第157話 少しの休憩


 さーて、さっきの一戦で進化に必要な最低限の進化ポイントは確保出来たはず! 2体倒したんだから、今の進化ポイントは46!


「あとLv2で未成体への進化が出来ますねー! そういえば、『器用』と『知恵』のどっちで進化するのがいいんですかねー?」


 私のライオン、今は進化先が2つあるんだよね。未成体への進化は雷の適応進化をしたままでいけるそうだけど、『器用』でも『知恵』でも相性は良さそうな気がする!


ミツルギ : 1キャラ目としては相当変則的な育て方になってるし、この場合どっちが良いのか悩むな……。

いなり寿司 : そもそもライオンを器用で育てるのがなー。

ミナト : んー、知恵が状態異常側で育ってる訳じゃないし、選ぶなら器用かなー?

富岳 : ライオンの器用の第7段階以降のスキルは何があったか……?

イガイガ : どうだっけ? ミツルギ、前みたいに攻略サイトを見てこいー!

ミツルギ : あれっきり攻略サイトを見ながらはしてないから!?


「あ、そこまでしてもらわなくて大丈夫ですよー! Lv20になるまでに、どっちにするか考えますから!」


 でも、今のでなんとなく方向性は決まった気がする! 私の知恵は状態異常に大きく影響を与える程の効果はないもんね。流石にここから更に他のスキルツリーを第6段階まで解放しようと思ったら進化ポイントが足りなくなる。

 だから、選ぶとしたら遠距離攻撃を更に強化する方向で『器用』での進化かな? うん、その方向でいこうっと! 多分、獅子咆哮みたいに溜めが必要なスキルばっかじゃないはず!


「それじゃ次の敵の捜索開始です! 『看破』!」


 あ、その前にHPが半分くらいまで減ってるし、果物は食べて7割くらいまでは回復させとこう! ちょいちょい果物は消費してるから、どこかで補充したいなー?


「そういえば看破で採集が出来る場所って、分かったりしないんですかねー?」


富岳 : 残念ながらそれはまだ無理だな。今はあくまで戦う相手の情報だけだ。

金金金 : あ、そうなのか。

イガイガ : そうなんだよなー。

ミツルギ : 採集ポイントは、今は自分で探すしかないんだよ。


「あー、そうなんですね……。それなら自分で探すしかないですか」


 うーん、看破で分かればありがたかったんだけど、分からんないのなら仕方ないよね。とりあえず敵を探しながら、採集出来そうな果物も探して移動していこー!


「さーて、次は何が出てきますかねー? そういえば、ここって大型の動物はあんまり出てこないんです?」


ミツルギ : 全くいない訳じゃないけど、数は少ないな。

サツキ : だから、のんびりしやすいんだよねー!

いなり寿司 : まぁあくまでここの敵より格上になった場合だけどな。


「確かにそれはそうですよねー!」


 今の私がのんびりと寛いでいても、敵が襲ってくるだけ! あ、そっか。別にのんびりしてても襲ってくるんだよね? だったら、HPが減っている今は無理に動かなくてもいいはず! あ、丁度いい感じに崖というか低めの段差になってる部分があった!


「よいしょっと!」


 という事で、HPを自然回復させる為に寛ぎ開始! 崖の陰に隠れるような形になるし、狙われる方向はそれなりに限られるよね。看破は使っておくから、近付いてきても大丈夫!


咲夜 : まだ危ないって話だったのに、なんか寛ぎだしたー!?

サツキ : サクラちゃん、休憩?

ミナト : まぁ一度HPを全快させるのはありかもね。


「はい、そのつもりです! どうも採集場所を見つけるのは苦手なので、死なないようにする為にも休憩ですねー!」


 看破で見つけられたらその辺もどうにか出来たんだけど、流石にそこまで都合よくはなかったもんね。だから、こうやって比較的安全そうな場所で動かずにHPを回復! 大真面目に攻略していく為の休憩なのですよ!

 見えている範囲にいる敵はLv16前後だし、私から攻撃を仕掛けなければ積極的に襲ってくる事はないはず。うーん、そう考えたら警戒すべきはLv18以上の敵だけだねー!


「こうして寛いでみたら、確かに気持ちいいですねー!」


 強風という程ではないけど爽やかな感じの風は吹いているし、のどかな雰囲気で平和だよねー。うん、この丘陵エリアが癒しスポットというのは納得!


サツキ : うんうん、サクラちゃんなら気に入ると思ったよー!

G : 俺としては森の枯れ葉の中で寛ぐ方が好きだなー。

咲夜 : それ、少数派!?

