第158話 強襲してきたヘビ


 よーし、まだ威嚇が効いているし、今のうちに攻撃だー! この襲ってきたヘビは倒すのです!


「って、萎縮が切れました!?」


 突っ込んでいきかけたけど、慌てて後方に飛び退く! まだ効果が続くと思ってたのに、切れるの早くないですかねー!?


ミツルギ : 知恵での進化だから、効いても解除までは早いぞ!

富岳 : 相手との知恵のステータスの差があればあるほど状態異常は効きにくくなるのと、差が少なくてもステータスが高ければ効果時間は短くなるぞ。

ミナト : 公式で発表されてる訳じゃないから正確な数値じゃなくてただの予測値だけど、2割以上の差があれば効かなくなる感じ! 敵のステータスが正確に分かる訳じゃないから、推測の部分が大きいけど!


「あ、そういう感じなんですね! 分かりました!」


 つまり、このヘビは知恵自体は高めだけど、そこまで極端に私と離れている程ではないんだね! そうなるとこのヘビは知恵でのスキルツリーは進化の為の最小限くらいなのかもしれない!


「って、なんか露骨に牙から毒っぽい紫色の液体が滴り落ちてるんですけどー!? 『放電』!」


 あれ、どう見ても絶対に毒だー! このヘビ、毒を使う為に知恵での進化をしてるんだー!? ともかく放電しながら、距離を取るのです!


「わっ!? 躱し切れなっ――」


 このヘビ、動きも早い! うがー! 回避し切れずに、前脚に噛みつかれた!? でも、噛みつき自体でのHPの減りは思ったほどじゃない!


「……1撃はそこまで痛くないですけど、毒は厄介ですね! 『振り回し』!」


 いつまでも前脚に噛みついてるんじゃなーい! 噛みついたままで、前脚を振り回して休んでた崖の部分に叩きつけてやる! 私の寛ぎタイムを邪魔した罰ですよ!


「離しませんね、このヘビ! えいや! えいや! えいや!」


 スキルじゃないけど、動きとしては普通に出来るからどんどん叩きつけちゃえ!


サツキ : サクラちゃん、いっけー!

咲夜 : ヘビは噛みついてるのが仇になって、逃げ出せずに叩きつけられてる!

いなり寿司 : 動き過ぎると毒のダメージ量が増えるけど……まぁ、戦闘中はそうも言ってられないか。


「だんだんダメージ量が増えてる気がしてましたけど、そういう事ですか!? それなら……とにかく離れてください! 『投擲』!」


 ちょっと噛みつく力が弱まったから、多分そろそろ噛みつきの時間切れ! そのタイミングで、これだー! 動作的には前脚で発動した振り回しと同じになるから、スキルとしてのダメージは入らなくても投げ飛ばす事くらいは出来るはず! いっけー!


「よし、成功です! 今のうちにドクダミで毒消しです!」


 なんとかヘビを崖に投げつける事には成功! あんまり戦闘中にアイテムを食べてる余裕もないんだけど、どんどん毒でHPが減っていってるからこれはなんとかしないと危ない!

 とりあえず少しの時間稼ぎにしかならないだろうけど、崖上にジャンプして少し距離を取って、少ししかないドクダミを取り出して食べるのみ! なんか初めて見る『毒』って表記だし、ここで出し惜しんでる場合じゃない! 見た事あるのは『微毒』と『麻痺毒』なんだけどなー?


イガイガ : 持っててよかった毒消しのドクダミだな!

富岳 : 割と貴重だが、今こそ使い時ではあるか。

ミナト : こういう時の為の毒消しアイテムだしね。今のは微毒よりも毒性の高い毒だし、早めに対処しないと危ないやつ。


「はい、出し惜しんでられません! って、もうヘビが追ってきましたね! 『放電』!」


 さっきの噛みつきと毒だけでHPは3割ちょっとも削られてるし、ここで毒消しを使わなければ毒で殺されてた可能性が高いもん! とりあえず毒は消せたから良かったけど。

 エリアボス辺りに温存しておきたい気持ちはあったけど、普通の敵で苦戦してるようならエリアボスの毒持ちの敵と戦うなんて無謀も無謀だよ!


「でも、このヘビは極端に攻撃力や耐久性が高いって訳でもないんですね! 皆さんが言ってた通り、バランスが良いって感じです!」


 極端に攻撃力が高い訳でも防御力が高い訳でもないから、噛みつき自体はそれほど痛くはなかったし、私のさっきの振り回しで叩きつけまくったのでもHPは半分以下まで減っている。ただ、警戒すべきは毒みたいだね。


「わっ! また牙から毒ですか!?」


 うぅ、また毒を使って噛みついてくる気だー! あれ、でもさっきとは少し色が違って、毒々しい紫色ではあるけど、少し光沢感があるような気はするね?


ミナト : サクラちゃん! それ、麻痺毒だから絶対受けちゃ駄目!

金金金 : 何か色が違うかと思ったら、オフライン版は毒は見た目で見分けられるのか!

ミツルギ : オンライン版だと、区別が出来なくなったとこだな……。


「麻痺毒は確実に危ないやつですね! 『咆哮』!」


 私は麻痺をよく使っているから分かる! 麻痺毒は動けなくなるし、食らったら最後、一方的にやられてヤバいやつ! だから、攻撃をされる前に潰す!


「って、今回は弾かれました!? 絶対に効く訳じゃないんですね!?」


 ぎゃー!? 私の切り札の1つである咆哮が効かなかったー! うぅ、絶対に決まる訳じゃないんだ!? というか、ここからどうしよう!? 下手に迎撃しても、噛みつかれたらアウト! 多分、私の知恵のステータスじゃ状態異常を弾くのは無理!


