ?
いなり寿司 : 隠れるタイプはこんなもんだよ。見つけるのが面倒なだけで、耐久性自体は大した事はない。
こんにゃく : それにしても、振り回しの汎用性は高めとはいえ、そう使うか。器用な事をするもんだな。
サツキ : サクラちゃんは巧みなライオンだからね!
「え、そこってそういう問題なんです? 『噛みつき』!」
とりあえず蝶に噛みついて……あ、さっき斬られた分のHPが回復した! それはそうとして、姉さんは適当な事を言ってるだけだよねー!? 器用のステータスって、そんなとこには影響なかったと思うけど、実は影響あったりするのかな?
ミツルギ : あー、全く関係ないとも言えないんだよな、そこ。
名無しのカカシ : ライオンで投擲する時と、基本動作が似てるんだよな。
ミツルギ : そうそう。今みたいに弾き飛ばすみたいな使い方なら、慣れとして影響は出てくる。まぁ器用のステータス自体は関係ないけど、そこに属する『投擲』の使い方が影響する感じだな。
サツキ : え、そうなの? うん、サクラちゃん、そういう事!
いなり寿司 : サツキさんは適当に言ってただけかい!
「おー! 動作的に近いから、動かし方が似てきて上手くいくって感じなんですねー!」
姉さんは本当に適当に言ってただけみたいだけど、確かにそう言われてみれば投擲の弾き飛ばし方に似てた気はする! そっか、そういう事もあるんだね。そりゃどっちも前脚で、同じような軌道で動かせばそうなるよね!
あ、エリアボスが相手なんだし、毒の実を投擲で当てちゃえばよかったかも? うーん、今の噛みつきが終わった時点で萎縮が切れてなかったらそうしよう!
ミナト : サクラちゃん、今は大丈夫みたいだけど周囲にも要注意だからねー!
咲夜 : あー、そういや威嚇中だもんな。
G : リアルほど生物が密集して存在してる訳じゃないが、全然周囲に敵がいないって訳でもない。
富岳 : 実際、逃げてるのはいるしな。
神奈月 : マップの簡易表示で確認できる範囲では5体くらい逃げてた。
「え、そんなに逃げてたんです!?」
わー!? 蝶にばっかり集中してて、全然その辺を見てなかった!? うぅ、その辺は気を付けておかないと、威嚇で敵が集まってきて袋叩きとかあり得るもんね。
「わわっ!? 蝶が暴れ出しました!?」
うがー! 噛みついてる最中に萎縮の効果が切れちゃった!? ぐぬぬ、毒の実を投擲で当てようと思ったけどこれじゃ――
「って、口の中を切り裂いてくるのは、ちょっと待ってくれませんかねー!?」
うぅ、思いっきり出血効果になった!? でも、噛みつきの効果がまだ切れてないから、放り出したくても出せないよ!?
金金金 : なんか、噛みつきって敵によっては危険になってきてねぇ?
ミツルギ : まぁ斬撃攻撃持ちの敵を口に含むのは、普通に危険だよな。
咲夜 : ゲーム関係なしに、危険な行為だしなー。
「確かに言われてみれば、それはそうですよねー!?」
うん、切れるものを口に入れるとか、そりゃ普通に危険行為だよ! 疑問の余地はどこにもなかった! あ、噛みつきの効果が切れたから、さっさと蝶を吐き出しちゃおう!
「わっ!? また一目散に逃げましたよ、この蝶!?」
解放した瞬間、凄い速さで飛んでいった!? うがー! またあっという間に見失ったし、とことん真っ向勝負をしてくれる気はないっぽい。面倒だね、この蝶!
えっと、放電の再使用時間は……もう少しかかるね。あ、雷纏いの方が使えるようになってる! うーん、でも残りHPを考えたら流石に勿体ないかな?
サツキ : サクラちゃん、大急ぎで出血は回復だよー!
イガイガ : その方が良いだろうな。
「あ、はい、そうします!」
ここで変に出し惜しんで出血で弱っても仕方ないもんね。手早くチドメグサを食べて、回復だー! ……うん、出血はこれで問題なし!
うーん、ここからどうしよう? 放電の再使用時間を待って……あ、咆哮も待たないと駄目だよね。
「わっ!? 『身構え』!」
今回はすぐに攻撃してきたよ、この蝶!? わっ!? わわっ!? 単発じゃなくて、連撃で斬ってきてる!? ふぅ、とりあえず身構えでこの攻撃は凌ごう!
「急に隠れるのを止めましたね!? さっきは溜めてただけですかねー?」
真実とは何か : それが真実であろう!
神奈月 : 斬られたのはそれほどダメージにはなってなかったし、連撃系っぽい。
G : まぁ機敏な蝶だし、そこは妥当なとこだろ。
「そういえば、この蝶って機敏でしたっけ! 俊敏系って、そういうイメージじゃないんですけど……」
なんだか隠れるって行為が、機敏っていうイメージに繋がらないから変な感じ。なんというか、隠れるのって知恵っぽいイメージがするんだけどなー?
富岳 : 逃げるか、隠れるかは、種族によって変わってくるからな。
ミツルギ : リアルで擬態するような感じの種族のスキルツリーの内容が変わってくるんだよな。
イガイガ : プレイヤーとの戦闘を避けるという意味では共通はしてるぞ。
いなり寿司 : まぁ知恵っぽい気はするが、知恵のスキルツリーのスキル系は大体が看破系か状態異常系で埋まってるってのもある。
ミナト : 空きがあればそっちに回りそうではあるんだけどね。
「なるほど、そういう感じになるんですねー!」
そっか、スキルツリーの枠の数の問題ってのもあるんだね。うん、そうしてる間に放電の再使用時間が過ぎて、蝶の攻撃も収まった! ついでに身構えの効果時間も過ぎたから、攻撃に移れるよ!
「さてと、反撃開始です! 『放電』!」
蝶が隠れるように逃げ始めたけど、ピンポイントで狙わず見つけた時と同じように全方位に放電で攻撃! ここからは溜めずに連発でどんどん削っていこー! って、あれ?
咲夜 : 麻痺して落ちたー!?
ミナト : あら、これは大チャンスだねー。
チャガ : エリアボスが1回の戦闘で2回も放電の麻痺が入るとはな。
「私としてもこれはびっくりですよ!? でも、このチャンスは逃しません!」
ふっふっふ、こんな絶好の攻撃チャンスを逃す訳にはいかないもんね! もうHPは4割を切ってる状態だし、咆哮以外は再使用時間は過ぎてるし、このまま仕留め切る!
サツキ : サクラちゃん、いっけー!
金金金 : ぶっ飛ばせー!
「はい! 『爪撃』『連爪』!」
うりゃりゃりゃりゃりゃー! おぉ、あと少しで倒し切れそう! 残りHPはあと1割ちょっと!
「これでトドメです! 『振り回し』からの『体当たり』!」
<未成体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
<エリアボスを討伐しました>
<サクラ【巧みなライオン【雷】】が未成体:Lv7に上がりました>
<基礎ステータスが上昇します>
<進化ポイントを3獲得しました>
「エリアボス、機敏な蝶の撃破完了です!」
うふふ、敵の位置さえ分かったら、耐久性は全然なかったし楽だったね! うん、ミナトさんが楽だって言ってた理由は分かった気もする!
そしてこのエリアでの最大LvになるLv7へ到達なのさー! なんだか1日1エリアをクリアしていくのが定番の流れになってきた気がするねー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます