第77話 追撃の衝撃波の使い方


 水中にいる敵との戦い方の方針は決まったー! とりあえず実験を衝撃波生成の効果の実験からだね。


「あ、少し前にウサギを発見です!」


 あれは……特に白い模様も見当たらないから一般生物かな? でも、昨日の実況外での戦闘中でただ単に角度によって白い模様が見えてないだけという事もあったんだよねー。

 別にこの河川域では今のところ幼生体は見かけてないから、一般生物だったら即死だしそのまま攻撃でも良いんだけど。


ミツルギ : お、確かにいるな。

咲夜 : あー、一般生物と成長体のどっちだ?

富岳 : 見分けがつかない時は大体一般生物だ。まぁその辺りは識別で確認してみるといい。


 ふむふむ、別に識別しなくてもどうにでもなりそうな気はしてるんだけど、今は実況プレイだし可能な範囲で使っていこうかな。あ、そういう事なら、さっき何気なく思いついてた事をやってみよ!


「少し実験の『識別』です!」


 えーと、衝撃波の追撃の有無は……あったー!? 冗談だったのに、識別でも発生するんだ!? よし、追撃ありで識別を発動!


『ウサギ』

 分類:一般生物


 そして識別内容が表示された瞬間にウサギが死んだー!? え、本当に出来ちゃったよ!? というか、思った以上に上の方に吹っ飛んで……あれ、どこまで吹っ飛ぶの?


金金金 : え、識別でも衝撃波って発生すんの!?

富岳 : ……相変わらず、妙な小技を自力で見つけてくるもんだな。

ミツルギ : サクラちゃん、それで攻撃は出来るんだけど、注意点もあるから言っとくぞ?


「これ、小技なんですね!? えっと、注意点があるんです?」


 そもそも本当に識別で攻撃が出来た事がびっくりなんだけど、そこに注意点まであるのー? どんな注意点なんだろ?


ミツルギ : 識別の場合、衝撃波が発生する方向性がランダムなんだ。

ミナト : 下手をすれば、敵の群れの中に吹っ飛ばす事になるんだけど……あっ。

咲夜 : あー、丁度いい例が現れた。


 あ、吹っ飛んだウサギが近くにあった草むらに突っ込んで……ガサガサと何かが動き出したんだけどー!? え、そんなのありなの!?


「なんで大根が歩いてるんですかー!?」


ミツルギ : とまぁ、予想もしてない敵との戦闘になる事があるから基本的に非推奨だ。

ミナト : 植物系種族は根で歩くのが基本だよー。


「よーくわかりました! とりあえずこのふざけた大根をぶっ倒します!」


 二股に分かれた大根が歩くんじゃなーい! うがー! 木のチュートリアルをした時に根の操作が推奨になってたし、モンエボではこれが普通みたいだよねー!?

 あ、でも歩く大根って他のゲームでマンドラゴラとかが敵でいたりするし、それほど変でもないかな? よーし、それじゃまずこの大根を識別して……。


「って、肝心な時に識別が使えないじゃないですかー!?」


 うがー! 普通に敵の情報を確認したい時に、識別が使えないー!? どういう大根なのかを見させろー!


富岳 : まぁ、場合によってはそういう状況になるのも一種のデメリットか。

ミツルギ : そこは衝撃波は関係ないけどなー。


「うぅ、とりあえず識別で衝撃波の利用は止めときます……。とりあえず歩く大根はぶっ倒すのですよー! 『投擲』!」


 まだ歩いている大根とは距離があるから、小石を取り出して衝撃波の発生をありにして投擲を発動! 出てきたタイミングとしては丁度いいから、実験台になってもらうのです!


「おぉ、当たった部分からなんか吹っ飛びましたね!?」


 思った以上に投擲の追撃として発生した衝撃波は効果があった! あ、でもダメージ自体はそれほど多くはなさそうだし、距離が離れちゃった。

 うーん、これは距離を詰めたい場合には使いにくそうかも? 逆に遠距離のみで戦いたいならありっぽい!


金金金 : あー、こりゃ完全に遠距離で単発向けか。

ミツルギ : 遠距離の連続攻撃でも使えなくはないんだが、その場合は吹っ飛ぶ方向も計算して使う必要があるからなー。

咲夜 : 上手い人は、自分の手前に吹っ飛んでくるようにしながら、そこから近接攻撃に繋げるんだよな。


「おー! そういうやり方も出来るんですね!」


 ふむふむ、衝撃波の使い方にはそういう工夫方法があるんだねー。まぁちょっとやってみたくはあるけど、多分出来ないから気にしない!


「わっ!? 大根が走ってきましたよ!?」


 待って、待って、待って! この大根、二股に分かれてるけど、普通に走ってくるんだけどー!? しかも結構早いんだけどー!?


「なんかこの近付かれ方は嫌なんですけどー!? 『咆哮』!」


 今度は咆哮で衝撃波をありにして発動! おぉ、怯んで動きが止まった直後に吹っ飛んでいった! そしてそのまま怯んだままだー!


