第21話 悩んだ結果


「これ、何を解放するか悩みますねー!?」


 そう、これが今の私の偽らざる本音。いや、だって、どう考えても進化ポイントが足りなさ過ぎるー!? 色々と気になるスキルはある! あるからこそ、悩む!


咲夜 : さて、サクラちゃんの選択は如何に!?

イガイガ : まぁ進化ポイント的に、スキルは取れても1つだな。

ミナト : そうなるねー。まぁステータスを上げて通常攻撃って手段もあるけど。

チャガ : サクラちゃん、必要以上に焦るなよ。今はまだどういう選択をしてもどうとでも修正が出来る範囲だからな。


 あ、そっか。まだ序盤も序盤。進化ポイントはこれからどんどん手に入れられるだろうし、無駄に悩み過ぎても駄目だね!


「それもそうですねー! うーん、スキルのチュートリアルも見ておきたいので、何かスキルは取りたいんですけど、どうしようかなー?」


 気になっているのは、生命の『死亡還元』と『捕食還元』、屈強の『爪撃』と『噛みつき』、堅牢の『体当たり』、俊敏の『連爪』、器用の『咆哮』、知恵の『識別』くらいかなー。多いね、選択肢!?

 うーん、攻撃用のスキルは間違いなくダメージが上がるはずだから捨てがたい。でも、『死亡還元』で死亡時に進化ポイントが手に入るのも捨てがたい! 多分『捕食還元』も似たような効果な気もする!

 『咆哮』と『識別』は使ってみないと何とも言えないのが難点かなー。でも、地味に重要だと私の直感が告げているのです!


神奈月 : 狐っ娘アバターがめっちゃ悩んでる顔をしてる。

咲夜 : あ、頭を抱え始めた。

ミナト : あはは、自作でこれは地味に手が込んでるね。うん、本当に。

金金金 : くっ、どれだけ作り込んでいる!?

ミツルギ : ふと思ったんだが、最初の挙動がおかしかったのって、この辺の細かい作り込みが原因だったりしない?

イガイガ : アバターに対する挙動の入出力の設定が狂ってたとか?

ミナト : あー、それはあるかも? モンエボの連動用の入出力項目ってデフォルト設定じゃなくて微調整が必要なんだけど……サクラちゃん、その辺の調整ってした?


「え、アバターの入出力の設定ですか? え、弄ってないのでデフォルトだと思いますけど……?」


 テスト期間中に作った狐っ娘アバター、一応家のホームサーバー内で動作確認はしたんだけどなー? うん、配信の準備は兄さんがしてくれたので、その辺の設定は知りません!

 あれ? という事は、最初の方のあれは私のミス!? うぅ、売り物にできるだけ質じゃないのもあるけど、こういうのもあるからお金なんてもらえないんですよー!


ミツルギ : 修正が早いと思ったけど、その辺の入出力を運営側が調整しただけか。

イガイガ : なるほどなー。

ミナト : アバターの連動は配信用のソフトを介しているから、そこなら運営が微調整は出来るからね。後でモンエボ用の入出力設定のプリセットでも作っとこうかなー。

チャガ : ん? ミナトさんはそういう関係の仕事でもやってるのか?

ミナト : ううん、ただの趣味。チャガさん、こういう場所でリアル情報を聞くのは無しだよー?

チャガ : 何を当たり前なことをやらかしてるんだ、俺は。……すまん、ミナトさん。

ミナト : はい、それでよろしい!


 むむっ、何か私が悩んでいる間にミナトさんの話になってる!? チャガさん、リアル情報を聞くのは無しですよ!

 うーん、そっか。私がネタバレ無しにしてるから、私が悩んで決めれてない間は皆さんの話題がないんだ! うぅ、そうなると急いで決めなきゃ!? うーん、うーん、咲夜さんは想像出来ない選択を期待してたし、それもどうしよう……。


「はっ! 思いつきました!」


ミツルギ : お、決まったか。

イガイガ : いや待て、決めたじゃなくて思いついた?

咲夜 : おかしい、その思いついたというのは流れとしておかしい。

神奈月 : 多分言い間違いだろ? なぁ、サクラちゃん!

真実とは何か : 真実は果たして……。


「ふっふっふ、思いついたで合ってますよ! 決められないなら運任せです! 丁度スキルツリーは6つなので、サイコロで決めちゃいましょう! 咲夜さんのご希望通りに、私にも選択が分からない方法ですし!」


ミツルギ : 何がどうしてそうなった!?

真実とは何か : 時に真実とは、想定の遥か斜め上を行く。

イガイガ : おい、咲夜! 余計な希望を言うから、変な方向にぶっ飛んでいったぞ!?

咲夜 : ……すまない、今盛大に反省している。

神奈月 : いやまぁ、本当に予想外の選択にはなったが……。

チャガ : ……運任せになるとは思わんわ。

ミナト : あはは、まぁそういうのもいいんじゃない?

