第55話 探索再開


 さてと、なんだかんだあったけど続きをやっていくぞー! えっと、今が7時になったくらいだから、配信はあと1時間だね!

 今日の配信中にもう1つくらい新しいスキルを取りたいなー! 出来れば今度は第4段階のやつ!


「それでは気を取り直して、成長体の探索再開です! あ、でもそろそろ草原以外の所にも行ってみたいですね?」


ミツルギ : ふむ、まぁそこら辺はサクラちゃんの自由だな。

イガイガ : エリアによっては癖が強い場所もあるけど、まぁここから行ける場所ならそうでもないか。

咲夜 : サクラちゃんとしてはどこに行きたい? どっちの方向に何があるかの解説とかは出来るぞ。


「んー、その辺は眺めながら行きたいですから、聞くのは止めておきます!」


 咲夜さんの申し出自体はありがたいけど、どこにどういう場所があるのかは実際に行ってみてこの目で見ていくのみ!


咲夜 : 了解っと。

富岳 : それなら、極力先のエリアの情報は伏せつつだな。

イガイガ : だなー。

ミツルギ : サクラちゃんの方針としては、成長体を探しながら他のエリアへ向けて移動していくって感じか?


「はい、そのつもりで行きます! そして、ここから進む方向は決めています! 川の下流を目指していきますよー!」


 目指せ、泳げる深さのある川の部分! 多分上流でも泳げそうな場所はありそうな気はするけど、確実なのは下流なのさ!


ミナト : あ、やっぱり下流を目指すんだねー!

神奈月 : 昨日は川で思いっきりテンション上がってたもんな。


「という事で、成長体の敵を探しつつ川の下流へ向けて出発です!」


 草原での成長体探しも良いけど、他の場所へも行けるんだし、行かない方が損だよね! 皆さんからは敵が強くて進めないみたいな警告はされなかったし、多分大丈夫!


 とは言っても、今はマップの真ん中あたりにいるんだよね。えっと、下流はマップの上の方みたいだから、そっちに向かって進むのさー!

 というか、結局成長体を探さないといけないんだから、その道中も楽しんでいくのです! あ、そういえば今ならこれが使えるんじゃ?


「とりあえず、川まで行きますねー! それじゃ『威嚇』!」


 逃げ惑え、雑魚の幼生体達! そして、やって来るのさ、進化を果たした成長体! 強いレア個体を見事倒した私のライオンで屠ってくれる!

 おぉ、逃げ惑ってるね! ふっふっふ、百獣の王のライオン様のお通りだー!


ミツルギ : サクラちゃんー!? 何やってんの!?

イガイガ : 今やっても効果はないぞ!?


「ふっふっふ、それは承知の上です! 私の目的はそれじゃないですからね!」


 成長体の進化してLv2になった私よりも格上がいるとはぶっちゃけ思っていない! 私の狙いは、進化前の幼生体をマップ情報に残す事!

 時間が経てば進化するというのであれば、それで標的マップが出来上がりという作戦なのです!


ミナト : あ、そういう狙いかな。んー、これは……。

チャガ : なんとなく狙いは推測出来るが……。

いなり寿司 : あ、他のエリアに移動したら、マップの敵の情報はリセットされるぞ?


「……え? えー!? いなり寿司さん、それは本当ですか!?」


 ちょっと待って、私の素敵な作戦がいきなり破綻したー!? そんな、そんな!? そんなのネタバレじゃないですか!

 ミナトさんやチャガさんが微妙に言いにくそうだったのは、そういう理由!? ぐぬぬ、これはどう反応するのが正解!? あ、どっちにしてももう遅いから関係ない気もする!


「うん、まぁもう手遅れな気がするので別に良いです! あ、ついでに質問なんですけど、これって進化したら表示されなくなったりしますかー?」


 マップが切り替えになったら敵の情報がリセットされるのは分かったけど、それならそれで仕方ない! でも、無駄にしない方法はあるはず!


咲夜 : あ、ネタバレ厳禁で怒るかと思ったら、普通にスルーした。

ミツルギ : マップの表示される敵はエリアが切り替わらない限りは、敵が進化してもそのままだぞ。


「ほうほう、そうなんですね! それじゃもう1つ質問です! 幼生体と成長体で逃げる速度って変わります?」


 これについてはただの確認。これを肯定する返事が返ってくれば、今思いついた私の素敵な作戦、プランBが発動出来る!


ミツルギ : あぁ、それは変わるけど……って、ちょっと待った!?

富岳 : おい、それを聞くって事はもしかして……。

チャガ : なるほど、あの手段か。


「やっぱり速度が変わるんですね!」


 まぁマップを見てたら逃げていく速度にちょっと違いがあるから気になっただけなんだけど、それが役立つ手段というのは今の反応でよく分かった!

