第112話 森の探索


 ふふーん! 毒ヘビを倒したし、夜の森の探索を再開していこー! 


「あ、もしかして私が見落としていた敵ってヘビとかそういう感じですかねー?」


ミナト : うん、ヘビを筆頭に夜行性の小動物を大体見落としてた感じだねー。

いなり寿司 : そもそもまともに足元を見てなかったから、その辺は大体見落としてるよな。

富岳 : もしくは木の枝の上にいるフクロウとか、虫とかだな。

ミツルギ : 夜の森は、木の枝の上か、地面に注意だぞ。


「やっぱりそうなんですね! よーし、それじゃその辺りを注意しながら進んでみます!」


 さーて、気を付けるべき方向は分かったし、頑張ってやっていこうー! んー、マップは解放したけど、森に入ってきた切り替え位置まではまだ繋がってないんだよね。

 ランダムリスポーンしてから、マップ解放の為に適当に走り回ってたし、ここで整理しておくのが良いかな? よし、そうしよう! 配信中なら変な見落としがあれば皆さんが指摘してくれるし!


「とりあえず、マップの踏破部分を繋げましょう!」


 やっぱり何をするにも、目的は決めていかないとね! ふっふっふ、とりあえず今の目標はこれに決定!


イガイガ : あ、まだ繋がってないのか。

富岳 : まだどこの端にも辿り着いてないみたいだし、ひとまずは繋げておいた方がいいか。

ミナト : うん、確かにねー!


 うん、皆さんも同意してくれている! それじゃ森への入り口へと出発なのです! 疾走……は、使わない方が良い? うん、そうしよう!


「今回は疾走なしで行く事にしますね! あ、そういえば放電の溜めって、移動しながらでも有効なんですかー?」


 再使用時間は過ぎた放電だけど、溜めが移動しながら出来ると嬉しいよね! マニュアル操作という特殊な仕様があるから、何が出来るのかを確認していきたいところ!


サツキ : それはマニュアル操作なら可能じゃなかったっけ?

ミツルギ : そうなるなー。照準補正ありなら無理だけど、マニュアル操作なら溜めながらでも移動は出来る。

咲夜 : その辺、自由度は高くなるんだよな。


「おぉ、溜めながら移動は出来るんですね! それでは溜めながら行きましょう! 『放電』!」


 そしてマニュアル操作に変更! 獅子咆哮と違って電気を溜めながら動けるよ! ちゃんと走れもするよ!

 いぇーい! 雷纏い程ではないけど、バチバチと言いながら周囲が少しだけ明るくなった! 


ミナト : あ、サクラちゃん。夜の敵は、灯りがあると近寄ってくるのもいるから要注意ね!

G : そうとも! 虫系の敵は光に寄ってくる!

イガイガ : 今、1人寄ってきたな。

咲夜 : 確かに!

サツキ : あ、例の害虫の人だ。

G : 害虫の人とは失礼な!? あ、サクラちゃん、こんばんは!


「Gさん、こんばんは! なるほど、この状態だと虫系の敵が集まってくるんですね! それは望むところです!」


 ふっふっふ、わざわざ敵の方からやってきてくれるというのなら好都合! やってきた時に放電の溜めを止めて、感電させるまでなのです!


富岳 : あー、発動してから言っても仕方ないが、溜めは永続的なものではないからな。最大まで溜めたら、発動の猶予期間中に使わななければ無駄撃ちになるぞ。

真実とは何か : 気を付けるべき真実である。

咲夜 : ふと思ったけど、それって誘蛾灯?

いなり寿司 : あー、言われてみれば確かに。


「富岳さん、了解です! ……誘蛾灯ってなんでしたっけ?」


 なんか聞いた覚えはあるけど、どういうものだったかがパッと思いつかないよ? う-ん、どんなのだっけ?

 それはいいとして、溜めが永続的ではないのは要注意だね! 一番の理想は最大まで溜めた状態で敵が姿を現す事! それを放電で一気に攻撃してしまうのが良さそう。


G : 誘蛾灯とは、その名の如く、蛾を筆頭に虫を誘き寄せる灯りの事だ! 昆虫採集に使うぞ!

咲夜 : 性質的に集めるものだけど、今言ってるのとは何か違う!?

イガイガ : 今言ってるのは、光で集めて、電気で焼き殺すやつだろうな。ほら、日が暮れた後に、色んな店で虫が集まってるあれ。


「あぁ、あれですか! あれって虫を電気で焼き殺して……って、まさしく今の私がしようとしてる事ですね!?」


 うん、咲夜さんの言ってる事はまさしくそうだね! そして、それは間違いなくこの夜の森では有効な手段!


「そう言ってる間に正面から何か飛んできましたね! それでは『識別』って、発動しませんよー!?」


 えぇ!? なんで識別が発動しないの!? わっ! なんか黒い塊が突撃してきてる! とりあえず周囲を確認して緊急回避! 闇雲に回避したら周囲の木に当たるから……右前方が空いてるからそこへジャンプで回避!

 よし、今回は無事に回避成功! ふふん! 原因さえ分かってしまえば何度も同じ失敗を繰り返しはしなーい!


「わっ!? 真後ろの木が倒されましたよ!?」


 黒い何かが突っ込んでいった先にある木が、凄い音を立てながら倒れていった! 今の、スキルでの体当たりかな? うん、とりあえず回避して正解!


