第50話 のじゃロリ元賢者×新・賢者④

王都の空を飛ぶナタ。それに乗るラニャ。


王都は結界に守られ外にも出られず、中にも入れない。


ガンガン!ガンガン!

「ちっ。びくともしねー」

「相当高度な結界じゃ。物理破壊は無理か。なら!」


杖を構えラニャは巨大な火球をだす。


「おりゃぁ!!!」


ゴォオオオオオ!

ドゴーン!!


結界には焦げ目すらつかない。


「ぬう、ダメか。」

「どーすんだ、ラニャ」

「結界を張っておる術者を倒さんと無理じゃな」

「誰だよそりゃ」

「あやつじゃ。」


ラニャが指さす先には

透明な羽をまとった男が飛んでいる。


妖精王。



そばにはレイスがいる。


「無駄だよ。今の彼は全盛期の姿だ。神に近い。勝ち目はないよ。大人しく殺されてくれないか?」


「だとよ。……なあ、あの剣、やべぇだろ。」

妖精王は片手に大剣を持っている。


「あれが妖精の剣じゃ。全力出せばここを更地にできる。」

「俺、やり合いたくねーんだけど。」

「安心しろ、秘策はある。おい、レイス!」


「?なんだい?」

「これが最後の警告じゃ!こんなアホなことはとっととやめて、剣を妖精の森に戻せ!」

「ずいぶんと強気なんだね、ラニャ。……心臓を貫くだけだ。いけ妖精王。」


「……!」


妖精王はこちらに一直線に向かってくる。


「ナタ!逃げ回れ!」

「了解」


ゴォオオオオオ

シューン!!


王都の空での追走劇が始まる。


二者は一定距離を保っている。


「このあと、どーすんだ、ラニャ。俺はやり合いたくねーぞ!」

「わかっておる。奴の相手をするのは、ルーから拝借してきた、これで!!」


ラニャは胸元から何かを引っ張り出す。

それはアクセサリーに見えたが、犬笛のような形をしている。


ラニャは犬笛を吹く



ピーーーーー


音にならない音。

人間には聞こえない音。



それはある者を呼び出す魔道具。

かつて偽物の妖精王を見破ったものを。



「目には目を、神には神をじゃ!」



その時

ピリッ

バチッ!


空間が縦に裂ける。

その切れ目から



バッ!



向かってくる妖精王に向かって何かが飛びかかった!


「はぁあっ!!!」


ガキーン!!!


「!!?」


それは角の生えた頭と銀髪、ウロコのような髪をなびかせた女だった。



夜刀神(やとのかみ)


妖精の森で出会った、魔を切る刀の神だった。





続くのじゃ!

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