第75話 3回目の配信


 今回のは畳を8枚ほど用意したから、8畳の広さだねー! もっと広くも出来るはずだけどそれほど物を置くわけでもないし、このくらいの広さがあれば十分なのさー!

 って、あれー!? 畳のデータが1枚分しかないよ!? えー、なんでー!? あ、読み込んでるファイル名が変わって……って、畳のファイル名が『畳は1枚分だけにして容量を節約しろ』ってなってる!? ぐぬぬ、兄さんの仕業かー!? 折角8枚分、それぞれ別に作ったのにー!


 んー、まぁいいや。個別に細かく微調整して使い込んだ風にしたかったけど、そこまで作る時間はなかったからほぼ変わらないしねー。とりあえずサクサクと畳を敷いていくのです!


「ふふーん、これで畳の設置は完了です! さて、次は障子や襖をはめていきましょう!」


 重さがないから、軽く持ち上げられて楽だねー! でも構造的には姉さんの部屋の実物を見ながら作ったから、これをはめ込めば普通に開閉出来るはず!

 とりあえず1枚ずつ敷居にはめ込んで……うん、問題なし! この辺のサイズの調整はよく分からなかったからアプリの中にあったテンプレートを使ったけど、問題なさそう!


「うん、ちゃんと開け閉め出来ますねー!」


 ふっふっふ、テンプレートを利用したとはいえ、ただのサイズだけが決まってる真っ白なやつだったしね。襖は薄っすらと桜の模様を入れてみたし、障子もちょっと敢えて穴を開けて花びら型のシールで補修した感じにしてるもんね!

 

金金金 : 地味に桜模様があちこちにある。

ミツルギ : 芸が細かいなー。

ミナト : というかサクラちゃん、妙に和室の扱いの手際がいいね?


「家に和室がありますからねー! 年末の大掃除とかで外したりするんですよー!」


 そして、私が穴を開けてしまった障子や襖の修繕をする事もあったからね! お母さんや姉さんに『自分でダメにしたものは、自分で直しなさい!』って怒られて、何回も張り替えてたらやり方も覚えるのですよ!


ミナト : あ、そうなんだ。そっか、それなら納得。

ミツルギ : なるほどなー。ところで、障子の開閉が出来るなら外側が真っ白ってのも微妙じゃないか?

金金金 : それは確かに。


「あ、そういえば部屋の中は用意しましたけど、外側は考えてなかったですね」


 ふむ、確かにミツルギさんの言う通りかも。折角、障子が開閉出来るし、どうせなら縁側とかも作りたいよねー? 配信用のカメラの位置は変えられるし、縁側で座って配信というのも楽しそう!

 そうなると姉さんが作ってくれた憩いの部屋みたいに、満開の桜がある庭みたいなのを用意すべき? んー、勝手にやると兄さんに怒られそうだから、そこは相談してからやろうっと。


ミナト : サクラちゃん、背景セットなら標準でいくつか用意されてたはずだから、とりあえずそれを使ってみたら? 無料の標準装備だから種類はそんなにないし、そこまで高品質じゃないけど、その分軽いよ。


「え、そんなのあるんですか!?」


 そういえば、標準で配信用のVR空間にどういうのが用意されてるかって全然確認してなかった! よし、間に合わせでいいから、その辺を確認してみよう!

 えーと、設定項目を開いて……多分ここ! うん、当たってた! えーと、配信セットがあるけど、配信スタジオ風、普通の庭付き一軒家風、石造りの家風……うーん、どれも誰かの配信で見覚えがあってなんか微妙!


 というか、セットじゃ意味ないよ! あ、個別パーツってのもあった。えーと、背景素材の項目があるから……うーん、草原とか住宅街の庭とかは違うなー。オフィス街とかどういう配信で使うの?

 あ、竹林がある! これなら和室の雰囲気に合いそうだから、とりあえずこれにしようっと!


「間に合わせで竹林にしておきますね!」


 という事で、背景は竹林にして、障子を開いてみる! おぉ、ちょっと雑な感じの風景っぽいけど、それでも真っ白な背景よりも遥かに良い!


ミツルギ : ふむふむ、良い感じだな。

金金金 : だなー。でも、ほとんどこっちのVR空間は使われないような……。

ミナト : あはは、まぁ配信開始までの待機中とかはこれで良いじゃない?


「そうですよー! 少なくとも私は10分はこっちで待つんですから、その間の環境整備です!」


 とは言ってみたものの、よく考えたらここの作り込みって配信には殆ど関係なかったー!? ううん、私の自己満足の為にやったんだし、私が満足すればそれでよし!


