第187話 川岸へ
さーて、とりあえず目的地は死んだ場所! そういえばこんな風に死んだ場所が大体分かるってのも珍しいよね!
「ふふーん! まずは割と近くに見える川まで移動しましょう!」
川と言っても小川って感じで川幅はないっぽいから、いざとなったら飛び越えられそう! ゲーム的に通れない場所ではないはずなのですよ!
水無月 : この大自然の中を散策してる感じっていいね! 私もやってみようかなぁ?
ミナト : それもいいかもねー! 色んな動植物がいるし、ただ眺めてスクショを撮っちくのも楽しいよー! こうやって実況を眺めてるのも面白いけど、自分で駆け抜けていくのも良いものさ!
咲夜 : 沼の底から手招きをしているミナトさんの姿が目に浮かぶ!?
いなり寿司 : 確かにそんな感じだな。
水無月 : えぇ!? 沼なの!?
ミナト : ……咲夜さん、なんで邪魔するの?
咲夜 : ミナトさん、怖っ!?
わわっ!? ミナトさんらしくない……そうでもない? うん、なんかその辺の内容については私自身にも覚えがあるよ。ここは私が止めるべきところ!
「ミナトさん、落ち着いてくださいねー! 水無月さん、このモンエボってやり込み要素が半端ないみたいでして、ミナトさんはその辺にこだわりがあるみたいなんですよ。だから、そこまで踏み込まなければ沼ではないはずです!」
多分、説明としてはこれで間違ってないはず! 図鑑埋めとかをしたら盛大に時間がかかるみたいだけど、そうでなければ……あれ? よく考えたら、今までのプレイ時間も何気にそれなりに経ってるよね? でもまだ1種族もクリア出来てないし、全種族をクリアしようとしたら、それだけでも大概沼な気もしてきたよ?
ミナト : はっ! 今のはごめん!
こんにゃく : なるほど、ミナトさんはサファリ系プレイヤーか。
名無しのカカシ : どうもそうっぽいな。
水無月 : それ、なーに?
ミツルギ : 戦闘とかより、景色や動植物を見るのを主目的としたプレイヤー層の通称だなー。まぁ最低でも1種族目は普通にクリアする必要はあるけど。
水無月 : おぉ! それは楽しそう!
ミナト : でしょ!? そうでしょ!?
水無月 : あ、でも、オフラインのソロゲーなんだよね。うーん、そういうのはワイワイやりたいなー。
咲夜 : それならオンライン版もあるぞー!
水無月 : おー! オンライン版もあるんだ! それはいいね!
サツキ : コメント欄で盛り上がるのもいいけど、ほどほどにねー!
わっ!? 姉さんが珍しく凄い真っ当な事を言ったよ! いつも引っ掻き回す側の姉さんが、方向を引き戻した!? 天気が大荒れになったりしないよね!? 停電で強制終了とか大丈夫!?
金金金 : なんか狐っ娘アバターが凄い驚いた顔をしてるんだけど。
こんにゃく : え、そんなに驚く要素があったのか?
ミツルギ : あー、うん、まぁ今までのサツキさんの言動から考えたら今のは驚くよな。
イガイガ : それは確かに。
富岳 : 驚くのも仕方ない。
サツキ : サクラちゃんもみんなもその反応は酷くない!? 確かに旦那にそう言えって言われたけど! あ、痛!? え、なんで今怒られたの?
ふぅ、なんだ。旦那さんが後ろでアドバイスしてただけなんだね。そっか、そっか。それなら姉さんらしくないさっきの発言も納得だー!
「いつものサツキさんでホッとしました! そうしてる間に川に辿り着きましたし、とりあえず配信と関係ない内容はほどほどなところで自重でお願いしまーす!」
これ以上は本当に脱線し過ぎるから、私の方で強制的に流れを引き戻す! 私の配信をきっかけにモンエボ自体を始めようっていうのは嬉しいんだけどねー。
それにしても水無月さんはオンライン版の方が良いんだ。そっかー、他の人をワイワイやりながら楽しむのなら、そういう選択肢になるよね。まぁそこは私が決めるとこじゃないから、今はいいや! 雑談的なのは、HPの回復の合間とかそういう時にやろう!
水無月 : 了解です!
ミナト : 脱線させちゃってごめんねー!
「いえいえ、今の程度くらいなら大丈夫ですよー! さーて、それじゃ川を渡りたいとこですけど……草が邪魔ですね」
小川だから飛び越えられると思ってたけど、近くまで来たら川岸には思ってたよりも草が生い茂ってた! うーん、どこからが川で、どこからが陸なのかがよく分からないね? 無理に押し分けて突き進んでみる?
「あ、『強烈なショウブ』とかがいますね。未成体のLv2ですかー」
なんか川岸に生えてる紫色の花が咲いてる葉っぱが細長いやつ! なんだかこのショウブの葉っぱ、よく切れそう!
「そういえば『強烈』って『屈強』での未成体の進化版で良いんですかねー? 地味にその辺を確認してなかった気がします? ついでに全部教えてもらっていいですか?」
なんとなくそんな感じだとは思ってるんだけど、正確に確認してなかった気がする! なんか結構見てる気もするから、ここで一度整理しよう!
