第133話 次の目的地


 ちょっと時間はかかったけど、エリアボスの樫の木は無事に撃破完了! これで少しゆったりとして……。


「はっ!? ザリガニの時みたいに落雷で死ぬとかないですよね!?」


 周囲を慌てて確認したけど……特に何もない……よね? いや、油断するのはまだだよ! ここはしっかりと確認しないと台無しになっちゃう!


「『看破』! ……ふぅ、流石に変なのはいないみたいですね」


 流石にここまでやって異変が無ければ大丈夫なはず。雨が降り出す様子もないし、変な事は多分今回は大丈夫!


咲夜 : 滅茶苦茶警戒してるー!?

金金金 : 狐っ娘アバターの表情も少し挙動不審気味。

チャガ : まぁあのザリガニの撃破直後の事を考えたら、気持ちは分からなくはない。

サツキ : 全力ではしゃいでも大丈夫だよ、サクラちゃん!

ミナト : 今は特に気を付けるべき要素もないから、気を抜いても大丈夫だよー! ただし、最低限の敵からの奇襲には気を付ける事!


「あ、ミナトさんが大丈夫って言うなら大丈夫そうですね!」


 それじゃ少し気を抜いて、HPの回復の為にも少し休憩! そして、私は勝ったぞー! LVが上の樫の木相手に、私は無事に勝ち抜いた! ふっふっふ、状態異常の『萎縮』と『麻痺』の効果は絶大だね!


「今更なんですけど、木にも麻痺って効くんですね?」


ミツルギ : 基本的には知恵が高くなければ、大体の敵には効くぞー。

富岳 : 例外としては、サクラちゃんと同様に電気を扱ってくる敵くらいか。その場合は『麻痺耐性』を持ってる事になるからな。

いなり寿司 : まぁ敵のスキル構成が見れる訳じゃないから、その辺って推測なんだけど。

咲夜 : だよなー。でも基本的に敵のスキル構成は、プレイヤーと同じものになるって公言されてるんだよな。

イガイガ : それでもプレイヤーが使えるスキルと敵の行動の情報を照らし合わせて、どれが何かを使うのかを纏めてくれてる人がいるんだから大したもんだ。


「おー、そうなんですか! 確かにそれは凄いですね!」


 育成を進めていけば、敵の持ってるスキルが何かが見えるようになるのかと思ってたけど、そうじゃないみたいだね。

 色んなゲームの攻略情報を纏めてる人とかいるけど、そういうの調べ上げるのって大変そう! モンエボは初見の配信でやってるからそういうのは見ないけど、今まで他のゲームではそういう攻略情報にはお世話になってます!


「そう考えると知恵での進化って、相当厄介だったりします?」


 毒持ちの敵相手で色々あったけど、毒だけじゃなくて状態異常そのものが厄介だよね。多分電気を使う敵はそう多くはない気はするけど、それでも今の話的にいない訳じゃないっぽい!

 状態異常になる攻撃を使ってくる上に、状態異常への耐性が他よりも高いって事になるもん。あ、そういう意味でも看破で……途中ではあんまり知恵のステータスは上がってないよ!


ミツルギ : まぁ基本的には避けた方がいいな。

神奈月 : 知恵で進化した敵と戦いたい場合は、自分も知恵で進化させた方がいいぞ。もちろんちゃんと攻撃用のスキルか、通常攻撃用にステータスを上げた上でだけど。

富岳 : 状態異常に特化させた育成方針もあるからな。この辺りはスキルツリーの中に毒がある種族でやる事が多いんだが……その辺は聞いておくか?


「うーん、気にはなりますけど、詳細を聞くのは止めておきます!」


 毒を持ってそうな種族で毒に特化させる事も出来るんだねー! 今はまだ無理だけど、そのうち何かの種族でやってみたい気がする! ヒットアンドアウェイの毒でじわじわと仕留めるっていうのも面白そう。されたくはないけど。


サツキ : それで、サクラちゃんは次はどうするのー?


「そこは悩んでるとこなんですよねー。新しいエリアに進むか、時間を進めるか、このまま森でもう少し戦うか、どうしましょう?」


 今更言っても仕方ないけど、配信時間はもう30分も残ってないもんねー。締めにあの樫の木の撃破を持ってこれるように時間配分をするべきだったかも? あ、でもそれだと時間オーバーになりかねなかったからこれでいい?


金金金 : 狐っ娘アバターの悩み顔、発動中!

イガイガ : これはあれか!? 例のあれの登場か!?

