第132話 樫の木との決着


 うがー! 硬いよ、この樫の木! 戦う前から分かってはいたけども! それでも思った以上に面倒だった! でも爪とぎは続ける!


「やった! とりあえずこれでHPは削りました!」


 でも、そのタイミングで咆哮は効果切れ! 根に力が戻ったから、咥えてるのを離して、木の幹の上から退避! 色々と攻撃をしてる間に、獅子咆哮も含めて咆哮と噛みつき以外は再使用時間は経過したからこれでいこう!


「根本がお留守ですよー! 『振り回し』!」


 ふっふっふ、私は大人しく撤退していくわけではなーい! 起き上がろうと支えてる根を、側面から尻尾を振り回していく!


「……びくともしませんねー?」


 あれー? ここでもう一度盛大に転んでくれるところじゃないの? そこはそうなってくれていいとこなのに、HPが減るだけで普通に耐えちゃったよ、この樫の木!


ミナト : あ、サクラちゃん、危ない!


「え? わっ!? ぐふっ!」


 まだ起き上がってる最中なのに、根で突き刺してきた!? うぅ、今のは避け切れずに脚を貫通してる! わー!? HPが吸われてる!?


「一番避けなきゃいけないのを避けそびれました!?」


 うがー! HPを回復されるこれだけは避けなきゃダメだったのに、何をしてくれてるんですか、この樫の木! うぅ、折角削ったHPが回復していくよ!?

 このままだとマズいから、ここはこれを使って凌ぐ! 多分、これなら効果はあるはず! 硬化を使われる可能性もあるみたいだし、その対策も兼ねてだー!


「いつまでも人のHPを吸ってるんじゃないですよ! 『雷纏い』『体当たり』!」


 とりあえず突き刺してきてる根からは体当たりで強引に脱出を試みる! スキルでの攻撃はスキルで破るのみ! ふっふっふ、脱出成功!


「おぉ、麻痺も入りましたね!」


 よーし、変に攻撃を欲張って根に突き刺されて少しHPは回復されちゃったけど、まだ1割も回復はされてなかった! ここで雷纏いが使えるようになって、本当に良かったー!


サツキ : どんどんやっちゃえ、サクラちゃん! 攻撃チャンスだよー!

ミツルギ : チャンスなのは間違いない!

富岳 : これで1分間は硬化を防げると思っていい!

いなり寿司 : 一方的な攻撃タイム、延長!


 起き上がりかけていたのも倒れたし、本当に強いよ、雷纏いと麻痺の効果! ヒヤッとさせられたのはここから反撃させてもらうのですよ!


「はい、そうします! 『爪撃』『連爪』!」


 狙うのは当然、剥き出しになっている根! 硬化の再発動も妨害したし、雷纏いの効果時間で仕留め切りたい! 2つの爪でのスキルで4連続攻撃! これで残りHPは4割ちょっと! 回復された分以上のダメージは与えたよ!

 でも、雷纏いの効果がある近接スキルは全部再使用時間になっちゃったけど、通常攻撃で倒し切れるかな? うーん、考えられるだけの同時攻撃をしちゃえ!


「えいや!」


 まずは根に噛みついて、さっきみたいに爪とぎ開始! それに合わせて、尻尾で他の根を叩いていこう! ないよりはマシなはず!


チャガ : 3ヵ所からの同時攻撃か。

咲夜 : 地味にやってる事が器用なんだけど!?

ミツルギ : 複数部位での同時攻撃って地味に操作難度は高いんだけどなー。噛みつきは合わせやすいけど、尻尾を合わせるのは……。

ミナト : え、そう? 割と簡単だよ?

神奈月 : 出たな、ミナトさんの当てにならない割と簡単発言!

G : まぁ大量の敵を倒すには、そういうのが当たり前に出来てこそだしなー。

イガイガ : 一番最初はまともにキャラの操作が出来ずに転んでいたと言って、誰が信じるのだろうか……。

真実とは何か : だが、それが真実である。

いなり寿司 : あー、確かにそれは分かる。まぁ変なとこで変な行動はするから、ガチな初心者ってのは分かるけど。

ミツルギ : ……変な疑いをかけるなよ?

いなり寿司 : ちょっと前にそんなのもいたけど、俺はやらねぇよ!

サツキ : サクラちゃん、また変なのが出たら相談してね? ……そいつ、許さないから。


「ちょっと待ってください! 気持ちはありがたいですけど、サツキさん、何をする気です!?」


 姉さんは知名度もお金も普通以上にあるけど、冗談抜きで何をする気なの!? 兄さんも合法的に何かやるみたいな事を言ってたけど、そこに姉さんが加わると更に怖いよ!? まぁ本当に前みたいな事があれば、多分頼るけど!


サツキ : やだなー。可愛いサクラちゃんの為なら、なんだってやるよー! 痛!? え、なんで今の怒られたの!?

いなり寿司 : ……何をやるのかが読めなくて怖い。

ミナト : あはは、なんだかサクラちゃんは家族に愛されてるねー!


「うぅ、そう言われるとなんだかむず痒いですね!?」


 でも、それは否定はしたくないし、多分そうなんだろうね。今日は姉さんのマイペースっぷりに振り回されてばっかだけど、それでも姉さんなりに本当に応援してくれて、楽しんでくれているっぽいもん。

 うぅ、なんか気恥ずかしくなってきたから、この話は終わりー! 