ミナト : あはは、まぁその辺は慣れるまでは驚くよね。

富岳 : やってる間に、よくある光景にはなるんだがな。

ミツルギ : まぁ、それは確かに。変なのは植物に限った話でもないしなー。

咲夜 : 普通の生物ではあり得ない動きは、モンエボではよくある事。

金金金 : そこら辺はオンライン版もオフライン版も共通か。


「なんというか、色々と変なことに慣れる必要がある気がしてきましたよ!?」


 皆さんの反応的に、この大根みたいな変なのは特別じゃないっぽいし、普通に出てくるみたいだよね! まぁ木をちょっとやった時に、根で移動するのをチュートリアルで推奨されたんだし、それが標準かー!


「ともかく、今は大根を倒します! 『体当たり』!」


 大根が怯んでいる間に、一気に距離を詰めて倒しきる! この大根はもう既にHPは6割くらいまで減ってるし、防御力もHPはあんまり高そうじゃない!

 よし、体当たりが当たってHPが3割を切ったね! スキルでの体当たりは普通の時より勢いがつくから、飛んでいく前の当たった直後に追撃だー!


「『噛みつき』!」


<『噛みつきLv1』が『噛みつきLv2』に上がりました>

<『捕食還元』の効果で、進化ポイントを1獲得しました>


「おぉ!? 捕食還元の効果が初めて出ましたよ!? それに噛みつきのLvも上がりましたね!」


 やったー! 昨日の実況外の戦闘中には1度も出なかったのに、ここで進化ポイントが手に入ったのは嬉しいのですよ! そして更に噛みつきのLvが上がったー!


金金金 : サクラちゃん、おめでとう!

ミツルギ : お、地味に初めての獲得なのか。

富岳 : ま、それはボーナスで貰ってると思えばいい。

咲夜 : えっと、これで今のサクラちゃんは進化ポイント11か?

ミナト : 多分そのはずだねー。


 全然効果が出なくて使えないものと思ってたけど、こうして実際に進化ポイントが手に入ると嬉しいものだねー! よーし、出来る限り戦闘中には噛みつきを使っていこうっと!


「わっ! 暴れ出しましたね、この大根! というか、葉っぱを飛ばしてこないでくださいよー!」


 うぅ、大根に噛みついたままだから、飛んでくる葉っぱの回避が出来ない! 大根とはいえ、普通に葉っぱはある状態だからそっちでも攻撃してくるのー!?


「大根の葉っぱなんて、切り落としてしまえー! 『爪撃』!」


 噛みつきの効果が切れたけど、その状態で噛みついたままで爪で攻撃だー! もうHPはほぼ尽きているから、これで終わるはず!


<成長体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


「歩いて走る大根、撃破完了です!」


 ふぅ、ちょっと葉っぱの回避が出来なかったから結構HPが減っちゃったなー。でも、とりあえず衝撃波の追撃の効果は分かった!


「この衝撃波生成、使えますね!」


 これなら水中の敵をピンポイントで狙い撃ちにして、陸地の方へ引っ張ってこれれば勝てそう! 水を飛ばして遠距離攻撃をする魚でも、再使用時間を待てば遠距離だけでもなんとか戦えそう!


ミナト : あ、サクラちゃん、その右側の方に野イチゴがあるよー。


 おぉ、確かに野イチゴがあるね! ちょっとHPは減ってるし、良いタイミングでの発見だー! ミナトさんが教えてくれてるから、これは毒ではないはずさー!


「本当ですね! それじゃ採集をしてきます!」


 ふふーん、とりあえずこれで回復の為のアイテムが手に入るー! それじゃ咥えて……あ、それじゃ全部使用して全回復になって、採集にならないんだった!

 ふー、危ない、危ない。ギリギリでちゃんと採集の仕様を思い出して良かったー!


咲夜 : サクラちゃん、その場で食べずにちゃんと採集にしような? 全回復に使ったら駄目だぞ。

ミツルギ : いや、いくらなんでも間違えはしないだろ。


 ぎくっ!? さ、咲夜さん、あなたはエスパーなの!? でも、ギリギリで自力で思い出してるからセーフ! ついさっきまでそうなりかけたけど、言われる前に気付いたからセーフ! セーフと言ったらセーフ!


「や、やだなー! 咲夜さん、それくらいはちゃんと覚えてますって!」


金金金 : ん? 狐っ娘アバターの目が泳いでる?

咲夜 : 冗談だったんだけど……え、マジで?

ミナト : さぁ、サクラちゃん! 採集をやってから、川へと向かおうー!


「はい、そうですねー!」


 よーし、ミナトさんが話を流してくれてるので、全力にそれに乗っかっていくぞー! とりあえず、ライオンの前脚で野イチゴに触れて、ちゃんとアイテムとして採集開始!

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