ミツルギ : あー、あれか。

いなり寿司 : あれの出番か。

富岳 : まぁ既に定番化してるからな。

チャガ : 初めは驚いたが、もう慣れてきたもんだな。


「あ、あれですね!」


 なんだか今回は皆さんが要望してるし、そうしようかな? まだその演出用の賭場は出来てないけど、サイコロを転がすだけなら普通のテーブルの上でも充分だよね! 配信用のVR空間に拘るとしても、そこはじっくりと時間をかけて改修していこう!


「それじゃ例のあれをやっていきましょう!」


 まだライオンのHPは回復し切ってないけど、まぁ行動方針が決まってからでいいや! サイコロの出目次第では移動の実になる可能性もあるもんね。


「一旦VR空間に切り替えますねー!」


 という事で、和室の配信用VR空間に切り替えて、ライオンから狐っ娘アバターの姿にも変更! ふぅ、やっぱり和室でこの姿は癒し……!

 えーと、どの出目で何にするのかを考えないとねー。今の私が選べられる選択肢ってなんだろ?


「えーと、とりあえずエリアボスで確保した安全圏で時間を経過させて森で継続して探索が1つ目ですよね。河川域以外の方向ってそれぞれ違うマップだったりします?」


 まだ移動してないから、地味にその辺は分からないんだよねー。実は全部同じ場所に繋がっていましたって可能性もなくはないし、選択肢としては一応考えておかないと!


ミツルギ : あー、それじゃ具体的なエリアの特徴の説明は避けて、少しだけ説明だな。西部と南部は同じエリア。東部は別エリアになってる。

ミナト : 厳密に言うと北部も別エリアなんだけど、まぁそこはやってきた河川域だしねー。


 えーと、ここから北部……マップで言えば上だね! 上がここに来る前の河川域で、左と下が同じ場所に繋がってるんだ! 右は別エリア! うん、把握!

 というか、ゲームによっては東西南北が別の表記になってたりするからマップで上下左右で言ってたけど、その必要はないっぽいねー! 姉さんが方向音痴だから混乱しそうだけど、そこはいいや!


「……そういえば、ここって高台って言う割には登ってるような感覚ってなかったですね?」


咲夜 : それ、サクラちゃんが転びまくってて実感してなかっただけだから!?

ミツルギ : 毒キノコに殺される辺りまでは、緩やかな上り坂だぞ……。

イガイガ : そこまで行ったら少し急になってから、そこを上り切ったら残りはほぼ平坦な場所だな。


「え、そうなんですか!? あ、そういえばまだその部分と繋げてませんでした!?」


 この森自体はあちこち移動しまくってたけど、河川域の方はランダムリスポーンをして以降はそれほど埋まってないよ!? ぐぬぬ、完全にその目的は忘れていたー! うん、まぁそれは別にいいや。


神奈月 : あえて河川域に戻って、川の下流や湖を目指すって手もあるぞ?

いなり寿司 : 少し手間はかかるけど、ありっちゃありだな。

ミナト : それをするなら、1回時間は飛ばした方が良いかも? 敵が格下ばっかになっちゃうしね。

富岳 : まぁ湖も下流もここと同じLv帯になるからな。そこに行く場合は少しLvは上げておいた方がいいか。


「あ、そういう手段もありなんですか! という事は、一度草原に戻って更に別方向に行くのも可能にはなりますよねー」


 ふむふむ、時間を飛ばして湖や川の下流を目指すのもありなんだ。うーん、でもそれで何度も戻ったりしてたらキリがない気もするよ? 気持ちとしては行ってみたい気もするけど、行動範囲を広げるなら必要が出ない限りは元のエリアに戻る選択肢は無しにしておいた方が良い気がする。

 でも、新しいエリアには行きたいよね! うん、それなら選択肢はこれでいこう! 今回は時間を飛ばすという選択肢は無しで!


「今回は3択にします! 1か2が出たら東側のエリアに、3か4が出たら南側からその先のエリアに、5か6が出たら西側からその先のエリアに進みます!」


 下と左は同じエリアだけど、移動する場所が違えば何か変化はありそうだよね! というか、エリア自体が今までのとこよりも広そう!


「という事で、サイコロを取ってきます!」


 ふっふっふ、作った桐箪笥の出番がやってきた! 正座してたのから立ち上がって、箪笥の引き出しから出すように見えるようにして、サイコロを出現! そして机の前に戻って、再び正座なのさー!


「それじゃいきますねー!」


 机の上で思いっきりサイコロを転がす! さぁ、今回の出目は何になって、どこのエリアになるかなー? 進むエリア自体は2択だけど、どんなエリアかは分かってないから楽しみだね!

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