咲夜 : うおっ!? なんか全然違う雰囲気になってる!? サクラちゃん、こんばんは!


 おぉ、咲夜さん、良いリアクションをありがとう! うふふ、折角模様替えをしたんだし、こういう反応があると嬉しいね!


「咲夜さん、こんばんは! 丁度模様替えが終わったとこですね!」


咲夜 : あ、そうなのか。それにしても、思いっきり雰囲気が変わったなー。

金金金 : 和服の狐っ娘アバターにはこっちが似合っている。

ミツルギ : 確かになー。

ミナト : うん、それは確かにねー!


「そう言ってもらえると、模様替えした甲斐がありますね!」


 いえーい、似合ってるって言ってもらえたよー! まだ足りてない小物も色々あるけど、それについては追々にだね。

 さて、それじゃ18時もきたし、和室に合わせて正座をして、今日のモンエボも配信を開始していくぞー!


「それでは18時になりましたので、今日のモンエボの初見プレイの配信を開始します!」


 という事で、モンエボを起動だー! さて、昨日の配信外でやってからの続きをやってくぞー! ゲームが起動して視点がそっちに切り替わったから、まずはプレイする種族の選択を――


ミナト : そういえば、サクラちゃん、動かない木をやってたね?

ミツルギ : あー、うん、やってたなぁ。

咲夜 : あれを配信中にやってたら、色々とツッコミたかった。

金金金 : あれって、聞いた話じゃ……あぁ、これはネタバレか。

ミナト : それで、配信は木とライオン、どっちでやるのー?


「木の方の事は気にしなくていいですよー!? とりあえず配信ではライオンのクリアを目標でやっていきます!」


 ちょいちょい配信外で木の方も育ててはみるつもりだけど、配信についてはライオンが最優先! という事で、種族はライオンを選択してゲーム開始!



 よーし、河川域にライオンでやってきた! それじゃ今日の配信を本格的に開始だー!


「さて、今日の目標は何にしましょうか? とりあえずあのザリガニへのリベンジですかねー?」


 次の進化を目指すのもありだけど、成長体の上限Lvがいくつか分かんないもんね。少なくともあのエリアボスのザリガニがLv10で上限とは表示されていなかったからもっと上限Lvは上のはず。


ミツルギ : 今日の目標で、あのザリガニへのリベンジか。まぁ悪くないんじゃないか?

金金金 : 俺はただ見守るのみ。

咲夜 : そりゃ金金金さんはオフライン版はやってないんだしなー。

ミナト : 確かサクラちゃんのライオンはLv6まで行ってたよね? まずはリベンジの為にLv上げからかな?


「今はLv6だから、ザリガニへとリベンジをするならそうなりますねー!」


 昼間にモンエボをプレイする時間はあったけど、配信用のVR空間の模様替えの為に時間を使っちゃったからねー。まぁ私の時間なんだから、そこは自由にやるのみだけども!


ミツルギ : そういえばサクラちゃん、今の進化ポイントっていくつ?


「えっと、ちょっと確認しますね! ……あれ? いつの間にか20も溜まってますよ?」


 そういえば昨日のLv上げの終盤は敵を倒すのが楽になってきて楽しくなっちゃって、全然その辺を気にしてなかったっけ?


咲夜 : まさか、サクラちゃん本人が把握してないとは……。

ミナト : あはは、まぁダイジェスト動画の最後の方はもうひたすら陸地で戦闘をしてたって感じだったしねー。


「そういえば、全然苦戦しなくなったのってなんでですかねー?」


 水中の魚の相手はまだ無理だと思って、陸の敵ばっか倒してたんだよね。ここ、一般生物はいるけど幼生体は出てこなかったから、成長体を探す必要が無くてサクサク倒せて楽しかったー!


ミツルギ : あー、河川域って川の中の敵の方が強いからなぁ。

ミナト : うん、そうなるねー。下流に行けば行くほど、強くなる感じ。まぁ絶対的なものじゃないけどね。


「あ、そういう感じなんですか!?」


 なるほど、だから陸地でばっか戦ってた昨日の夜は楽になってたんだねー! 時間を飛ばした訳でもないから、シンプルに私がこの河川域の陸にいる敵よりも強くなったっぽい?


 そうなると、私のやるべき事は川の敵を倒せるようになる事だね! って、どうすればいいのー!?

 うーん、まず今日やるべき事はそこからだね! 目指せ、川の中での安定した戦闘! うん、ライオンでやる事じゃない気もするよ!

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