イガイガ : サクラちゃん、放電が発動中だから他のスキルは使えんぞー!


「あ、スキルの使用中は基本的に他のスキルは使えないんでした!?」


 うぅ、威嚇みたいな例外があるとはいえ、そんな基本的な仕様をど忘れしてたー! ぐぬぬ、マニュアル操作だから例外だと勘違いもしてた気がする!


「まぁ良いです! それではまだ最大まで溜まってないですけど――」


ミナト : サクラちゃん、もう1体来るよ!


「え!? わっ!?」


 うぅ、本当に目の前から何か他の敵が飛んできてた! 咄嗟に前脚で叩き落そうとしたけど……なんか挟まれてるって、クワガタだー!?


「うがー! なんかクワガタに脚を挟まれましたよ! あ、さっきの黒い何かはカブトムシですか!?」


 また飛んできた黒いのを避けたら、今回は姿を確認出来た! うん、立派な角があるからこれは明確にカブトムシ!


「2対1ですか! だけど、良いタイミングで放電が最大まで溜まったので、一気に削っていきます!」


 マニュアル操作なら標的が自由に設定出来るって事は、狙いを2ヶ所同時に分散させる事も出来るんじゃないかな? とりあえず、やるだけやってみよー!


「いっけー!」


 標的はカブトムシとクワガタの両方! イメージ的には、私のライオンの前脚を挟んでいるクワガタを感電させてから、そこからカブトムシに向けて放電する感じで!


ミツルギ : おぉ!? やっぱりサクラちゃんは、マニュアル操作の適正があるな。

いなり寿司 : まさかの同時攻撃!

イガイガ : お、カブトムシの方は麻痺したか。

富岳 : それでも2対1だ! 色々と気を付けろ!


「はい! とりあえずクワガタには離してもらいます! 『振り回し』!」


 このタイミングでカブトムシに麻痺が入ったのはラッキーだけど、そっちは放置で! 今はまだ挟み続けて私のHPを削っているクワガタを振り払う! 単純に振り回すだけじゃなく、クワガタを近くの木の幹に叩きつける感じで!


「よし、離しましたね! 『噛みつき』!」


 あ、識別しないままクワガタに噛みついちゃった。うん、まぁいいや! 思った以上に放電でHPは削れてて、今の噛みつきで半分を切ったしね。


「むぅ……先に咆哮を使っておきべきでした。暴れ過ぎですよ、このクワガタ!」


 一応ハサミの部分は避けて噛みついたけど、目の前で開閉されてるハサミを見るとなんか危機感があるよ! でも、メインの攻撃場所は届かないんだから、私が有利!


「このクワガタ、地面に突き刺しときましょう! 雨で地面も緩んでますし、多分刺さるはず!」


 という事で、えいや! ライオンの顔が地面に擦れるくらい近いけど、まぁ多少の汚れは別にいいよね!

 おぉ、見事に突き刺さった! うん、思った以上にあっさりと突き刺さったね! クワガタのハサミが丈夫だったからかな?


「うーん、これはすぐに脱出されそうなんで、追撃をしておきます! 『爪撃』!」


 おっ、思ったより刺さったけど、変な手応えがあった。これ以上刺すには、ちょっと地面が固いみたい? うーん、もうちょい深く埋めておきたいよね。


ミツルギ : はい!?

咲夜 : そんなのあり!?

ミナト : あはは、それは流石にしたことないなー?

富岳 : なるほど、そういう手もありか。


「もうちょっと埋まってくださいね! 『体当たり』!」


 昨日のザリガニ戦での教訓! 自分より小さな相手への体当たりは狙いをしっかり定めて、頭突きをするようなイメージで体当たりをする事!


「よし、成功です! さて、それじゃカブトムシの方を相手にしましょう!」


 なんか固い感触があったけど、それを強引に突破したのかクワガタのほぼ全身が埋まってくれた! これですぐには脱出してこれないよね!


「あ、麻痺が解けて……また突っ込んできてますけど、そうはさせません! 『咆哮』!」


 うふふ、これでカブトムシも怯んで落下した! えっと、放電で2割ちょっとは削れてたんだね。……最大限まで溜めた割には威力が低くなーい?


「『連爪』! 放電の威力、さっき使った時より微妙じゃないです?」


サツキ : 敵の数に合わせて、威力が分散するんじゃなかったっけ?

ミナト : うん、そうだよー! 総ダメージ量は一定で、当てた敵の数に応じて等分だねー!

富岳 : ま、そういう仕様だな。広範囲攻撃として使いたい場合は、スキルLvを上げて威力そのものを上げるべきだ。


「あ、そういう事なんですか! それなら納得です!」


 そっか、放電は獅子咆哮みたいに範囲内でも敵の数に関係なくダメージを与えられる訳じゃないんだね。

 マニュアル操作でどうとでも範囲を変えられるからこその制限かな? でもスキルLvが上がれば分散しても大丈夫なくらいな威力にはなると!


「さーて、それじゃカブトムシとクワガタをしっかり倒していきましょう!」


 クワガタは地面に刺したし、まだ怯んでるカブトムシも地面に刺してみようかな? うん、クワガタに使ったばっかで少し待たないと使えるスキルは殆どないし、ちょっとやってみよー!

 1体相手なら再使用時間は回るけど、2体同時だとスキルの使用の余裕がないしね。まぁここら辺はスキルLvが上がるまで仕方ない!

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