ミツルギ : それで合ってるぞー。
富岳 : 未成体からだと『生命』が『精彩』、『屈強』が『強烈』、『堅牢』が『堅固』、『俊敏』が『機敏』、『器用』が『巧み』、『知恵』が『才智』になるな。
こんにゃく : え、これはネタバレじゃねぇの!?
ミナト : サクラちゃんが聞いてきた場合は例外だよー。ちなみに、さっき敵が群がった時に全部出てたね。
こんにゃく : あー、聞いてきた場合はセーフなのか。
名無しのカカシ : なるほど、ネタバレ厳禁でも例外はある訳なんだな。
「そういう事になりますねー! 確かに機敏以外は覚えがありますけど、さっき全部いたんですか!」
さっきは機敏な敵もいたんだねー。一気に敵が集まってたから、そこまで確認してる余裕はなかったよ! うん、とりあえずこれで未成体の進化の特徴は把握なのさー!
さてと、あのショウブは……あっ、ショウブが近付いてきてる! ぎゃー! またあれなの!?
「むぅ……ここの敵でも相変わらず根で歩いて動いてくるんですね!? とりあえず『咆哮』です!」
よし、ショウブに萎縮が入った! って、あわわ!? 足場がどうなってるのかよく分からない位置でやっちゃった!? もっと近くに引き付けてからやるんだったよ!?
ケースケ : ちょ!? ショウブが根で歩いてた!?
神奈月 : モンエボではよくある事。
いなり寿司 : そうそう、特に珍しくもなんともない。
ケースケ : そうなのか!?
水無月 : わっ! それって面白い!
咲夜 : 水無月さんは、サクラちゃんとは真逆の反応だなー。
「うぅ、どうもあの根っこで歩いてくるのは妙な感じがして好きになれないんですよね。まぁ見るのは結構慣れてきましたけど……」
もう何度も戦ってきたから、初めほどは驚かなくはなったけどね。さてと、ここからどうしようかな? 流石に川との境界があやふやな場所で放電を使うのは危ないよね。効果範囲が広がり過ぎて、私に敵が群がってくる予感がする!
放電での遠距離攻撃が危険ならば、他の手段で遠距離攻撃をするまで! 石を取り出して、ショウブに向かって弾き飛ばすのさー!
「とりあえずこれで攻撃です! 『投擲』!」
<『投擲Lv2』が『投擲Lv3』に上がりました>
「おぉ、Lv3になりました!? かなりダメージ量が増えてる気がします!」
わー! 投擲だけでHPを3割も削れるとは思わなかった! Lvが上がったのと、器用のステータスが上がった恩恵がここまであるんだ! うふふ、進化の方向性を器用にしたのは成功だったかも!
ミツルギ : お、ここでLvが上がったか。
咲夜 : いい威力が出てるなー!
こんにゃく : ライオンなのに投擲Lv3!?
名無しのカカシ : 器用での進化だからもしかしてとは思ったが……この威力か。
サツキ : やったね、サクラちゃん!
「今スキルLvが上がったのは想定外でしたけど、かなり威力が上がってて嬉しいですね! 再使用時間の減り方も少し早くなってる気がします!」
これならすぐに投擲も再発動出来そうだよね! でも、今すぐに使える訳じゃないし、どうやって追撃しよう?
うーん、どっちにしてもこの川は突っ切らないといけないだろうし、そのまま突っ込んじゃえ! 変に暴れ過ぎなきゃ、流石にまた脚が埋まる事はないはず!
「それじゃ追撃行きます! 『体当たり』!」
そこまで勢いはつけられないけど、萎縮してるショウブに向かって体当たり! 近くの草むらもまとめてなぎ倒してるけど、その辺はもう気にしない! おぉ、残りHPはこれでもう半分なんだ!
「あ、川の中に吹っ飛んじゃいましたし、萎縮も切れましたけどもう何もさせません! これでトドメー! 『爪撃』『連爪』!」
私も川の中に飛び込んで、ショウブを爪で次々と切り刻むのですよ! 反撃で私も少し葉っぱで切られてるけど、そこは無視で押し切るのみ!
うふふ、体感できるくらいに威力が上がってる気がする! そして、この一撃で最後なのです! くったばれー!
<未成体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
「とりあえず、未成体の初討伐はこれで完了です! 思ったより楽勝じゃないですかねー!」
もっと苦戦するかとも思ったけど、このショウブは大したことなかったね! 咆哮が強力ってのもあるよね! でも、咆哮の効果時間が少し短くなってた気もする?
サツキ : サクラちゃん、今の初討伐じゃないよー?
咲夜 : 初討伐は、ランダムリスポーンになる直前に倒した奴だよな。
ミナト : あの時倒した、強烈なカエルだねー!
「あ、そういえばそうなるんでした!?」
うがー! 折角、今回は見事に倒して未成体での初勝利だと思ったのに、勝った実感のないのでもう終わってたよ!? 悔しいけど、取り返しがつかない事だしどうしようもないよね……。
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