金金金 : それでこそサクラちゃんだ!


 我ながら良い案だと思うのですよ、サイコロでの決定! 迷った時には運任せ! なんだか咲夜さんの反応が予想とは違ったけども、これなら予想出来ない選択という要望も叶えられる! なにせ、私にも選択が分からないからね!


「それじゃ一旦、狐っ娘に切り替えて準備しますねー!」


 ふふーん、とりあえず操作を配信用のVR空間に切り替えてー! うん、狐っ娘に切り替え完了! ゲームの表示も中断中に切り替わったから問題なし!


「えーと、こっちで何かをやる時は私の視点に切り替えると良いんですよねー!」


 種族を決める時にやった手順だからね! メニューを操作してサイコロを機能を呼び出してから、私の視点に切り替え!


「準備完了です! なにかしらのスキルは確実に欲しいので、どのスキルツリーにするかをサイコロで決定しますね! その中で気になってるスキルが1つだけならそれを取って、そうでなければもう1回サイコロを振って丁半で決めます!」


 説明も完了! これで解放するスキルを決める準備は完璧! あとはサイコロを振るだけで、全てが決まる!

 ふっふっふ、チャガさんはどう選んでも修正が出来る範囲って言ってたし、ミナトさんは通常攻撃だけでもなんとかなると言っていた! だからこその運任せ!


イガイガ : なに、この手慣れた感じの準備の早さ。

ミツルギ : 一度把握した事は、ちゃんと出来てる?

咲夜 : うん、もう余計なことは言わない……。

神奈月 : 下手な発言は裏目に出る事が分かったしな。


「私にはちゃんと学習能力はありますからね! 一度した失敗は繰り返さないように心がけてはいるのですよ!」


 ほら、その成果で今回はちゃんとスムーズにサイコロの準備は出来たしね! 普通の6面のサイコロも既に手に持っているのです!


「えっと、スキルツリーに番号が振ってあったんで、出目はそれに合わせますね!」


金金金 : 生命の第1段階だと[1]とか、屈強の第2段階だと[2-1]とか表示されてたあれ?

イガイガ : なら、出目が1なら『生命』、2なら『屈強』、3なら『堅牢』、4なら『俊敏』、5なら『器用』、6なら『知恵』になるんだな。


「そう、それです! イガイガさんも整理してくれてありがとうございますね!」


 うん、私が意図していたのはまさしくその通り! イガイガさんが手早くみんなに分かりやすく整理してくれたのもありがたいね!


ミツルギ : よし、もう驚いても仕方ない。ここは見守るのみだ。

咲夜 : ……そうしよう。

ミナト : さーて、何が出るかなー?

チャガ : これは本当に想像のしようがないな。

神奈月 : 無難なのが出るか、更に変な方向にぶっ飛ぶのか……。

イガイガ : でも、そんなに変なスキルもないだろ?

真実とは何か : 真実は……待てば分かる。今は待つのみ。

金金金 : サクラちゃん、良い引き期待してるぜ!


「はい! それじゃいきますよー! えいや!」


 さーて、私のスキルツリーからの初取得のスキルがこのサイコロで決まる! あ、場合によってはもう1回やるけど。


「おっ、出目が決まりました! 5が出ましたよー!」


ミツルギ : 5だと器用のスキルツリーか。

イガイガ : サクラちゃん、器用のスキルツリーだと、取りたいスキルは決まってるのか?

咲夜 : というか、地味に投擲との相性がいいとこに行ったな。

ミナト : これは引きがいいのかな?

チャガ : まぁ待て。とりあえず次の丁半があるかどうかが先だ。

神奈月 : 確かにそこを聞いてからだな。


 うんうん、次の丁半をするかどうかは大事だもんね。でも、器用のスキルツリーであれば、迷う余地なし! ここは取りたいのは決まっていたもんね!


「器用のスキルツリーからは取りたいスキルは決まっていたので、丁半は無しですね! 解放するのは『咆哮』です!」


 これで取るスキルは決定なのさ! ライオンが咆哮をするって、かっこいいよね!


ミツルギ : あれ、なんか妙な方向性になった?

イガイガ : どうなんだ、これ?

金金金 : オフライン版をしたことない俺にはさっぱり分からない。

チャガ : 別に悪いスキルでもないし、ありっちゃありか……?

ミナト : んー? 投擲を取得してるし、ありはありだけど、サクラちゃんが扱いきれるかな?

真実とは何か : この先の真実を知るものはまだ誰もいない。

神奈月 : そりゃいないよな。

咲夜 : 本当に予想出来ない展開になった……。

イガイガ : 希望通りで良かったな!

咲夜 : まぁ、そうなんだけどな!


 ふっふっふ、これで咲夜さんの要望にも応えられてよかったよ! さーて、それじゃ器用のスキルツリーの解放をしていこう!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る