「とりあえず一旦逃げです! ぎゃー!? 『放電』!」


 麻痺毒を滴らせたヘビが思いっきり噛みつきに近付いてきたー!? なんだか地味に移動速度は早いよね、このヘビ! えっと、えっと、どうしよう!? あ、そうだ! 今思いついたのが当たってれば、運次第だけど何とかなるかも!


「毒って使う度に切れるんですか!? 確か毒は衝撃波生成みたいに追撃扱いって話でしたよね!?」


ミツルギ : おう、そうだぞー! 毎回生成した毒を次に使うスキルに上乗せする形だからな。

ミナト : 追撃になるから、毎回使う必要はあるよ!

サツキ : これは何かを思いついてる顔だねー?

G : あー、何となく予想は出来た。

いなり寿司 : 同じく俺も。

咲夜 : 咆哮で封じられないなら、手段は限られてくるもんなー。


 よーし、毒の仕様は思ってたのと合ってた! だったら、今の麻痺毒を何かの手段で消費させてしまえばどうにかなる! 今やるべき事は決まったよ!


「私の身代わりを探します! 『看破』!」


 すぐ近くに何かいない!? あっ、すぐ近くにLv15のウサギを発見! 私の盾になってもらうんだから、そこから逃げるなー!

 噛みつきをスキルで使うと効果時間中は離せないから、ウサギに普通に噛みついて……ヘビに向かって、首を振って放り投げる! これで代わりに……おぉ、ヘビが邪魔そうにしてウサギに噛みついた!


イガイガ : おぉ! 近くにいたウサギを身代わりにしたか!

いなり寿司 : 予想通りではあるけど、ナイス!

金金金 : これで麻痺毒は無効になったな。

サツキ : サクラちゃん、ナイスだよ!


「やった! 成功……って、嫌な予感がするんですけど!?」


 なんかヘビが露骨に動きを止めて、睨みつけてきてる感じなんだけど!? 急に追いかけてこなくなったのが怖いよ!


咲夜 : あ、ヤバい。あれって、溜めに入ってるよな?

神奈月 : ここで溜め攻撃!?

ミツルギ : ……なんか、下手なエリアボスよりも厄介な構成になってる気がするのは気のせいか?

富岳 : いや、気のせいじゃないだろうな。

チャガ : 進化目前のLvになってくると、この手の2つの進化先を持ってそうな個体が出てくるが……こりゃその中でも厄介な部類か。


「そういうのを聞いてるだけで、相当嫌な予感がするんですけど!? あー!? こんなとこに野イチゴ発見です!」


 良いタイミングですぐ近くに良いものがあった! 採集はしたいけど、今はそれどころじゃない! ここはかなり減ってるHPを全消費で全快させる! よし、回復完了!

 あ、そういえば地味に放電で削れて今のヘビはHP半分以下だよね? ふっふっふ、良いタイミングで回復出来たよね!


「だったら、これです! 『獅子咆哮』!」


 ヘビが溜めているなら、私も溜めるまで! そこまでタイミングに差がある訳じゃないし、このHP差なら多分いける!


咲夜 : まさかの溜め攻撃の応酬!?

チャガ : いや、全快出来たこのタイミングならありだ!

ミツルギ : サクラちゃん、この獅子咆哮は絶対に外すな!

ミナト : 外したら、一気に不利になるよ!


「はい、もちろんそのつもりです!」


 ヘビと睨み合って……あ、さっきの私の身代わりになったウサギがヘビを蹴ってるね! うん、ちょっとずつだけどヘビのHPが減ってるし、どんどんやっちゃえー! いっけー、ウサギ! さっきはまともに見てなかったけど、地味に屈強なウサギだったんだねー!


G : ウサギがなんかヘビを蹴りまくってるんだけど?

神奈月 : これは地味に予想外の展開だな?

いなり寿司 : でもじわじわとヘビのHPを削ってくれてるのはありがたいか。


「予想外ではありますけど、これはありがたいですね!」


 この状況でヘビのHPが減るのは私にとっては好都合! あ、このウサギも今日の私の助けになってくれてるし、スクショを撮っておこうっと! スクショを撮るぞー! ……うん、撮れた!


「っ!? 来ますね!」


 先に溜めを始めていたヘビが、溜めが終わったみたいで私に向けて凄い勢いで突っ込んできて、ダメージを受けた! これは威力の高い体当たり……じゃない!? それにしては、私のHPの減りが少なすぎるよ!

 あ、飛び跳ねるように地面に着地してまた突っ込んできた!? うっ、獅子咆哮で動けなくなければ、これは吹っ飛ばされてる気がする! わっ、また同じように着地して突っ込んできてる!?


「これって連続での体当たりって事ですか! でも……準備完了です! 獅子咆哮、発射!」


 このヘビの連続体当たり攻撃は明確に早かった! 普通にしてたら、多分態勢を崩されまくって、一方的にやられてた気がする!

 だけど、今は連続攻撃で威力を分散させたのが運の尽きだよ! 突っ込んできてるヘビの真正面に狙いを定めて……いっけー!


<成長体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<成長体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<サクラ【器用なライオン【雷】】が成長体:Lv19に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを2獲得しました>


「撃破、完了です! なんか疲れましたー!」


 なんだかウサギも巻き添えで倒しちゃった感じだけど、まぁいいや! とにかく、厄介だったヘビは無事倒せたよ! うぅ、それでもHPの4割くらいは削られたから、危なかったー!

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