「……あれ? なんか思った以上に樫の木のHPが減ってません?」


 尻尾の攻撃も加えてたとはいえ、それでももうHPが3割くらいまで減ってるってどういう事!? ただ通常攻撃をしてただけだよ!?


金金金 : 狐っ娘アバターが気恥ずかしそうにしてたら、一気に全ての攻撃の速度が上がってた件について。

チャガ : この辺の操作はイメージが重要になるからなぁ。気恥ずかしさを誤魔化したいのが、キャラの動きに反映された感じか。

サツキ : そうなの、サクラちゃん?


「もしそうだとしても、解説しなくていいですよ!?」


 うぅ、何となく理由は分かったけど、それを具体的に解説されるのも気恥ずかしいよ! 事実だとしても、そういう解説はいらないのです! むぅ、これだから姉さんのマイペースさって憎めないんだよね。


 ふぅ、とりあえずもう雷纏いの効果が切れそうだから、気を引き締めていかないと! えっと、他のスキルも大体は再使用時間は経過してるね。麻痺の効果が切れたと同時に咆哮で怯ませて、樫の木には何もさせずに倒し切る!


「ともかく、かなりの大詰めです! 『連爪』『爪撃』!」


 噛みつきは温存しておいて、雷纏いの効果があるうちにもっと削る! うん、これで残りHPは2割! 後は麻痺が解除になる瞬間を狙いながら、普通に通常攻撃で!


咲夜 : あれ? なんでスキルでの攻撃を止めた? 再使用時間が過ぎたの、いくつかあるよな?

ミナト : ううん、今はこれで正解だよー。使えるようになったら、すぐ使うのだけが戦略じゃないしねー。

咲夜 : ……いつもそうしてた俺に、精神的なダメージが!

イガイガ : まぁ使えるようになったら、使いたいとこではあるもんな。

いなり寿司 : 色々と考えながらやってるのが、ちょっと意外だが……。

富岳 : いや、サクラちゃんは確実に色々考えながらやってるぞ? その方向性が変なのと、その考えてる事以外は頭から抜け落ちてるようではあるが。

チャガ : ……言い方が地味にひでぇな。まぁほぼ同意だが。

サツキ : サクラちゃんは集中すると周りが見えなくなるとこがあるからねー!


「なんかその言い方は失礼じゃないですかねー!? というか、サツキさんにそれは言われたくないです!」


 私だって、私なりに色々考えながらやってるもん! 確かに見落とす事とかあるからその辺はあまり否定できないけど、その辺は私の無意識が拾って対処出来てたりするから問題ないもん!

 それに集中すると周りが見えなくなるのはむしろ姉さんの方だよね!? ……私もそういうとこが無いとは言えないから、あんまり強くも言えないけども!


「わっ、そうしてる間に麻痺が切れましたよ!? 『咆哮』!」


 うがー! 地味にタイミングを見計らってたのに、危うく見落とすとこだった! とりあえずなんとか咆哮で怯ませるのは成功!

 えっと、まだ硬化は使われてないよね? 硬化を使われた上で萎縮になってたら、無駄撃ちにも程があるんだけど……よし、セーフ! 危ない、危ない! 今のをミスってたら、しばらく攻撃を控えて回避に徹する事になってたかもしれないもんね!


「さぁこれで大詰めです! 『体当たり』からの『振り回し』!」


 うふふ、色々と面倒な樫の木だったけど、これで残りHPは1割を切った! これなら倒し切れる!


「これで最後です! 『噛みつき』! って、なんで微妙にHPが残るんですか! ここはしっかりと決めさせて下さいよ!」


神奈月 : 絶妙に残る、僅かなHP。

いなり寿司 : 今ので決められてたら良かったんだけどなー。

ミツルギ : まぁ残ったものは仕方ないって!

サツキ : 今度こそトドメだよ、サクラちゃん!


「うぅ、それはそうなんですけど、なんだか釈然としませんよ!? えぇい、今度こそ終わりです!」


 最後はスキルで決めたかったけど、仕方ないから通常攻撃で根に噛みつく! 多分これでも仕留め切れるはず!


<成長体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>

<エリアボスを討伐しました>


<サクラ【器用なライオン【雷】】が成長体:Lv15に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを2獲得しました>


 おぉ、沢山経験値が入って、Lv15に上がったよ! そして結構ライオンのHPも減りながらもエリアボスの撃破完了! 今回はミスはそれほどなかったと思うし、かなり頑張ったよ、私!


「ちょっと時間はかかりましたけど、これでエリアボスの樫の木は撃破です!」


サツキ : サクラちゃん、ナイスファイト!

富岳 : お疲れさん。

ミツルギ : サクラちゃん、お疲れー!

ミナト : お疲れさまー! とりあえずこれでここの森はクリアって感じだね。

金金金 : サクラちゃん、お疲れ。ん? エリアボスを倒したら、そのエリアはクリアなのか?

ミナト : あくまで目安としてだけどねー。ここで時間を飛ばすか、他のエリアに移動するか、そのままの状態で続けるかを選ぶようになる感じかな?

富岳 : 時間を飛ばし過ぎてない限りは、基本的にそのエリアの最大Lvはエリアボスになるからな。


「あ、そうなんですね! それじゃ次はどうしましょうかねー?」


 えーと、配信時間は……あと30分を切ったくらい。うん、ここから何をしようかなー?

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