チャガ : いや、そうでもないぞ? リアルの喧騒から離れて、ただ寛ぐだけなら意外と良い場所だ。

ミナト : 地味で変に思われがちだけど、コタツの中で寛いだり、布団の中でゴロゴロしてるのと似たような安心感はあるんだよね。

咲夜 : え、そうなの?

G : 俺が虫好きプレイヤーだからって理由で偏見は止めてもらおうか!

咲夜 : ……なんかすまんかった。

イガイガ : まぁ今のは咲夜さんが悪いな。気持ちは分かるけど。

いなり寿司 : 確かに咲夜さんが悪い。気持ちは分かるけど。

G : そこで納得するのは止めてもらおうか!?


「あはは、森の枯れ葉の中でも、そういう寛ぎ方はあるんですねー! どこかで機会があれば、私もやってみたいとこです」


 今はまだロックされてるから虫は出来そうにないけど、そのうちやってみたいよね! 虫の種族としては何が操作出来るんだろ? とりあえず今まで戦った中ではカブトムシやクワガタはいそうだよね? 多分蛾と蝶も操作出来そう! うん、蝶で飛びながらってのもやってみたいなー。


「あ、看破がいつの間にか切れてますねー」


 でも、見えている範囲では近付いてきてる敵もいないし、特に問題ないかな。もう少しでHPも全快しそうだし、そこから看破を使って敵を探して――


ミナト : サクラちゃん! すぐにそこを離れて!

富岳 : ちっ、ミナトさんよく気付いたな!?

サツキ : え、何!?


「え、何がどうしたんです!?」


 状況がよく分からないけど、とりあえずすぐに飛び起きて離れよう! わっ!? さっきまで私がいた場所に大きめなヘビが突っ込んできたよ!? 1メートル以上の長さはあるし、なんだか太いよ、このヘビ!


「今、私って狙われてたんですか!? というか、ミナトさん、どうやって気付いたんです!?」


 今のヘビ、完全に私の視界の中にはいなかったよね!? 今のは流石に見落としじゃないと思うけど、気付いた理由が分からないよ!?


ミナト : 薄っすらと影が出てたからね。今のは気付かなくても仕方ないよ。

咲夜 : そんなのあったのか!?

ミツルギ : マジか!


「ミナトさん、凄いですね!? でも、助かりました! 『識別』!」


 まだ看破が再使用時間の最中だから、あんまり使わなくなってた識別でこのヘビの確認! 私に強襲を仕掛けてきた以上、強敵だと判断した方がいい!


『知恵あるヘビ』

 進化階位:成長体

 Lv:19


「やっぱり、私よりもLvが上で、さらに知恵ですか! わっ!?」


 大きな口を開いて鋭い牙で噛もうとして一気に跳ねるように近付いてきた!? 体当たりっぽい感じだけど、これは噛みつき攻撃!? うぅ、ヘビの攻撃パターンがよく分からない!


「このヘビ、相当危険な気がします! 『咆哮』! あれ、効きましたね?」


 横に飛び退いてダメ元で咆哮を使ったけど、萎縮になったよ? 知恵だからって確実に防げる訳じゃないのかな? 知恵での進化をした相手とは戦いたくないけど、こういう状況になるなら、どうしよう?


ミツルギ : これ、多分だけど知恵だけの個体じゃないな?

富岳 : 萎縮になったのが余計に危険な兆候だな。

ミナト : サクラちゃん、そのヘビは多分偏りがないバランスが良いタイプの可能性が高いから、要警戒!

金金金 : そういうのもあるのか!?

ミナト : 知恵で状態異常があっさり通る場合は、知恵のステータスが低めの可能性があるの!

チャガ : その分、他のステータスが強化されている!

ミツルギ : 分かりやすい基準的には、さっきの噛みつき攻撃は成長体からのやつだ!


「そうなんですか!? 知恵なのに、第4段階以降のスキルを使ってくるのはヤバそうですね! でも、咆哮が効くなら戦い方もありそうです!」


 ここでこのヘビは無視して逃げ去ってもいいけど、寛ぎ中に強襲されたのは気に入らないもんね。萎縮が入るならなんとか戦えそうではあるし、経験値も欲しいところ。

 何よりも多分バランスの良い敵って、これから先は普通に出てきそうだもんね! 偏った敵は何度か見たけど、そんな敵ばっかのはずがない! なら、ここでもし負けたとしても一度は皆さんがバランスの良い敵と判断した敵とは戦っておくべきだよね! もちろん勝つつもりで戦うけど!

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