 ふっふっふ、幼生体と成長体ではステータスが大幅に違う! それはすなわち、移動速度にも影響してくる! だから、威嚇で追い払った時の逃げ方の速度の違いで判別が出来るはず!


「見つけましたよ、成長体! 川に向かって1体逃げているので、丁度いいじゃないですか!」


ミツルギ : 識別が使えるようになったのに、識別を使わずに判別している……。

咲夜 : 移動速度の差を利用した敵の判別方法って、小技の類なんだけどなー。

神奈月 : これって、威嚇が使える種族の進化ポイントの節約術……って、これはネタバレか。いや、もう実行してるから問題はないのか。

ミナト : あはは、サクラちゃんは相変わらず応用的なとこをいきなり突いてくるね。

富岳 : その手段は絶対的な判別方法じゃないから、そこは気を付けろよ。


「富岳さん、了解です! よーし! 今回の小技を自力で見つけた事で、ドジっ子の称号は返上で構いませんね!? 拒否権は認めません!」


 これでドジっ子の称号は返上だー! 皆さんの反応的に結構便利な手段みたいだから、帳消しに出来るはず! ふっふっふ、これこそ私にはドジっ子という称号は相応しくないという証!


いなり寿司さん : リセットされるのに気付いてなかったのは……それは無粋か。よし、返上を受け付けよう!

ミツルギ : なんで上から目線?

富岳 : そこは触れずにいてやれ。本人たちは満足そうなんだからな。

イガイガ : そうだなー。

いなり寿司 : ちょっと待てやー!?

ミナト : さて、逃げてる成長体はなんだろうね?


「んー、木や草花はこんなに早く動けるんですかね? 動けない気もするので、多分動物系だと思います!」


 というか、普通に見てみても逃げてる敵の様子が見えないから草むらで姿が隠れている小動物の可能性が高いよね。

 他にはマップ見比べてみたら幼生体っぽいシマウマやゾウやキリンとかが逃げてるもん。歩いて逃げてる木も見えるけど、遅いしね!


「さて、それじゃ川まで追い込みますね! 川下りをしながら進んでいくので、川で下流に追い込むのが良さそうです!」


咲夜 : となると、少し上流側に回り込んでから逃げる方向を誘導する感じか。

チャガ : あぁ、これは教えておいた方がいいと思うから教えておくぞ。敵もエリア間の移動は出来るからな。

ミナト : あ、それは重要な情報だね。

ミツルギ : だなー。今回は位置的に問題はないけど、状況次第では気になる部分だろうし、ヘルプには乗ってない内容だしな。


 ん? 敵もエリア間の移動が出来るってどういう事? えっと、このまま私が下流に敵を追い込み続けたら……あ、そっか、そういう事なんだ!


「要するに、どこまでも追い続ける事は可能なんですね!」


ミツルギ : まぁ簡単に言えばそういう事だ。

イガイガ : 逆に、追い続けられるとエリア移動では逃げきれないとも言うけども。


「あ、そういう可能性もあったー!?」


 うん、言われてみればそういう事になるよね。まぁ私は基本的に逃げるよりも、その場で死を選ぶ!

 ゲームの中とはいえ勝てない相手に逃げるつもりで挑むなんて無しですよ! 死ぬまで全力で戦い続けるのが礼儀というもの! ……まぁ単純に逃げ切れる事がないから、逃げてないだけだけど!


「……あれ? 逃げずに留まってるのがいますね?」


 敵の見落としが多いと言われたからマップと周囲をちゃんと見回しながら威嚇をしつつ走っていたけど、動く気配のない赤い印が1つある。これ、なんだろ?

 威嚇って、逃げるか、襲ってくるかのどっちかじゃないのー? 逃げない敵ってなーに?


神奈月 : あー、そういう敵か。

ミツルギ : サクラちゃん、情報は必要か?


 んー、ここは追い込んでいる何かの小動物っぽい成長体も気になるけど、この動かない敵も気になるねー? うん、決めた!


「追い込み中の成長体を倒してから、その敵は自分で確認しに行きます!」


 ここで聞くのは簡単だけど、動く様子がないなら後回しで問題なし! とりあえず今は逃げている成長体っぽいのを倒すのが先決だー!


ミツルギ : ほいよっと。

真実とは何か : 如何なる真実の敵なのか……。

ミナト : これは実際に見ないと完全に断定は出来ないねー。

チャガ : 確かにそうなるな。

金金金 : ほう、いくつか可能性があるわけか。


 ほほう、いくつか可能性がある上に、皆さんも実物を見ないと分からないんだ? それなら尚更、内容は聞かずに直接見に行く方がいいね!

 そしてその前に追い込んだ成長体をぶっ倒す! こうやって走り回ってるうちに威嚇の効果もそろそろ切れるそうだし、私から逃げているなら格下で確定だもんね! まずは進化ポイントを確実に手に入れるのですよ!

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